一人情シスの手が回らないとこうなる……よくあるトラブル事例
情シスの業務は幅広いため、一人で対応していると通常業務だけで手一杯になりがちです。この状態が長く続くと、徐々に各業務へのケアが手薄になり、わずかな見逃しから大きなトラブルへ発展することもあります。
まずは、人手やリソースが不足したときに実際に起こりやすいトラブル事例を紹介しましょう。
退社・入社ラッシュで残業続き
3〜4月は社員の入退社が集中し、一人情シスの負荷が最も大きくなる時期です。退職者のパソコンデータ消去、アカウント削除、貸与物の回収に加え、新入社員向けのPC社内仕様整備や初期設定代行が一気に押し寄せます。
本来であれば計画的に進めたい作業ですが、多くの部署から同時に依頼が届くため、突発対応も増えがちです。実際にある企業では情シスの残業が常態化し、日々の業務における確認漏れや設定ミスが目立つようになってしまいました。
有休中に電話が鳴りやまない
一人情シスが有給休暇や年次休暇を取得したものの、代行者への引き継ぎ内容が不足していたこともあり、「パソコンの設定方法が分からない」「トラブル対応の進め方を教えてほしい」といった問い合わせの電話が鳴りやまない状態に……。
こうした質問に対応していると、休暇中なのにまったく休まらず、心身への負担が増えてしまいます。
社内からの問い合わせにすぐに対応できず、業務が停滞
あるとき、社内から「パソコンが動かない」「ネットワークにつながらない」といった急ぎの問い合わせが重なり、対応に追われて他の業務が手につかなくなってしまいました。
そんな中、先日増員したチームでパソコン端末不足が発覚。既存のパソコンを利用しようとしたところ、OSアップデートに時間を取られ、そのチームの業務が停滞してしまいました。このように情シスが多忙な状況だと、他部門の業務にまで影響が及んでしまいます。
人手が足りずセキュリティの穴が空き、サイバー攻撃を受ける
情シスの人手が不足していると、社内パソコンや周辺機器の更新作業が後回しになり、セキュリティのほころびが生まれやすくなります。ある企業では、システム更新漏れの端末の脆弱性を突かれてウイルスが侵入。被害状況の確認や復旧対応に追われることになりました。
このような緊急対応が発生すると組織全体の業務に大きな支障が出るため、日頃から運用体制や対策を見直し、弱点になりやすい部分を早めにケアしておくことが欠かせません。
システム管理者不在による業務停止
ある日、情シスなどのシステム管理者が不在のタイミングで基幹システムに障害が発生。受発注処理や請求業務といった重要な日常業務が半日ストップし、取引先への連絡遅延や社内調整の混乱を招いてしまいました。
このように情シスが不在になると、業務全体が止まってしまうリスクが一気に高まります。
多忙が続き、担当者が休職する事態に
ある一人情シスは日頃から多忙だったため心身に負荷が蓄積し、ある日突然体調を崩して休職することになりました。急いで後任を探す必要が生じ、ブラックボックス化していた属人的作業の洗い出しとそれぞれの作業の引き継ぎ、対応漏れの確認など、現場には多大な追加負担が発生しました。
このように担当者が突然に長期間不在になると、業務の継続性に影響が出やすく、周囲の負荷も大きくなります。日頃から業務を分散できる体制を整えておき、誰でも起こりうる、誰のせいでもない突発的な離脱に備えることが重要です。
一人情シスのサポートに! 具体的なAI活用法
一人情シスが多忙になる状況を改善する手段として、AIや生成AIの活用が検討できます。
ここでは、情報整理から問い合わせ対応の補助まで、日々の業務を効率化する具体的な活用方法を紹介します。
情報をまとめて残すAI活用
一人情シスが多忙になりがちなのは、同じ業務を行っている人がおらず、業務が属人化しがちなことに起因します。まずはAIや生成AIを活用し、情シスのノウハウを他の人でも参照できるようにしましょう。
情シス業務のマニュアル作成サポート
生成AIは文章の整理や分かりやすいリスト形式での整理を得意としており、情シス業務のマニュアル化を進める際に大きな力を発揮します。
たとえば日々の対応内容や手順をメモとして残し、空き時間に順不同でAIへ渡すだけで、読みやすい手順書へ自動的に整えてくれます。担当者が休暇を取る場合や突然の引き継ぎが必要になった場合でも、作成したマニュアルがあることで業務内容をスムーズに共有できる点がメリットです。
簡易的な社内FAQの作成サポート
社内から寄せられる問い合わせを効率よく処理するために、簡易的な社内FAQを用意しておくと便利です。日頃届く質問内容をメモしておき、それらを生成AIにとにかく渡しておけば、質問リストの整理や分類を短時間で行えます。
さらに、回答を追記した状態で「整えて」などと指示しておけば、見出しや項目をそろえた「そのまま使えるFAQ」として仕上げることも可能です。完成したFAQを社内イントラに掲載しておけば、社員が自力で問題を解決しやすくなります。一人情シスの問い合わせ対応の負担において特に気持ちへのダメージが大きい「似たような質問を何度も何度も聞かれる」場面を大きく減らせる効果も狙えます。
日頃の壁打ち相手、相談役
相談相手がいない一人情シスにとって、生成AIを日常的に頼れる「壁打ち相手」として活用するのも有効です。新しい施策を検討する際のアイデア出しや進め方の整理など、「この場合はどう進めるべきか」「ヌケ・モレはないか」を一緒に考える相手として利用できます。
さらに、業務の悩みや不安を抱えているときには、AIに言語化を手伝わせることで気持ちの整理が進むこともあります。日常的にAIを活用し、自分の業務スタイルに合わせて育てておくことで、実務面でも精神面でも頼れる存在になります。
作業を自動化して効率化するAI活用
AIや生成AIは、作業を自動化することも得意です。ここでは、特に情シス業務に役立つAI活用法を紹介します。
AI支援で業務アプリを作成
ノーコード・ローコードで業務アプリを作成できるツールを使えば、プログラミングが苦手でも業務の自動化を無理なく進められます。申請フローや在庫管理、問い合わせ記録などの日常業務をアプリ化することで、情報が定型化され、入力漏れの防止や進行管理の効率アップにつながります。
さらにAIのサポートを併用すれば、「どの項目を作成すべきか」「どの処理を自動化すると効果的か」といった設計のポイントを整理できます。短時間で実務に即したアプリを形にできる点は、業務改善を着実に進めるうえで大きな強みです。
IT資産管理リストの作成サポート
IT資産管理に必要なリスト作成も、生成AIを活用すればスムーズに進められます。たとえば「IT資産管理用のリストを作って」と指示するだけで、パソコン名や管理番号、利用者情報などを整理したひな型を生成できます。手元の資産情報を入力し、体裁の調整もAIに任せれば、短時間で実用的なリストが完成します。
IT資産管理では、ライセンス期限や更新日などの項目も必要になりますが、これらもAIに含めて作成させることで抜け漏れを防ぐことができます。
AIで不足する部分は「社外」を頼る
AIは多くの業務を助けてくれますが、どうしても「人の力」が欠かせない場面もあります。特に、緊急対応や専門性の高い作業などは、AIだけでは補えません。
そこで有効なのが、必要に応じて社外のサービスや専門家を活用する方法です。ここでは、一人情シスを支える外部リソースの具体的な頼り方を紹介します。
キッティングや障害対応
入退社が重なる時期は独自環境の設定代行(キッティング)作業が集中し、一人情シスだけでは対応が追いつかなくなることがあります。また、基幹システムや社内パソコンに障害が発生した際も、突発的な作業が重なり業務負荷が一気に高まります。
こうしたときは、アウトソーシングを活用して作業の一部を外部に委託すれば、工数を大幅に減らせます。必要なときだけスポットで依頼できるサービスも多く、繁忙期の負担軽減に効果的です。
ネット環境整備やセキュリティ対応
ネットワーク機器の設定や配線、無線環境の最適化、ファイアウォールの設定などは、専門知識が求められる作業です。一人情シスがすべてを抱えると、日常業務に支障が出る可能性があります。
こうしたインフラ整備やセキュリティ強化は、外部の専門事業者に委託することで、安全性を確保しつつ、安定した環境を維持できます。万が一のトラブルを防ぐためにも、社内のネット環境を定期的に見直し、必要に応じて外部の力を取り入れることが重要です。
まとめ
一人情シスは日々の運用から突発対応まで多岐にわたる業務を抱え、負荷が蓄積しやすい環境にあります。だからこそ、AIを活用して業務負担を軽減し、属人化を防ぐことが重要です。
キッティングやネットワーク整備など専門性の高い領域は、外部サービスを活用することで、担当者の負担を大幅に減らし、業務の継続性を高めることができます。
大塚商会では「Microsoft 365 Copilot」の導入支援や運用サポートなど、生成AIを活用した業務改善を後押しする多様なサービスを提供しています。AIと外部リソースを上手に組み合わせ、より効率的に業務を進められる体制づくりを目指しましょう。
著者紹介:水無瀬 あずさ
現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、各メディアでコンテンツを執筆している。得意ジャンルはIT・転職・教育。生成AI×プログラミングでゲームを開発するための勉強にも励んでいる。(編集:株式会社となりの編プロ、ARC影山)
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