1. 総務とは
総務部は企業の事務業務および各部門の管理業務を担う部門です。その業務領域は、企業によって異なりますが、ビジネス環境の変化による組織改編が著しい昨今、総務部門の業務範囲は非常に広くなっており、業務ごとに分離・独立を繰り返しているのが実情です。人事部や経理部、法務部、広報部などは、総務部から分離・独立した部門だといえます。総務部門の基本機能は時代の変化とともに変わりつつありますが、総務の基本業務を振り返りましょう。
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2. 企業における総務部門の役割
総務部門の業務は、企業内の事務業務の全てをつかさどる部門といわれています。つまり、総務部から派生した人事部、経理部、法務部、広報部などの間接部門の中枢で、企業内の経営管理を行う部署です。業務領域は企業によって異なりますが、総務部の役割は次のようにまとめることができます。
経営トップのサポート業務 | 情報提供と意見具申(ご意見番としての役割) |
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全社的コミュニケーション管理 | 経営計画や経営戦略の策定など全社的な情報の連絡・調整、業務事項などの全社通達 |
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他部門のサポート業務 | 各部門がスムーズかつ効果的に業務を遂行できるよう支援 |
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全社的活動の推進 | 全社的活動の準備・PR活動・運営とその支援 |
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また、総務部門にとっては外部との関わりも重要な業務です。官公庁、取引先、各種関係先、金融機関、株主・投資家、経済・業界団体、学校・学生、地域社会、消費者などと良好な関係を保ち、会社を守る役割を担っています。
それでは具体的にどのような役割を果たしているのかを見ていきましょう。
経営トップのサポート業務
管理部門の要ともいえる総務部門は、会社の指揮官である経営トップの補佐役、つまり参謀としての役割も担っています。例えば、経営上の意思決定では、国内外の経済・社会・業界の動向など、企業を取り巻くあらゆる情報の分析が不可欠です。調査や情報収集をしなければならないケースもあります。総務部は、社内外からトップの判断材料となる情報を分析・検討し、企業経営にプラスとなる戦略を立てることが求められます。
また、経営トップが間違った判断や行動をした場合には、参謀役として進言することもあります。ただし、これには勇気も必要で、経営トップの意見には逆らえないという企業風土の場合は慎重な判断が求められます。
総務部は、組織の中でしばしば難しい立場に置かれることがありますが、経営トップに最も近く、社内にもネットワークを広げることができる立場にいるため、自社のことを一番よく理解し、企業全体を見渡すことのできる部門なのです。
全社的コミュニケーション管理
総務部は、企業内の組織の各部門を取りまとめる部署でもあります。例えば、経営計画策定の際には各部門から目標や実施細目などを提出してもらいますが、生産部門や営業部門、販売部門の間でズレがあり整合性がない場合は、実現性のある経営計画を立てるために修正する必要があります。各部門をうまくつなげ、横断的な連携が取れるように話し合いや根回し、協力要請などを社内の旗振り役となって推し進め、調整を図る機能を総務部は持っているのです。
また、総務部は社内の伝達役となって、会社の考えを社員に浸透させ、明確な方向へ導いていく役割を担っています。会社の経営目標が打ち出された際は、全社的な意思統一を図るため全社員に周知徹底し、明確な方向を示します。さらに、総務部は、共通目標達成のために各部門の業務は遂行されているか、部門間の連携は取れているかなどをチェックする機能も有しています。
他部門のサポート業務
総務部門を含む人事、経理などの管理部門は、会社の売り上げを効率的に伸ばすための活動をサポートする部門です。中でも総務部門は、全ての社員が気持ちよく活動できるようサポートする役割を担っています。例としては、会社の受け付け業務をはじめ、会議室の予約受け付け、お茶の準備、出張の際の切符や宿泊先の手配、事務用品・備品の調達、職場環境の整備などが挙げられます。他部門の社員たちは、自分たちの業務とは関係のない事柄については全て総務に連絡してくることが多いため、総務部の業務はどの部署にも当てはまらない業務と認識され、社内のさまざまな要望が総務部に寄せられます。
これらの事柄について、合理化や経費削減の観点から要・不要の判断、各部門へアドバイスを行い、従業員満足度の向上につながる内容か否かを検討し、サポート業務の機能を果たします。
全社的活動の推進
企業では、経費削減運動や禁煙促進運動、リサイクル活動など、全社的な活動を展開する機会が多々あります。このような社会的活動を会社が展開する際は、全社員の自発的参加と実行が求められます。誰もが活動の趣旨を理解したうえで「やらされ感」を無くし自主的に取り組むことができるよう、その推進役の中心となって活動するのが総務部です。
各部門からメンバーを募り委員会を発足させ、目標の設定、具体的な実行プラン、全社的なPR、実行支援、進捗(しんちょく)状況の把握・チェック、経過報告などを行うこともあります。また、オフィス移転など経営活動上のプロジェクトチームを発足する場合も、総務部は旗振り役としてその活動を支援します。
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