2026年 3月17日公開

有識者に聞く 今日から始める経営改革

AI時代に改めて注目したい知識創造理論(後編)

企画・編集:JBpress

知識創造理論の土台は心理的安全性のある「場」づくりから

知識創造理論によると、人の中にある暗黙知を誰もが使える形式知に変え、それを掛け合わせることでイノベーションを創出できるようになる。いきなり言われても実践するのは難しそうだが、どんな心構えで臨めば良いのか。実践のポイントやテクノロジーの活用によって精度を高める方法なども知りたいところだ。立教大学経営学部長の廣瀬文乃氏に聞いた。

この記事は全2回シリーズの後編です。前編は下記よりご覧ください。

知識創造を成功に導く三つの心構え

――知識創造理論を自社に取り入れるときは、どのような心構えが必要になりますか。

廣瀬 知識創造理論を経営に取り入れるに当たっては、いくつかの重要な心構えがあります。特に重要だと思う三点をご紹介します。

一つ目は、心理的安全性のある「場」をつくることです。「新しいことに挑戦しよう」と言いながら、一方で「本当にできるのか?」「納得させてみろ」などと説明責任や成果だけを求めてしまうと、不安に思い、行動できなくなってしまいます。任せると決めたなら、試行錯誤のプロセスも含めて受け止める覚悟がマネジメントには求められます。

二つ目は、社員の好奇心と内発的動機を尊重し、生かすことです。暗黙知は強制されても創り出せません。人が持つ無限の可能性が花開くには、本人の「やってみたい」という思いを尊重し、育てていくことが必要です。

三つ目は、明るく楽しみながら取り組み、短期的な成果を急がないことです。知識創造やイノベーションは時間をかけて熟成していくプロセスなので、中長期的な視点を持ち、腰を据えて取り組む姿勢が求められます。

知識創造を支える「場」とは何か。朝会から始める実践

――知識創造理論を実践するうえでは「場」が重要になるということですが、理想的な「場」とはどのようなものなのでしょうか。