テレワーク
英語の「tele(離れた)」と「work(仕事)」を組み合わせた造語で、「テレコミューティング(Telecommuting)」とも呼ばれる。一般社団法人 日本テレワーク協会は「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと」と定義している。
同協会によるとテレワークには、次の三つのスタイルがある。
(1)在宅勤務
自宅にいて、会社とはパソコンとインターネット、電話、FAXで連絡をとる働き方。
(2)モバイルワーク
顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使う働き方。
(3)サテライトオフィス勤務
勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方。
オフィスワークと比べて自由度の高い働き方で、「働き方改革」の一環として導入が進められている。導入により企業側には主に次のようなメリットがある。従業員側にも「通勤時間の減少」「ワークライフバランスの向上」「育児・介護・病気療養と仕事の両立」「ストレスの削減」といったメリットがある。
(1)人材確保・離職予防
育児・介護・病気療養など諸事情を抱えている社員が、仕事を継続できる。これらを理由にした離職を予防でき、優秀な人材を確保できる。
(2)営業効率の向上
自宅から顧客先に直行し、商談が終わればオフィスに戻らず、携帯端末から会社への報告や書類送信ができて時間を省ける。その分、顧客訪問回数や顧客滞在時間の増加、迅速かつ機敏な顧客対応などが実現し、結果として顧客満足度の向上につながる。
(3)コスト削減
オフィススペースや光熱費、紙などのオフィスコストが削減できる。
(4)非常時の事業継続性の確保
地震や台風などの自然災害時、テロ、インフルエンザや感染症のパンデミックなどの非常事態により事業の継続が難しいと思える状況でも、オフィス以外で働くテレワークの社員がいれば事業を継続でき、事業利益の損失を最小限に食い止められる。
2020年春、新型コロナウイルス感染拡大防止による緊急事態宣言の発令により、テレワークを導入する企業が増加。しかし、通信環境の整備不足をはじめ、ITガバナンス機能の低下、セキュリティリスクの拡大、情報共有やコミュニケーションの不足、端末スペックの違いによる生産性の低下など、さまざまな課題が浮き彫りとなった。「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」が実施されることで、テレワークがより拡大していくことが予測されるが、これらの課題をどう解決していくかが企業に問われることになる。