1. デジタル機器の買い換え需要増大でデジタル機器の廃棄に問題が……
このところ多くの企業で「働き方」に変化が生じている。長引くコロナ禍でテレワークを導入する企業が増えたし、オフィス外で仕事をする機会も増えてきた。それに伴ってワークスタイルに合わせた新しい機器の導入や買い換えといった需要も増大している。
ここで問題になってくるのが、今まで使ってきた「旧機器」の処分だ。例えば、データの保管をクラウドに移行すれば、従来のUSBメモリーやCD-Rの使用頻度は減る。機動性の高いノートPCやタブレットを導入すれば、不要になるデスクトップPCもある。
しかしデジタル機器には、社内機密・顧客情報が記録されていることが多く、気軽にポイと捨ててしまうわけにはいかない。また、バッテリーなどで環境汚染の可能性がある物質を使っている機器もあり、正しい廃棄の仕方が求められる。
そこで今回は、各機器の廃棄時に注意したい点をまとめてみた。
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2. 要チェック! デジタル機器別の廃棄方法
デジタル機器をいざ廃棄するとなると、どうしていいか分からないという人も多いだろう。機器によって使われている材質も違うし、データが記録されている機器の場合は、廃棄前にデータを抹消しておく必要もある。ここでは各種機器別の注意点をまとめておく。
パソコン本体
パソコン本体は、CPU、メモリー、記憶装置、ケースなどのさまざまなパーツの集合体だ。有害な物質が含まれる部品や資源として再利用できる部分も多く含まれているので、そのまま処分することはできない。
事業系パソコンについては過去連載の「年度末!使わなくなったパソコンの廃棄・再利用」で解説しているが、購入したメーカーによるリサイクル窓口に申し込みを行うのがベストだ。一般社団法人「パソコン3R推進協会」のサイトで、家庭用PC・事業用PCのリサイクルについて詳しく紹介されているので、ぜひ参照してほしい。
スマホやタブレット
昨今のビジネスでは欠かせなくなっているスマホやタブレット。こちらは個人情報の塊とでもいうべきものになっているので、その扱いには十分な慎重を期す必要がある。
最近ではアップルやGoogleなどのスマホメーカーが、機種変更のさいに旧機種を下取りに出すことで、新機種を安く手に入れられるサービスを行っている。これらの下取りサービスでは、新機種を購入して到着した後、ユーザーがデータなどの移行を行い、旧機種を完全消去し、メーカーに発送するという手順を行うことになる。発送した旧機種については、メーカーが責任を持って処分してくれる(状態によってはクリーニングして再販する)ので安全性は高い。
最近のスマホでは、下取りサービスを行っているメーカーが多い。自分の持っているスマホが対象機種であればこういったサービスを利用するといいだろう
東京五輪ではその準備期間中に、廃棄スマホから金を抽出して金メダルを作る試みが行われた。昨今はスマホなどのデジタル機器の回収ボックスを設置している自治体が増えてきているので、これらを利用して処分を行うのも手だ。
なお、信頼性の高い業者に任せる場合であっても、スマホを処分する場合には念のため手元にあるうちに完全初期化の処理を行っておこう。初期化の手順は各スマホによって異なる。必要なデータをバックアップしたうえで、確実に行ってほしい。
ディスプレイやプリンターなどの周辺機器
記憶装置を搭載していない周辺機器については、データ漏洩の危険性はないが、環境に有害な物質が含まれる場合もある。メーカーの回収サービスがある場合はそちらを利用するのが安全だ。
HDD、USBメモリーなどの記憶装置
データを記録する媒体については、特に注意が必要だ。廃棄した記憶装置から個人情報などが流出する可能性もある。廃棄前にフォーマットを行っても、専用ソフトでデータを復元されてしまう可能性は残ってしまう。
こういった事態を防ぐためには、データを復元できないよう、廃棄前に「完全消去」を行っておきたい。市販ソフトによる完全消去を行うか、後述する専門業者による廃棄サービスを利用したい。
こちらはアイ・オー・データ機器の「完全データ消去ソフト」。ハードディスクやUSBメモリーなどのデータを完全に消去し、復旧できないようにしてくれる
「アイオーデータ 完全データ消去ソフト 1本」(オフィス用品の通販サイト「たのめーる」が開きます)
CD/DVD/BDなどの光学メディア
CD-RやDVD-Rなどの光学メディアは、クラウドが普及した現在、使用頻度は減ってきているかもしれない。
光学メディアは経年劣化により、読み出しが行えなくなることもよくある。とはいえ「読めないから」という理由で、何も処理を行わないで廃棄してしまうのは禁物だ。自分のPCのドライブでは読めなくても、別のドライブでは読める場合もあるし、読めなくなったメディアを修復する機器も存在する。
読めなくなったCDやDVDの表面を研磨することで、読めなくなったディスクを修復する機器(写真はサンワサプライ「200-CD028」)
光学メディアを処分する場合は、物理的にメディアを破壊してしまうのがてっとり早い。枚数が少なければ大きめのハサミでも切り刻める。また光学メディア対応のシュレッダーがオフィスにあるようであれば利用するといいだろう。
充電池
最近問題になっているのが、充電池を内蔵した機器だ。充電池は発火の危険性がある。充電池内蔵機器については、自治体指定の店舗が回収を行っている場合もあるので、各自治体での対応を調べてみてほしい。またボタン電池などについては、絶縁してからの廃棄が必要になる場合もある。
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3. オフィスでの一括廃棄なら専用サービスがオススメ
ここまでさまざまな機器の廃棄について解説してきたが、オフィスでまとまった分量の機器を廃棄するのであれば、個々で行うよりも専用のサービスを使うほうが確実だ。
大塚商会の「データ消去&買取サービス」であれば、パソコンやタブレット、ハードディスク、サーバーやストレージなどのデータ消去や買い取り、磁気メディアなどの処分もまとめて行ってくれる
大塚商会「データ消去&買取サービス」
費用はかかるが、個々のユーザーで適切な処置を行うのは難しいし時間もかかるし、データの消去漏れなどのアクシデントも生じやすい。より安全・確実にデジタル機器の廃棄を完了させたい場合は、信頼できる業者の専用サービスを利用することをオススメしたい。
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