テレマティクス
「telecommunications(遠隔通信)」と「informatics(情報科学)」を組み合わせた造語。自動車などの移動体に通信機能を備えた機器を搭載し、移動体の情報を管理して、リアルタイムにサービスを提供することを指す。
従来のカーナビゲーションシステムのように、一方向による通信ではなく、インターネットに接続することで双方向の通信ができることが特長である。かつては情報配信、メール送受信、食事などのサービス利用予約、映像やゲームなどのダウンロードなどが主な利用シーンと考えられていたが、近年では次のような新たな市場が開拓されている。
(1)テレマティクス保険
自動車に搭載された端末の運転記録から保険料を算出する保険サービス。アメリカや欧州などの先進国では既に認知され、走行距離に連動して保険料を算定する「走行距離連動型(PAYD)」は日本でも普及している。そのほか、自動車の速度や急ブレーキ数などの運転情報から事故リスクを分析し、保険料を算出する「運転行動連動型(PHYD)」などもある。
(2)車両管理サービス
営業車両や輸送車両のリアルタイムな位置情報、業務の進行具合などを収集・蓄積することで、走行ルートや業務の効率向上を図るとともに、ドライバーの健康管理にも役立てられる。
(3)遠隔管理・監視システム
稼働情報を随時送信し、データの蓄積や分析を行うことで、消耗品や保守部品などの管理・保守計画の最適化を図る。同時に、故障の発生を抑え、稼働率の向上を目指す。
多くのメリットがある反面、個人情報をネットワーク上で共有するため、情報漏えいのリスクについて留意しなければならない。