スマートファクトリー
デジタルデータの活用により、製造プロセスの改善、品質や生産性の向上を継続的・発展的に実現する工場のこと。具体的には、工場内の従業員の作業データをはじめ、あらゆる設備や機器、管理システムなどをインターネットに接続し、データなどを収集・分析することで効率を向上し、少量多品種の製造、高付加価値製品の生産などを行う。
もともとはドイツ政府による「インダストリー4.0(第四次産業革命)」の構想から生まれたもので、製造プロセスの徹底した効率向上・高品質化によりコスト削減を図り、国際競争力を高めるものとされている。スマートファクトリーという言葉は、清 威人氏の著書『スマート・ファクトリー ~戦略的「工場マネジメント」の処方箋』(2010年)で初めて使用され、清氏の会社が国内で商標登録を取得した。
スマートファクトリー実現のメリットには、主に次のものが挙げられる。
(1)効率性・生産性の向上
工場内のあらゆる設備や機器、管理システムからデータを収集・分析するため、設備の稼働状況や故障などを随時把握でき、効率性や生産性が向上する。
(2)エネルギーの最適化
エネルギーを効率よく活用するためのシステム「FEMS(Factory Energy Management System;工場エネルギー管理システム)」の導入により、工場全体の消費エネルギーを最適化し、大幅な省エネルギーが図れる。
一方、FEMS構築の費用など、多額の初期コストが必要とされるうえ、最新技術を備えた設備や機器、管理システムなどのメンテナンス、従業員の教育などにも手間やコストがかかるというデメリットもある。スマートファクトリーの有効性は認知されているものの導入がなかなか進まないのには、この点に要因がある。