1. 就業スペースの照度について
社会情勢の変化や照明に関する技術の進歩などを踏まえ、作業面(机など)の照度に関する基準が引き上げられました(事務所則第10条)。この改定は、2022年12月1日に施行予定のため、基準を下回っていないか今のうちに確認しておきましょう。
なお、ルクスが示す明るさのイメージは次のとおりです。
ルクス | 明るさのイメージ |
---|
300ルクス以上 | 食卓、洗面台、調理台、リビングで読書、パソコン使用時の手元の照明 |
150ルクス以上 | リビング、書斎浴室、玄関などの全体の照明 |
70ルクス以上 | トイレ、廊下などの照明 |
パソコンなどのディスプレイを使用する場合
書類上およびキーボード上における照度は300ルクス以上を目安としています(「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(基発0712第3号 2019年7月12日))。今回の改定に直接関係はありませんが、ディスプレイについてはまぶしさ、反射、位置角度なども疲れ目の原因となりますので、不快感を軽減するような次の措置を併せて講じると良いでしょう。
- 太陽光が強すぎる場合は、ブラインドやカーテンなどで遮光する
- ディスプレイの反射が気になる場合は間接照明を使用する、ノングレア(非光沢)のディスプレイに変更する
- ディスプレイと書類を交互に見る作業では、目が疲れない位置に書類を置き、明暗差が少なくなるよう、ディスプレイの照度を調整する
- ディスプレイは、目から40cm以上の距離を保って、画面の上端は目の高さまでにする
- 小まめに小休止を取り、目を休める
- 正しい作業姿勢で、時折立ち上がるか立ち姿勢で作業する
など
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2. そのほかの主な労働衛生基準の見直しについて
トイレの設置
職場のトイレは、従業員数や規模にかかわらず男性用と女性用に区別して設置することが原則とされていました。しかしながら、居住用マンションの1室を業務に使用している場合は、建物の構造上トイレを増築することが困難であったり、小規模な賃貸物件などでは、そもそもトイレの増改築が認められていなかったりと、実情に合わない状況となっていました。そのため、今回の改正では、同時に就業する労働者が常時10人以内である場合は、独立個室型のトイレを設置した場合に限り、例外的に男女別による設置は要しないとされました。ただし、既に男女別のトイレを設置している場合、トイレの一部を廃止するなどはできませんので注意が必要です。
救急用具
作業場に備えるべき救急用具・材料について、一律に備えなければならない具体的な品目についての規定が削除されました。
その代わりに各職場で発生することが想定される労働災害などに応じて、応急手当に必要なものなどを産業医などの意見や、衛生委員会、そのほか衛生に関する会議などでの検討結果を踏まえて備え付けることになりました。ばんそうこうや頭痛薬といった常備薬から、感染症対策のマスク、体温計、消毒用アルコール、抗原検査キットなど、今、職場で本当に必要な救急用具は何か、この機会に話し合ってみてはいかがでしょうか。
そのほかにも、休憩室は職場の実情に応じて広さや設備などを検討することが望ましいことや、体調不良時などに使用する休養所は随時利用が可能となるよう機能を確保し、入り口・通路からの目隠しをしたり、設置場所によっては出入りを制限したりするなど、プライバシーと安全性の両者に配慮することなどが定められました。社会が多様な働き方へとシフトする中で、職場の在り方もまた柔軟かつ、より快適なものとなるようシフトしています。
- *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。
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