2014年 9月 1日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

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Windows標準の日本語入力「Microsoft IME」を使いこなす

テキスト: 芝田隆広

パソコンで日本語を入力する際の必需品が「日本語IME」と呼ばれるソフトだ。Windowsには標準で「Microsoft IME」がインストールされているが、細かな機能まで使いこなしている人は少ないのではないだろうか。今回はWindows 8.1付属の「Microsoft IME 2012」をベースに、Microsoft IME(以下MS-IME)の使いこなし方法を紹介していく。

単語登録で辞書を賢くして一発変換を可能に

パソコンで文字を入力していて最もイライラさせられるのが、なかなか思いどおりの変換候補が出ないときだ。特に、固有名詞などを入力する際は、漢字1文字ずつ変換していかなければならない場合もあり、余計な手間がかかることが多い。

そこで「一般的にはさほど使われないけれども、自分はよく使う」という語句は、「ユーザー辞書」に登録しておこう。一度登録しておけば、それ以降はその語句が変換候補の一番上、あるいは上位に出るようになるので文字入力がグッと楽になる。ユーザー辞書にどんどん語句を登録し、辞書を「賢く」育てていくのだ。よく入力する長い単語やメールアドレスなどを短い読みで登録しておくと、入力の手間がかなり省ける。

MS-IMEのメニューから「単語の登録」を選択

タスクトレイのアイコンを右クリックすると、MS-IMEのメニューが表示される。単語登録をしたい場合は「単語の登録」を選ぶ。

「仕事効率を上げるパソコン手帖」を「しごてちょ」という「よみ」で登録する

よく使う単語や文章、メールアドレスなどを「単語」の欄に入力して、「よみ」も入力しておく。品詞を選んだら「登録」で登録完了だ。

「しごてちょ」と入力すると、変換候補に「仕事効率を上げるパソコン手帖」と出てくる

単語登録を行うと、変換候補にその単語や文章が表示されるので、入力作業を楽に行うことができる。

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追加辞書サービスで辞書を強化

IMEの変換精度を上げるうえで、辞書登録は欠かせない作業だが、いちいち手作業で登録していくのは正直面倒だ。また、業種によっては進めている作業ごとに使う語句が大きく違ったりすることもあるし、仕事とプライベートで辞書を使い分けたいといったケースもあるだろう。

そんなときに便利なのが「オープン拡張辞書」。これを使えば「パソコン関連の文章を書いているときはIT関連用語の辞書」「プライベートな文章では顔文字辞書を使う」などといった切り替えがすばやくできる。

オープン拡張辞書は自分でも簡単に作ることができ、辞書ファイルはメールに添付して、他のユーザーと共有できる。例えば「取引先の企業名や担当者名の拡張辞書を作って部署内で共有する」といった使い方が考えられる。「すずしょ→鈴木商事」、「やまさん→山田産業」といった略称を登録することでタイプの手間を軽減したり、担当者名のうっかり変換ミスをなくしたり、部署内で表記を統一したりするなど、工夫次第でさまざまな使い方ができる機能なのだ。

「Microsoft IMEオープン拡張辞書の署名」ウィンドウで「OK」をクリック

オープン拡張辞書のファイルを入手したらダブルクリックする。すると「Microsoft IMEオープン拡張辞書の署名」というウィンドウが開くのでOKを押してインストールする。なおここではIMEチームのブログ「ユーザー提供のオープン拡張辞書」の辞書名一覧にも公開されている、「マイクロソフトIT用語辞書」をダウンロードして利用している。

IMEチームのブログ「ユーザー提供のオープン拡張辞書」

タスクトレイアイコンを右クリックし、「追加辞書サービス」から「辞書の設定」を選ぶ

次に、タスクトレイアイコンを右クリックして「追加辞書サービス」から「辞書の設定」を選ぶ。

「システム辞書」欄でインストールしたオープン拡張辞書にチェックを入れて「OK」をクリック

「システム辞書」欄でインストールしたオープン拡張辞書にチェックを入れてOKをクリックすると、その辞書に登録された単語が変換候補として利用できるようになる。

「IME Open Extended Dictionary Excel Tool」内のsetup.exeでインストールを行う

オープン拡張辞書を自分で作りたい場合は、「Microsoft Office IME 2010 オープン拡張辞書作成用 Excel テンプレート」の「ダウンロード」をクリックし、PackageForDLC¥IME Open Extended Dictionary Excel Tool.zipをダウンロードする。ダウンロードしたファイルを解凍し、setup.exeでインストールを行う。次に「IME Open Extended Dictionary Builder.xltx」をExcelで開く。

Microsoft Office IME 2010 オープン拡張辞書作成用 Excel テンプレート

IME Open Extended Dictionary Builder に「変換後の文字列」、「よみ」、「品詞」を入力する

Excelが開いたら、「変換後の文字列」、「よみ」、「品詞」を入力する。入力し終わったら「辞書の作成」でファイルを保存すると、オープン拡張辞書のファイルが出力される。メールに添付して他人に送ったり、共有フォルダで部署のメンバーに配布するなどといった使い方ができる。

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IMEパッドで出し方の分からない記号や漢字を手書き入力

文章を入力していると、「正確な読み方は分からないが文字の形は分かる」といった漢字を入力する必要が出てくるときがある。例えば、名刺に書かれた読みの分からない名前の漢字を入力したい、といったケースだ。

こんなときに役立つのが「IMEパッド」機能だ。これはマウスなどで文字を手書きすると、その文字を変換してくれるというもの。文字の形が分かれば、とりあえず漢字を出すことができる。一度入力したらあとは、辞書登録で自分にとって分かりやすい読みを登録しておくとよいだろう。

また、「きごう」と入力して変換すると、さまざまな記号を入力できるのも覚えておくと便利な小技だ。例えば、「ゞ」などといった文字を入力したいときは、「きごう」で変換を行い、候補の中から文字を選べばよい。

「迪」という漢字を手書きで入力したところ

IMEパッドは、タスクトレイのMS-IMEアイコンを右クリックして「IMEパッド」で呼び出せる。左側の四角の中にマウスなどで文字を手書きすると、文字認識が行われその横に変換候補が表示される。クリックするとカーソル位置にその文字が入力される。

記号を入力したい場合は、ひらがなで「きごう」と入力して変換する

記号を入力したい場合は、ひらがなで「きごう」と入力して変換する。

記号の変換候補一覧が表示される

変換候補からさまざまな記号を選ぶことが可能だ。

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便利な機能をすばやく呼び出せるショートカットをマスターする

MS-IMEは、タスクトレイのアイコンを右クリックすることでメニューを表示して、さまざまな機能を利用できる。しかし、キーボードで文字を入力している最中に、いったん手を離してマウスを操作するのは、作業効率の低下につながる。そこでキーボード操作でさまざまな機能を利用できる「ショートカット」を覚えておこう。

ショートカットにはさまざまなものがあるが、例えば「Ctrl+変換」だと、「IMEパッド」や「単語の登録」などのショートカットメニューを呼び出せる。「Ctrl+Backspace」で、確定した変換を取り消して、もう一度候補を表示する。またマイクロソフトのWebサイトにMS-IMEのショートカット一覧がまとめられているので、そちらを参考にして、便利に使えそうなショートカットを見つけるといいだろう。

マイクロソフトのWebサイト(IME Standard キー操作一覧)

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詳細設定でIMEをより使いやすくカスタマイズ

さらに自分の好みに合うように細かい設定をしたい場合は、「MS-IME」の詳細設定を使って、IMEをカスタマイズしよう。

例えば、自分の職場では、句読点を「、。」ではなく「,.」で表記するといったケースなら、詳細設定の「全般」で設定できる。またキー設定を、自分の好きなように変更するというのも手だ。例えば「IMEパッドをよく使うのでボタン一発で起動するようにする」といったカスタマイズが行える。

このほか間違っていると思われる入力を自動的に訂正してくれる「オートコレクト」のON/OFFの切り替え、途中まで入力した時点で候補を表示してくれる「予測入力」を使用するか否かなど、さまざまなカスタマイズが行えるので、設定を一通りチェックしてみるといいだろう。

普段何気なく行っている日本語でのテキスト入力も、上記のように工夫をしていけば、今までよりもパソコンを快適に使いこなせるようになる。ぜひ試してみてもらいたい。

Microsoft IMEの設定ウィンドウで「詳細設定」をクリックする

MS-IMEの詳細設定を行うには、タスクトレイのアイコンを右クリックして「プロパティ」を選ぶ。このようなウィンドウが開いたら「詳細設定」ボタンをクリックする。

Microsoft IME詳細設定ウィンドウ、「全般」タブで句読点の種類が選べる

詳細設定の画面が開く。「全般」タブでは、どの句読点を選ぶかなどの選択ができる。「キー設定」で「変更」をクリックすると、キーの割り当てが変更可能だ。

「キー設定」タブでShift+変換キーで、IMEパッドが起動するよう設定

キー割り当ての変更画面。ここではShift+変換を押すとIMEパッドが起動するよう設定してみた。

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