思考プロセスとは
TOC(制約条件の理論)の問題分析手法で、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラットが1984年に出版した『ザ・ゴール』、その続編となる『ザ・ゴール 2 思考プロセス』で提唱。そこでは、企業や組織の目的(ゴール)の達成を阻害する「制約条件」を見つけ、それを克服するための「システム改善手法」と定義されている。
簡単にいうと、組織(会社)には必ず因果関係があり、その因果関係をたどると、もっと根本的な限られた原因(中核問題)が存在する。その中核問題を見つけ出し、それを解決することで、組織(会社)が抱えている問題を解決するという理論。もともとは工場の生産改善手法として生まれた理論だったが、小売業や行政などさまざまな業種や分野に応用され、企業などの組織全体の改革にも用いられるようになった。
『ザ・ゴール』は世界各国のビジネススクール(経営大学院)で教材にも使われており、現在のサプライチェーン・マネジメント(SCM)の理論の基礎になったともいわれる。日本語版が発刊されたのは、本国出版後17年もたった2001年。思考プロセスが日本で広まると、日本の産業がさらに力を増すという危惧をゴールドラットが持っていたため、日本語版の出版を見合わせていたという噂があるが、その真偽は定かではない。