相手が気持ちよく話してくれる「過去」の話

みなさん　こんにちは　講師の渡瀬 謙です
今回のレッスンは相手が気持ちよく話してくれる「過去」の話でお送りします

三つあります

1. もっと話してもらうにはどうすればいいか
2. 過去から聞くことの効果とは？
3. 時系列で聞くとお客様のニーズがつかみやすい

例えば職場でも苦手な上司っていますよね、そういう人とたまたま出張で新幹線で二人で一緒に行かなければならなくなったとしたら結構困りますね
苦手だからといって、いきなりヘッドフォンをして自分の世界に入ってしまうとか、スマホを勝手にいじり始めて「話しかけるな」みたいなオーラを出してしまうのは、それはやはり良くないですね
苦手な人だからこそ会話をすることで、苦手を克服してしまうということを考えた方がよいでしょう
そんな時に一つコツがあります、それは過去から聞くということです

例えば“部長ってこの会社に入社したときからずっと営業だったんですか？”
こういった過去の質問をしてみる、そうすると部長は
“入社した時は営業じゃなくて開発だったんだよ”
“開発だったんですか？”
“お客さんに話すときに商品の内容にやけに詳しいなと思っていましたが、そういうことだったんですね”
“そうなんだよね”
この出たし、話しやすいですよね、上司としても答えやすい、それからもっと掘り下げていく
“今は営業ですけど、いつごろに営業になられたんですか？”
だんだん時系列をさかのぼっていく、そうすると、“いや、まあ3年くらい前かな”
“そうなんですね、そのきっかけは何だったんですか？”どんどん掘り下げができます、過去から聞いているとね

これが例えば、上司に対して、“部長、将来の展望は何かありますか？”みたいな、いきなり未来の話をすると部長は答えられないと思うのです
そういう意味でも過去の話というのは非常に答えてくれやすいということです
どうして答えてくれやすいのか理由を三つお話します

1.相手にとって話やすい
過去ですからね、記憶をさかのぼればそれで済み話しやすい
2.聞くだけで会話が弾む
上司と対等のレベルでお話をしようとするとなかなか難しいですが、上司の過去の話なら“そうだったんですか、なるほど”と聞いているだけで話が弾んでいきます
3.自分に興味があるんだと思ってもらえる
これは大事なポイントです、自分の過去を聞かれるということは、「この人は自分に興味があるのかな」と思わせる効果があります、「気持ちが良い」「もっと話をしたいな」という気持ちになる

そうなると上司との会話で距離感が一気に縮まります
例えば前日までオフィスの中に二人でいてもギクシャクしていたかもしれません
この出張を機に帰ってきてから二人の関係が少し親密になる、居心地が良くなる、せっかく出張するのですからそれくらい狙って上司に話しかける

これは対上司だけではなく、対お客さん営業の場面でも有効です
よく営業に行くときに営業マンが上司から言われがちなのが、
「お客さんのところへ行ったらまずニーズを探ってこい」
「そういう質問をしてこい」
そうすると営業マンは「ニーズ、ニーズ、ニーズを聞かなきゃ」と思う
そして客先に行って、“お客さん、今うちはこういう商品を扱っているんですけれども、将来これをお宅で導入される予定はありますか？”というような、ニーズの確認の質問をいきなりしてしまいがちです
でも今の質問はどちらかというと未来型の質問です
未来の質問はなかなか答えにくいです、そもそも考えてもいない、考えていたとしても、そこで素直に“その予定あるよ”というお客さんがいるかどうかというとほぼ0です

そこで“お宅の商品、こういう商品を導入する予定あるよ”と言ってしまうと、目の前の営業マンから売り込まれるのも分かっているので、ごまかしたり、うそをついたり、それはお客さんの防衛本能なので仕方ないです
ではどうすればいいか
ここも過去から聞いてみるというのをやってみます
例えば“今、うちではこういった商品を扱っているのですが、お客さんは今までこういったものを使ったことはありますか？”と過去を聞いてみる
そうすると
“似たようなもの使ったことがあるよ”
“そうですか、使ったことがあるんですか”
“それは今でもお使いですか？”と現在の質問に移ります
そうすると“今までは使っていたけれど、今は使っていないな”
“今は使っていないんですか、どうしてですか？”と聞くと
“ちょっとね、コストがかかってやめちゃったんだ”
“コストがかかるんですね、そうでしたか”

こういう会話をしていくとお客さんが自分の扱っている商品に対して、どこにポイントを置いているか何が課題なのかが見え隠れします
そうすると例えば、他社よりもコストがかからない商品を自分で扱っていたとしたら、お客さんに対してアピールポイントになりますよね
“コストですか、実はうちで扱っている新商品なのですが、月々のコストがほぼかからないという画期的なものを開発したのですけども、こちらはいかがですか？”
というとお客さんは、“そういうのが出たの？ちょっと話を聞いてみようかな”となってくる、そうすれば営業のチャンス、売れるチャンスにもつながるというものです

結果的に営業マンが欲しいのは、お客さんが自分の扱っている商品を将来買ってくれるかどうか、ニーズがあるかどうかなんですね
でもそれをストレートに一発で聞いてしまうとなかなか答えてくれない、そこで過去から聞いてみる
これをやっていただくと会話もスムーズになるし、お客さんの課題も見えてくる、こっちのアピールポイントも見えてくる
とても便利な手法なので、ぜひ「過去」「現在」「未来」という聞き方をしてみるといいと思います

1.過去はどうだったのか
2.現在はどうしているのか
3.未来はどうするか
この順番で聞いていくとスムーズに聞けます

今回のレッスンをまとめます
相手に気持ちよく話してもらう会話にするために
1.過去の質問は相手が話しやすい
2.過去を聞くことで相手への興味の証しになる
それは対社内の人でも同じですし、対社外お客さんに対しても同じです
今までいきなり未来の話をしていたとしたら一回落ち着いて、「よし、今日は過去から聞いてみよう」ということでトライをしていただくとよいと思います