2014年 5月 1日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

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今年は一大ブームになりそう!? ウェアラブルデバイスでできること

テキスト: 太田百合子

スマートフォンやタブレットの普及に伴い、徐々に注目を集める存在となってきているのが、これらの機器と連動するウェアラブルデバイス。その名のとおり身につけて使うデバイスでどんなことができるのか、2014年4月現在、発表になっている製品から考察してみたい。

そもそも、「ウェアラブルデバイス」とは何か?

昨年あたりから「ウェアラブル」という言葉が、徐々に注目を集めるようになってきた。「ウェアラブル」とはその名のとおり、「身につけられる」という意味。未来の世界ではコンピューターを身につけて操作する「ウェアラブルコンピューティング」が実現する……とは、長くIT業界内で言われてきたことだが、そんな未来の世界が、いよいよ身近なものになってきたというわけだ。

中には既に製品化され、発売になっているものもあるが、これらの製品群はその機能や役割から大きく3種類に分類できる。一つ目は加速度センサーやジャイロセンサーなどを内蔵し、私たちの身体の動きから運動や睡眠を測定して、記録するもの。二つ目はスマートフォンの機能を拡張するもの。三つ目が身につけるスマートフォンとも言えるものだ。以降詳しく見ていこう。

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運動や睡眠、健康管理に役立つライフログデバイス

「ウェアラブルデバイス」と呼ばれる製品群の中で、最も多くの製品が既に発売されているなど、身近な存在となっているのが、運動や睡眠を測るセンサーを内蔵したデバイスだ。「Fitbit」や「Jowbone UP」、「NIKE+ FUELBAND SE」など、中には実際の製品に触れたことのある人や、既に使っているという人もいるかもしれない。また、2月に開催された、世界最大のモバイル関連見本市「Mobile World Congress 2014」では、ソニーとサムスンもそれぞれ、運動や睡眠を測る機能を持ったウェアラブルデバイスを発表。ますます注目を集める存在となってきている。

これらのデバイスに共通するのは、腕時計やリストバンド、またはベルトやカバンに取り付けられるような形状となっていて、非常にコンパクトだということ。中にはそれ自体に記憶容量を持つものもあるが、多くの場合その容量は限られていて、基本的にはスマートフォンやタブレット、パソコンとケーブル、またはBluetoothやWi-Fiなどの無線で接続して、データを送信する仕組みになっている。

内蔵する加速度センサーやジャイロセンサーといったセンサー類で、歩数や活動量、睡眠などを測定。それをスマートフォンなどに送ってアプリケーションやクラウドサービスに記録し、日々の生活の記録=ライフログが残せるというもの。例えば、ソニーでは、リストバンド型のウェアラブルデバイス「SmartBand SWR10」と一緒に、専用アプリケーション&サービス「Lifelog」も提供。SmartBandのセンサーで収集した体の動きに関する記録(歩数、活動量など)と、スマートフォンの記録(位置情報、視聴していたものなど)をまとめて記録できるようにしている。

ソニー「SmartBand SWR10」

ソニーの「SmartBand SWR10」。センサー部品「Core」は取り外しが可能で、リストバンドのほかネックレス型などさまざまなデザインの製品が、今後登場予定だ。

「Lifelog」に1日の行動を記録できる

「SmartBand SWR10」とスマートフォンのデータ合わせて、オリジナルアプリケーション&サービスの「Lifelog」に1日の行動を丸ごと記録できる。

サムスン「Gear Fit」

サムスンの「Gear Fit」は、背面に心拍センサーも内蔵。心拍数を確認しながらランニングなどの運動を行うことができる。

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着信通知からリモートコントロールまでスマホをサポート

「ウェアラブルデバイス」のもう一つの方向性が、スマートフォンの機能を拡張、あるいはサポートする機能を備えた製品群。サムスンの「Samsung Gear」シリーズや、スマートフォンとの連携機能を備えたカシオの腕時計「G-SHOCK」の一部製品などがこれにあたる。多くの場合、スマートフォンとはBluetoothで接続する仕組みで、着信時に振動や音、光で通知するほか、「ウェアラブルデバイス」から直接メールの内容をチェックしたり、音声操作で電話をかけたりする機能を備えたものもある。

「Samsung Gear」シリーズ「Gear 2」

「Samsung Gear」シリーズの最新モデル「Gear 2」。カメラも備え、写真撮影や音楽再生なども可能。音声操作で電話からSNS投稿までできる。

最近では6インチを超えるモデルも発売されるなど、スマートフォンが大画面化する中で、カバンから本体を取り出すことなく簡単な操作ができるようにしたいという、ニーズに応(こた)えるもの。腕時計型のほか、先の「Mobile World Congress 2014」では、リストバンドとヘッドセットの二通りの使い方ができるものや、着信を光で知らせるメガネなども発表されて話題を集めていた。

ファーウェイ「TalkBand B1」

ファーウェイの「TalkBand B1」は、取り外すとヘッドセットとしても使用できるリストバンド型デバイス。歩数を記録できるセンサーなども内蔵する。

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スマートフォンの機能を内蔵したメガネ型デバイス

これまでに紹介した「ウェアラブルデバイス」はいずれも、スマートフォンやタブレット、パソコンと連携することを前提としている。こうした連携デバイスに対して、それ自体がまるでスマートフォンのような機能を備えた、新しいタイプのデバイスとして注目を集めているのが、「Google Glass」やエプソンの「Moverio BT-200/BT-200AV」といった、メガネ型デバイスだ。

これらのデバイスはスマートフォンのOSとして採用されているAndroid OSをベースにしていて、それ自体に専用のアプリケーションを追加することができる。アプリケーションによっては、例えば、実際に見ている風景の上にナビゲーションなどの情報を被(かぶ)せる、AR(拡張現実)技術を用いたものも利用可能。「Google Glass」は音声コマンドで、「Moverio BT-200/BT-200AV」は専用コントローラーでタッチ操作する仕組みになっている。ほかにも同様のデバイスが複数のメーカーで開発されていて、今後が楽しみな分野と言える。

エプソン「Moverio BT-200/BT-200AV」

エプソンの「Moverio BT-200/BT-200AV」はAndroid 4.0を搭載。20m先に320型相当のシースルーの大画面を表示できる。

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