2021年12月 6日公開

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テレワークの進化とワークライフバランス

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

テレワークで実現するワークライフバランスについて解説します。
コロナ禍の影響でテレワークが急速に浸透しています。テレワークの進化はワークライフバランスの実現にどのように影響するのでしょうか。多様な働き方と生活の調和について考えてみます。

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1. テレワークとワークライフバランス

コロナ禍で急速に浸透したテレワークは、もともとはワークライフバランスを実現するための手法として推奨されていました。発端となったのは長時間残業などの過重労働による疾病、そして自殺者やメンタル系疾患の増加です。これらを改善するためにワークライフバランス(仕事と生活の調和)が提唱されました。過重労働の常態化を防ぐために業務効率の向上を図り、働く時間を減らして生活時間を増やし、調和のとれた環境の実現を目指すものです。

働き方改革として関連する法改正などの整備が進み、年間の総労働時間は徐々に少なくなってきました。特にコロナ禍による緊急事態宣言が発令され、外出自粛やテレワークの実施が推奨された2020年は、総労働時間が大きく減少しました。

厚生労働省「毎月勤労統計調査」を基に作成(労働統計要覧から年間総労働時間の推移のみ抽出)

  • * 総実労働時間は所定内労働時間に所定外労働時間を加えたもの。このうち所定内労働時間は事業所の労働協約、就業規則などで定められた正規の始業時刻と終業時刻の間の実労働時間数のことであり、所定外労働時間は早出、残業、臨時の呼び出し、休日出勤などの実労働時間数
  • * 年間の労働時間は1カ月当たり労働時間を12倍し、小数点以下第1位を四捨五入した

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するための緊急措置としてテレワークを導入した企業は多くあります。そのため、出社した方がスムーズに仕事がはかどる、コミュニケーションが不足しがちなど、業務効率の向上といったテレワーク本来の効果が得られないという声も聞かれました。これは新しいやり方に不慣れであったり、導入準備が不足していたりといったことが大きな要因と思われます。一方で、テレワーク勤務では1日のほとんどが在宅時間となるため仕事と生活に対しての意識が大きく変化し、「自宅で充実した時間を過ごす」ことが個人・家族としての大きな課題となりました。

仕事中心から生活中心に意識が変わると、コロナ禍以前のように毎朝出社して夜帰宅する生活には戻りにくくなるのではないでしょうか。内閣府が定期的に行っている「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、2021年4~5月のテレワーク実施者は就業者全体の31%、そして、テレワーク勤務実施者の8割以上が今後もテレワークを希望しています。

このような意識変化に対応し、テレワークの導入を手始めにワークライフバランスの実現に向けた取り組みを行い、従業員満足度を高め生産効率を向上させることが、企業が安定して発展するための重要な課題となります。

内閣府「第3回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」2021年6月4日版 8ページを基に作成

  • * 「テレワーク中止者」は2020年5月はテレワークを実施していたが、2021年4-5月は実施していない者
  • * 「テレワーク不実施者」は2020年5月、2021年4-5月ともにテレワークを実施していない者

コロナ禍が収束すると、社会全体がパンデミック(世界的大流行)以前の状態に戻るのではという予測もあります。しかし、多様な働き方とテレワークの浸透という流れは、少子高齢化による労働力不足に対応するために提唱されている施策でもあり、多少の紆余(うよ)曲折はあってもきっと続いていくでしょう。さらに、ITインフラの進化は「オフィスで仕事をする」という概念を覆し「生活の中で仕事をする」つまり、ワークライフバランスの実現を前提とした新しいワークスタイルへの変化を加速させていくのです。

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2. テレワークによるワークライフバランスの実現で変化すること

テレワークによってワークライフバランスを実現するためには、企業のITインフラを整備しなければなりません。これには、ITに関連する技術や設備の導入だけでなく、その使い方や評価といった業務効率向上のための意識改革も含めた企業全体のインフラ整備=DX(Digital Transformation)が必須です。せっかくテレワークを導入しても、承認印を押すためやFAXを受け取るために出社しなければならないなどの部分的な未整備が業務効率向上の大きな足かせとなるためです。
このような、テレワークと同時に企業のインフラ整備が進むことを前提として表れる大きな変化を企業視点と社員視点で見てみましょう。

企業視点

オフィスの変化

テレワークが普及することで、常時出社する社員数が減少するためオフィスの規模を縮小でき、固定費の削減につながります。同様に交通の便が良い都心にオフィスを構える必要がなくなるため、賃料の高い一等地から郊外へオフィスを移転する企業が増加します。逆に面積を縮小して、利便性の高い場所に移転する選択肢もあるでしょう。

雇用形態の変化

テレワークは自由度の高い働き方です。導入当初は出社時と同じ勤務時間帯に準拠していても、社員の裁量で勤務時間を自由に配分する自己管理型の勤務が主流になっていくでしょう。それにより、例えば午前中は親の介護、午後から業務開始、夕食を挟んで残りの業務を処理というような、望ましいワークライフバランスを実現する勤務形態も可能になります。これが進むと、雇用形態も従来の終身雇用に代わり、委託内容により雇用条件を変える契約雇用が多くなります。この傾向は、40代定年制など起業(脱社員)の促進などにも表れています。

社員視点

生活環境の充実

在宅勤務の時間が増えると生活環境を充実させることが大きな課題となります。育児や介護、通院などの生活課題を解決したり、趣味に没頭したりといったライフスタイルを充実させるための活動が重要な要素となってきます。最近の傾向では、企業で起きていることと同じように、家賃の高い都心の住居を離れて、広くて家賃の安い郊外に引っ越す人が増えていることがあります。暮らしやすい環境でガーデニングや家庭菜園を営んだり、ウオーキングやサイクリングなどの健康づくりを行ったりするなど、自分自身の余暇時間を充実させることができます。

毎日郊外から遠距離通勤するとなると余暇の充実を妨げる以前に疲労を蓄積する要因にもなりかねませんが、テレワークによって出勤日数を減らすことで通勤の負担が軽減されるため、郊外への移住が実現可能となります。

副業

テレワークによって、自分自身で裁量できる時間が増えると副業も可能となります。以前は、副業はノウハウの社外流出などネガティブに受け止められていましたが、副業の経験や人脈が新たなスキルの獲得に役立ち、新たな刺激を受ける機会になるなどの効用も認められるようになりました。そのため、会社に副業の申請を行い、本来の業務に支障が出なければ副業を認める企業が増えています。
副業のルールを構築することが前提となりますが、副業を認めることは企業としても業務遂行に必要な他社の人材に業務を依頼することを可能にします。つまり、副業の管理がきちんと行われ普及すれば、雇われる側、雇う側双方にメリットが生じることになります。

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3. テレワークとワークライフバランスの今後について

コロナ禍でテレワークは浸透しましたが、その効果を十分に享受できている企業はまだ少数です。同様に、社員のワークライフバランスを実現している企業もまだ少ないと思われます。
しかし、IT技術が進化すればテレワークも進化します。テレワークが進化すれば社員のワークライフバランスを実現できる企業が増え、反対にワークライフバランスを実現できず社員が定着しない企業は衰退の危機にひんすることとなります。

ワークライフバランスは仕事と生活の調和といわれていますが、仕事と生活は別のものではなく、一体化しているという概念で「ワークライフ インテグレーション(仕事と生活の統合)」という言葉に置き換わる傾向にあります。仕事の量が増えれば生活が窮乏し、生活を主とすれば仕事がおろそかになるというように、仕事と生活を相反するものとして考えるのではなく、充実した生活の中で良い仕事をするというように、仕事と生活を同じ次元でとらえ、共に高め合うものとすることです。

ストレスのない健康な体で生活を充実させることで、仕事の集中力を高め、質の高い業務を遂行することを理想として、テレワークなどの新しい勤務スタイルを浸透させていきましょう。

参考

内閣府「仕事と生活の調和」推進サイト

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4. お手軽テレワーク

何から手を付けていいかお困りの方へ

今、導入が加速しているテレワーク。社員の多様な働き方に対応するだけでなく、有事の際に社員を守るためにも必須です。テレワークをこれから始めるなら、まずは「コミュニケーション」と「資料共有」にポイントを絞り、スタートするのがおすすめです。これらの実現に最適なツールをご紹介します。

お手軽テレワーク

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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