2016年11月

専門家がアドバイス なるほど!経理・給与

「育児休業の手続きの流れは、これ!」の巻

テキスト: 梅原光彦 イラスト: 今井ヨージ

出産・育休関連では社会保険や雇用保険において一時金や給付金、保険免除の制度が整っています。いつ、どんな手続きが必要なのか、その流れを紹介します。

「育児休業の手続きの流れは、これ!」の巻

出産・育休関連の制度

出産・育休関連では、次のような給付・免除などの制度があります。

給付金が支払われるもの

健康保険関係

A. 出産育児一時金

被保険者、あるいはその被扶養者が出産したときは、1児につき42万円の『出産育児一時金』が支給されます(産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は40.4万円)。
※多胎児を出産したときは、胎児数分だけ支給されます。

出産にかかる費用に「出産育児一時金」を充てることができるように健康保険組合等の保険者から「出産育児一時金」を医療機関等に直接支払う仕組み(直接支払制度)が一般的となっています。従って、実際にかかった出産費用が42万円を超えた場合は、差額分を被保険者が医療機関に支払えばよく、逆に42万円より安くて済んだ場合は、差額分を「出産育児一時金」として支給してもらうことができます。

なお、勤務先の健康保険によっては、「付加給付」が付いて42万円プラスアルファが給付される場合もあるので、勤務先が加入する健康保険組合に確認してください。

B. 出産手当金

被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産による産前産後休業期間(出産の日以前42日から出産の翌日以後56日目まで)の範囲内で、会社を休んだ期間を対象として『出産手当金』が支給されます。なお、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。

雇用保険関係

C. 育児休業給付金

育児休業期間中に給与の支払いを受けなかった場合は『育児休業給付金』が支給されます。支給額は、支給対象期間(1カ月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6カ月経過後は50%相当額となっています。

保険料(健康保険・厚生年金)が免除されるもの、改定等に関するもの

保険料免除

D. 産前産後休業期間中の保険料免除

産前産後休業期間のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されます。各保険者には、『産前産後休業取得者申出書』→Dを提出します。なお、出産予定日と出産日が異なるなど産前産後休業期間が当初届け出た期間と変更があったときは『産前産後休業取得者変更(終了)届』→D2を提出します。

E. 育児休業期間中の保険料免除

子が3歳に達するまでの育児休業期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されます。各保険者には、『育児休業等取得者申出書』→Eを提出します。なお、当初の予定より早く育児休業から復帰するなど育児休業期間が当初届け出た期間と変更があったときは『育児休業等取得者終了届』→E2を提出します。

社会保険料の改定等

F. 育児休業終了後の社会保険

育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額に基づき、4カ月目の標準報酬月額から改定することができます。各保険者には、『育児休業等終了時報酬月額変更届』→Fを提出します。なお、産前産後休業終了後、育児休業を取得せずに復帰した場合には、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額に基づき、4カ月目の標準報酬月額から改定することができます。この場合は、『産前産後休業終了時報酬月額変更届』→F2を提出します。

G. 養育期間特例制度

3歳未満の子を養育する被保険者または被保険者であった者で、養育期間中の各月の標準報酬月額が、養育開始月の前日の標準報酬月額を下回る場合、従前の標準報酬月額とみなし、年金額を計算する際に特例措置が受けられます。各保険者には、『養育期間標準報酬月額特例申出書』→Gを提出します。

なお、出産・育休関連の各種制度の基礎知識についてはバックナンバーを参照ください。

「産前産後休業期間中の社会保険料」の巻

「育児休業給付&介護休業給付の基礎知識」の巻

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申請手続きの流れ

大まかな申請手続きの流れを紹介します。
下のチャート図のように定められたタイミングに合わせて進めていきます。

<社内での手続き>

社内での手続き

<社会保険における申請手続き>

社会保険における申請手続き

<雇用保険における申請手続き>

雇用保険における申請手続き

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提出書類と提出先一覧

申請手続きに必要な書類などは次のとおりです。

出産前

産前休暇(出産予定日以前42日)

申請手続き添付書類提出先備考
産前産後休業取得者申出書→Dなし協会けんぽまたは健康保険組合(健保組合等)、
日本年金機構
社会保険料の免除

D 産前産後休業取得者申出書PDF(日本年金機構)

出産後

産後休暇(出産後56日)

申請手続き添付書類提出先備考
産前産後休業取得者変更(終了)届→D2なし健康保険組合等、日本年金機構出産日が遅れる等産前産後休業期間が変更となった場合に提出
出産育児一時金支給申請書→A【申請書所定欄に次のいずれかの証明】
・医師・助産師の証明
・市区町村の証明
健康保険組合等出産にかかる費用が42万円未満の場合や直接支払制度を利用しない場合に申請
出産手当金支給申請書→B【添付書類】
・医師または助産師の意見書
・事業主の証明
・産前産後休業期間の賃金台帳・出勤簿等
健康保険組合等原則、1日につき標準報酬日額の2/3に相当する額を支給

D2 産前産後休業取得者変更(終了)届(日本年金機構)

A 出産育児一時金 支給申請書PDF(協会けんぽ)

B 出産手当金支給申請書PDF(協会けんぽ)

育児休業期間(出生日より原則1年間)

申請手続き添付書類提出先備考
育児休業等取得者申出書→Eなし健康保険組合等、日本年金機構社会保険料免除
育児休業等取得者終了届→E2なし健康保険組合等、日本年金機構当初の予定より早く復帰する等育児休業期間を変更する場合に提出
休業開始時賃金月額証明書→C・賃金台帳や出勤簿など、支給申請書の記載内容を確認できる書類
・銀行の通帳の表紙と見開きのページのコピー
・母子手帳のコピー(父・母・子の名前・病院の証明が記載された部分)
・育休申出書のコピー
管轄ハローワーク原則、休業開始前の6カ月間の賃金額を登録し休業開始時賃金日額を算出
育児休業給付金申請書(2カ月ごとに申請)→C・賃金台帳や出勤簿など、支給申請書の記載内容を確認できる書類管轄ハローワーク休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6カ月経過後は50%)相当額

E 育児休業等取得者申出書PDF(日本年金機構)

E2 育児休業等取得者終了届PDF(日本年金機構)

C 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書(ハローワーク)

職場復帰

申請手続き添付書類提出先備考
産前産後休業終了時報酬月額変更届→F2なし事業所の所在地を管轄する年金事務所へ持参または郵送育児休業を取得せずに職場復帰した場合であって、給与が下がったときに提出
育児休業等取得者終了届→E2なし健康保険組合等、日本年金機構申出書に記載された予定どおりに育児休業を終了する場合は必要ありません
育児休業等終了時報酬月額変更届→Fなし事業所の所在地を管轄する年金事務所へ持参または郵送短時間勤務等により給与が下がったときに提出
養育期間標準報酬月額特例申出書→G・戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書 (申出者と子の身分関係および子の生年月日を証明できるもの)
・住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもので申出者と子が同居していることを確認できるもの)
事業所の所在地を管轄する年金事務所へ持参または郵送子育て中標準報酬月額が下がったときに提出

F 育児休業等終了時報酬月額変更届PDF(日本年金機構)

F2 産前産後休業終了時報酬月額変更届(日本年金機構)

G 養育期間標準報酬月額特例申出書PDF(日本年金機構)

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