1. 部署の運営はどのように行うのか
管理職の大きな役割は、担当する部署において、経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報をマネジメントし、経営計画で定めた目標を達成することです。目標達成のためのステップは、以下のようになります。
1. 情報収集
目標達成のためには、経営計画を理解し現状を正しく把握することが最初のステップとなります。会社が何を目指すのか、会社の位置付け、競合、市場の状況・見通し、社内の状況、部署の状況、スタッフの状況を客観的に把握することが必要です。
2. 戦略立案
情報を分析し課題を抽出します。課題が明確になれば、その解決方法を立案します。これが目標達成のための戦略となります。この段階でのポイントは「見える化」です。分析に必要な情報はできる限り数値化しましょう。
例えば、「製品ロスをなくす」という課題の場合、製品ロスの「10%削減」であれば、ちょっとした工夫で無理なく実行可能ですが、削減効果は低くなります。一方、「90%削減」とした場合は、大幅な設備の変更や体制の変更が必要ですが削減効果は高くなります。適切な分析で費用対効果を追求すれば判断ミスを避けられ、経営者やスタッフに対して説得力のある説明も可能になってきます。
3. 情報発信
目標達成のための部門戦略を立案したらスタッフに周知します。概要を全員に説明し、スタッフ個々に対して役割分担を中心とした詳細を説明します。ここでは、分かりやすい説明とコミュニケーション力が問われます。普段から円滑な関係性を築くことで、スタッフの個性を理解し、それを踏まえた役割分担を行うことが可能となります。スタッフ各自が納得し、高いモチベーションで業務を行えるような情報発信を心掛けましょう。また、関連する部署に方針を説明し、理解と協力を得ることも必要となります。
4.実施展開
部署のスタッフ全員が、戦略を正しく理解し自立して業務を行うことが基本です。実施段階では、スタッフの自立した動きとモチベーションを維持するために、管理職からの指示は必要最小限にしましょう。管理職の役割は、スタッフにとってアドバイザーであり、サポーターとなることです。
部署の運営に必要な管理職の役割は、部署内だけにとどまりません。関連する他部門や経営陣との調整、取引先はもちろん、協力会社・スタッフ、関連する官公庁・自治体、業界団体との調整に奔走する場合もあります。目標達成のために、部署のスタッフが働きやすい環境を整えるのも管理職の大きな役割です。
5. 進捗管理
結果が出てから判断するのではなく、中間過程で改善の指示を行えるようにするために、日々の進捗(しんちょく)管理はきめ細かく迅速に行います。ITの時代になり、情報量は増え、スピードは格段に速くなっています。人の動き(スケジュール管理)やお金の動きを瞬時に把握できるようにすることがポイントとなります。
この段階での管理職の役割は「気づき」です。スタッフに課す役割とスケジュールを詳細に管理することで、早い段階で改善点に気付き判断を行うことが可能となります。早期のサポートや軌道修正は部署の運営リスクを軽減します。
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2. 働き方の多様化と部署の運営
企業は、人が集まって業務を行う組織です。これまでは、部署は組織の一部として機能し、部署のスタッフが一丸となって業務に取り組むことで、目標達成を果たしてきました。ここで求められたのは、管理職の強いリーダーシップです。そのため、管理職に人事・予算などの大きな権限を与える企業もありました。
しかし、働き方の多様化が進み、管理職に求められる役割や機能が変化してきました。もちろん、経営目標達成のためにスタッフをけん引するリーダーや責任者としての役割は同じですが、求められる機能は「強いリーダーシップ」から「的確な調整能力」に変化しています。
働き方の多様化とは、さまざまな身分やスキルを持ったスタッフが業務を行うことで業務効率を向上させることです。組織的に業務を遂行するスタイルから、個性やスキルに応じて人材を適材適所に配置して業務を処理するスタイルに変化しています。スタッフの適性を把握し、スキルを発揮するための環境を整えることが、これからの管理職に求められる要素になります。
管理職は、スポーツの監督に例えられることがあります。プロ野球の場合、選手はスキルによって報酬や契約形態が異なります。監督は試合の状況に応じて、選手のスキルや個性を生かす采配を行います。活躍するのは選手ですが、試合の勝ち負けの責任を取るのは監督です。企業においても、部署で活躍するのは社員やスタッフですが、部署に課せられた目標達成の評価は管理職が受けることになります。
社員・スタッフの個性と志向を見極め、適材適所の配置でプレーヤーを育成する管理職を目指してみてはいかがでしょうか。
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3. 働きやすい環境が円滑な運営を支える
円滑な部署の運営に必要なことは、適切な労務環境の整備です。企業では営業や製造など、直接収益を上げる部門をサポートするために総務・人事・経理という労務環境を整えるための間接部門が存在します。部署においては、管理職が間接部門の窓口として機能します。
- 総務機能:経営者・他部門との折衝・調整、インフラ整備、コンプライアンスの維持、健康管理、福利厚生など
- 人事機能:労務管理、人材育成、採用・退職手続き
- 経理機能:部門経費の管理、人件費・設備費の管理、購入申請・手続き
部署の運営とは、ヒト・モノ・カネ・情報のマネジメントです。社員の時代は、必要なときにしか接することのなかった間接部門が、管理職になると身近な存在となるのです。総務・人事・経理と連携して、部下が安心して働ける環境をつくり、目標達成ができる部署として運営を図りましょう。
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4. 活気あふれる社内組織づくりのための次世代リーダー育成をサポート
経営支援サービス
経営支援サービスは、経験豊富な中小企業診断士やITストラテジスト、MBAホルダー、経営品質協議会認定セルフアセッサーなどが協力して、お客様のさまざまな経営上の悩みに対して現状整理と改善アドバイスを提供する無料のサービスです。次世代リーダー育成、チームビルディング、モチベーション向上など、活気あふれる社内組織づくりにあたって重要になる要素をご提案します。
- *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。
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