2022年 4月13日公開

【連載終了】読んで役立つ記事・コラム

株主総会、バーチャル化へのステップ

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

どこからでも参加できるバーチャル株主総会の開催方法とは。
株主総会がリアルな開催からオンラインで行うバーチャル形式に急速に移行が進んでいます。いきなり完全移行するのは難しくても、まずは、リアルとバーチャルを併用したハイブリッド株主総会にトライしてみましょう。

1. 株主総会とは

株主総会は株式会社の最高決議機関であり、株式会社の組織、運営、管理その他株主会社に関する一切の事項について決議することができます。株主総会は定時株主総会と臨時株主総会の2通りあり、定時株主総会は毎事業年度の決算日から3カ月以内に招集しなければなりません。株主総会は法律(会社法第295条)に基づいて開催しなければいけませんので、準備と運営は慎重かつ丁寧に行う必要があります。
日本の多くの企業では、3月末日を事業年度の決算日としているため、毎年6月中旬以降は株主総会の開催ラッシュとなり、会場となるホテルやホールが取り合いとなることもありました。しかし、この状況は、2020年初頭からまん延が始まったコロナ禍の影響で大きく変化しています。

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2. リアル株主総会とコロナウイルス感染拡大防止対策

コロナ禍では感染拡大防止の観点から、多くの人が集まるスポーツイベントや催事が中止や感染防止対策の徹底などの要請がなされました。株主総会も多くの株主が集まりますので、感染防止対策は必須となっています。

運営での対策項目

  • 感染防止対策の周知徹底
  • 来場する株主数の制限
  • 事前登録制の採用
  • 開催時間の短縮

会場施設の対策項目

  • 会場内テーブル・椅子の消毒
  • 入場時の消毒・検温、マスクの着用
  • 受付、座席のソーシャルディスタンスの確保
  • 会場内の換気促進

参考

経済産業省「新型コロナウイルス感染症拡大下における『株主総会運営に係るQ&A』」(経済産業省のWebサイト<PDF>が開きます)

新型コロナウイルス感染防止対策では、テレワークはじめ、オンライン会議やバーチャル展示会など、ネットワークを活用したビジネススタイルが急速に浸透しています。そのため、リアルな株主総会がネットワークを活用したバーチャルな株主総会に移行することは当たり前の流れかもしれません。

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3. リアルな株主総会からバーチャルな株主総会へ

このような状況のもと、2021年からバーチャルな株主総会を行う企業が増えてきました。バーチャル株主総会とは、リアルな株主総会を開催することがなく、取締役や株主がインターネットなどの手段により株主総会に出席する株主総会です。

しかし、現行の会社法の規定では株主総会は会社法298条1項1号により、株主が質問し説明を聞く機会を確保するために、物理的に入場することができる場所でなければならないと解釈されています。そのため、会場を持たないで完全にバーチャルな空間で株主総会を招集することは難しいとされていました。

この課題に対処するために、産業競争力強化法が制定されて、金融商品取引所に上場している企業は、担当大臣(経済産業大臣・法務大臣)の事前確認などの諸条件を満たせば、物理的な会場を設けないバーチャルオンリーの株主総会が開催可能となりました。

また、上場していない企業でも、リアルな会場+インターネットでの参加・出席を組み合わせたハイブリッド型バーチャル株主総会は開催可能です。感染拡大防止などの運営負担軽減化で、会場規模を縮小し遠隔地の株主はインターネットによる参加・出席を募る企業も多くなっています。

ハイブリッド型バーチャル株主総会の留意点

1. 参加型タイプ

参加型タイプは、当日議決権などの株主権限は行使せず視聴のみを行うスタイルとなります。従って、議決権を行使する場合はあらかじめ書面にて送付します(委任状含む)。

参加方法は、動画配信を行うWebサイトなどにアクセスするためのIDとパスワードを発行し、視聴方法などの説明書とともに招集通知に同封して送付します。

参加型タイプのメリットは、ウェビナー(セミナー配信)と同じように手軽に配信できることです。一般株主が全国に存在する場合は、株主の移動負担が大幅に軽減されます。株主総会を企業や製品・サービスの理解促進やPR活動の機会として利用する場合にお勧めです。

ここでは、多くの企業が対象となる「ハイブリッド型バーチャル株主総会」運営の留意点について解説します。ハイブリッド型バーチャル株主総会は、株主が行使する権限に応じて二つのタイプに大別されます。

2. 出席タイプ

出席タイプは、バーチャルオンリー株主総会のトライアル版的な株主総会になります。参加する株主は、当日の議決権、質問、動議などの権利行使を可能とするため、リアルな株主総会の出席と同じ対応をする必要があります。

事前に整理・検討が必要な項目は以下の通りです。

  1. 本人確認方法
  2. 株主総会の出席と議決権行使の効力
  3. 質問・動議の取り扱いと方法
  4. 議決権行使の方法
  5. 招集通知の記載内容、事前配布資料、お土産など
  6. 当日説明のスライド・ビデオ

株主の本人確認は、なりすましなどの不正出席を防ぐために、ID/パスワードだけでなく2段階認証などの高度な確認方法を採用することが推奨されます。また、議決はどのような方法で行うのか、集計結果を表示するシステムをどうするのかなどの技術的な課題もクリアにしておかなければなりません。質問や動議を受け付ける際に、メールやチャットのシステムを使用するのか、使用する場合、文字数の制限をかけるのか、質問者の選定、指名はどのように行うのかなども決めておく必要があります。

これらの留意事項を自社で用意するのが難しい場合は、専用のサービスの利用を検討しましょう。その場合は、自社が行っている株主総会を基準に操作性、セキュリティを確認してください。招集する株主が安心してストレスなく利用できることがポイントです。

参考

経済産業省「『ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(別冊)実施事例集』を策定しました」(経済産業省のWebサイトが開きます)

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4. バーチャルオンリー株主総会に向けて

ここまで、ハイブリッド型バーチャル株主総会の運営を中心に説明してきましたが、会場を設定せずに行うバーチャルオンリー株主総会開催の法的整備は急ピッチで行われるのではないでしょうか。
バーチャル時代になったときに、運営で右往左往しないためにも早い段階からハイブリッド型バーチャル株主総会に移行して、ネットワークツールを駆使した株主総会運営のノウハウを蓄積することが大切です。国内外で企業を応援する株主(ステークホルダー)の理解促進を醸成する機会として、新しい時代の株主総会を構築していきましょう。

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5. 最大2万6,000カ所まで同時接続ができるクラウド型Web配信サービス

V-CUBEセミナー

ライブ配信ができるV-CUBEセミナーは、講習やセミナー、研修などをオンライン開催でき、最大2万6,000カ所まで同時接続が可能です。参加者はPCのほか、タブレットやスマートフォンなど、どのデバイスからも参加できます。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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