2022年 4月 4日公開

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人材配置で会社全体のパフォーマンスを最適化

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

人事の鉄則は「適材適所の人材配置」。これを実現するポイントとは。
春先は人事異動の季節。人事異動では、従業員のスキルや適正を把握し、適切な担当業務に配置することが求められます。適材適所に人材を配置することで会社全体の生産性が向上します。

1. 人材配置で業務効率の向上と人材育成をマネジメント

経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の中で最重要な要素が人材です。その人材を、企業活動を推進するために適切な部署に配置することが人材配置です。人材配置は、経営計画に基づいて必要とされる人員に対して、相応のスキル・キャリアを備えた人材を配置することが基本です。ただし、業務に直結した配置だけでなく、採用した新入社員や在職者の人材育成、キャリアアップのための人材配置を行う場合もあります。業務遂行と人材育成という二つの側面を総合的にマネジメントすることが人材配置においては重要です。

人材配置を最適化することにより、企業活動が活性化し、従業員のスキルも向上して会社全体の生産性が高まります。その結果、生産性向上→人材開発→さらなる生産性向上という企業活動の善循環が実現します。

一方、適切な人材配置が行われなければ、生産性が低下し従業員の不満も高まることとなります。このようなリスクを回避するためには、組織の状態を客観的に把握し、迅速に対応することが必要です。

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2. 働き方の多様化と人材配置の変化

テレワークなどで働き方の選択範囲や雇用形態が多様化している現在では、それぞれの人材のスキルや業績などの情報を詳細に把握し、可視化する必要があります。

人材データの基本は、本人の能力を客観的に把握することです。人事担当者が公平な視点で作成したデータに所属長や業務責任者、教育担当者など、複数人の面談結果を加味していきます。客観的な情報と多面的な評価、本人の希望を総合的に見ることで、必要とされる役割にふさわしい人材であるかを判断することが可能となってきます。

従来の企業に多くみられた「年功序列型」の組織では、在職経験をベースにした昇格・昇給が従業員の大きなモチベーションとなっていました。働き方が多様化してくると、業務のスキルアップや余暇の充実(介護・育児含む)など、従業員の志向もさまざまです。従業員の志向の多様化に対しては、1on1ミーティングなどのコミュニケーションを積極的に取り、従業員の希望や課題を把握し共有することが大きなポイントとなります。

従業員それぞれが描く将来像(キャリアデザイン)を共有することは、本人のモチベーションを高め、定着率の向上にもつながります。コミュニケーションを深めることで、企業の目指す方向と従業員の目指す方向が一致すると、さらなる業務効率の向上も図ることが可能になってきます。

人材配置最適化の方法

人材配置を最適化するためには、人材配置の目的を全員が理解する必要があります。つまり、経営計画の周知と理解です。経営計画は中長期の計画と単年ごとの計画に分けて策定されます。中長期計画で数年先に目指す方向性を定め、それに沿って直近の行動計画(単年の経営計画)を立案します。この計画に沿って人材配置を行います。

組織体制の変更による人員配置

組織体制の変更を行う場合は、新設の部署と廃止部署、部署の統合・離散が伴います。また、管理職の配置や権限の変更など、職制の改革を行う場合もあります。いずれにしても、組織リニューアルの目的を明確にして、それぞれに期待する役割に沿った人材配置を行うことになります。客観的に可視化された人材データがあれば、それを基に人選を行い、従業員が自身の役割を理解し納得した上で人事異動を行います。このステップをあいまいにしたまま組織変更を行うと、従業員のモチベーション低下や退職者の増加など、目的を達成できないリスクが発生する可能性が高まりますのでご注意ください。

人事異動による人材配置

人事異動は、部署の業績(業務内容と人件費の調整)、昇進・昇格、欠員補充、人材育成などを目的として行います。定期的な人事異動は、従業員のスキルアップを目的として行う場合が多く、さまざまな業務や人間関係、勤務環境を経験することで社員としての成長を促します。社員の適正や能力を把握し、どのような人材として育成するかを検討します。従来は、本人の希望よりも企業側の意向(人事戦略など)に沿って人材配置するケースが多かったのですが、本人の希望を重視した人材配置を行う企業もあります。従業員が目指す方向を企業が理解し、支援することで業務に対してのモチベーションを高める狙いがあるようです。働き方の多様化とともに、このような企業が増えてくるのではないでしょうか。

人材配置の注意点

人材配置を行う際は、以下の点にご注意ください。

配置転換・リストラ

業績の悪化や業務の縮小によって余剰人員が発生した場合は、他部署への異動やリストラを実施することがあります。特にリストラについては、企業へのロイヤリティ(帰属意識)の低下や残された従業員のモチベーション低下などを招き、企業全体の活力が損なわれる懸念がありますので、極力回避する努力を行ってください。どうしても不可避の場合は、労働基準法などの関係法令に従って手続きを行います。

短期間での不用意な人材配置を行わない

人材配置を実施した効果が現れるまでには、しばらく時間がかかります。特に人材育成を目的とした場合は、新しい部署や業務に慣れて効果が現れるまでに2~3年かかる場合もあります。短期間で結論を急いで、人材配置を繰り返すと人材配置のメリットよりも混乱と不信感によるリスクの方が大きくなってしまいます。人材の育成はじっくりと行いましょう。

ただし、従業員の環境不適合による不調の発生には注意してください。メンタル系疾患や体調不良につながる恐れもありますので、この場合は迅速に処置する必要があります。

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3. 人材配置の最適化が企業発展のキーワード

企業は人材で成り立っているといっても過言ではありません。しかし、人間関係を円滑に保つことは容易ではありません。あちらを立てればこちらが立たずということはよくあることです。人材配置では、業務スキルだけでなくリーダーシップなどの人間性も大きな判断材料となります。人材配置を検討する際は、部署の管理職やリーダーと人事担当者が配置を実施した場合、どのようなメリットとデメリットが発生するのかを具体的に検討することをお勧めします。

一見無謀に思える配置でも、課題解決を行えば効果の高い人材配置になることもあります。逆に、無難な配置と想定していたのに、混乱が生じる場合もあります。人材配置は、失敗すると人材流出など、企業存続の危機に陥るリスクも含むため、人材データを基にじっくりとシミュレーションを行いましょう。

適切な人材配置は、従業員の満足度を高め業務効率の向上を実現します。先がなかなか見通せない不測の時代では、人材が大きな財産となります。人材配置の最適化を実践して、企業の成長と発展を実現しましょう。

参考

厚生労働省「企業における人材マネジメントの動向と課題」(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

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4. 人材情報を可視化・分析し、人材の最適な配置を実現

タレントマネジメントシステム RocoTalent

タレントマネジメントシステムは、人材に関するデータ分析を多面的に行い、情報を可視化して最適な人材配置や教育・採用計画を支援するシステムです。能力、評価、スキル、経験、資質、ワークライフバランスといった多面的な人材情報を収集し分析することで、精度の高い人材の最適配置、将来のリーダー候補を選抜する後継者計画、プールされた人材集団に対する的確な教育プランニング、さらに離職防止や企業に必要な人材モデルを定義して採用計画を支援します。

タレントマネジメントシステム RocoTalent(ロコタレ)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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