2022年 6月20日公開

【連載終了】読んで役立つ記事・コラム

いまさら聞けない「SDGs」 変化する時代に求められることとは?

著者:岩野 麻子(いわの あさこ)

あなたの会社は、未来の社会にどんな貢献をしていますか。
今、「企業活動や自身の携わる職業を通じて、社会に対しどのような貢献ができるか」に重きを置いて就職活動を行う若い世代が増えています。そのような中、企業側は、本業を通じてどのような貢献をしているのか、具体的に語ることはできているのでしょうか。

1. 持続可能な開発目標「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」とは

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でより良い社会の実現を目指す世界共通の目標です。2015年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられました。2030年を達成年限とし、17のゴールと169のターゲットから構成されています。

SDGsの五つの特徴

普遍性先進国を含め、全ての国が行動
包摂性人間の安全保障の理念を反映し「誰一人取り残さない」
参画型全てのステークホルダーが役割を
統合性社会・経済・環境に統合的に取り組む
透明性定期的にフォローアップ

出典元:外務省「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/sdgs_gaiyou_202202.pdf)

17のゴールについて

持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組(外務省のWebサイト<PDF>が開きます)

SDGsはポジティブかつスピーディーに行動しやすい

SDGsの特徴の一つは、これを守るためのルール(法律)や、手法が決まっているわけではないという点です。そのため、これをしないと罰則がある、このやり方をしなければならないということはありません。
その理由の一つとして、これからの社会は、複雑で変化の早い時代であることが挙げられます。各国の法律や、企業が抱える課題などを一つ一つ調整して、一律のルールを作っていたのでは、とうてい間に合いません。そのために、こうありたいとする社会を17分野のゴール(ビジョン)として設定し、そのための行動目標を169のターゲットとして設定、達成度合いを指標で測り、進捗(しんちょく)を管理する、という3層構造になっています。そのため、企業だけでなく個人も「そのために何ができる?」とすぐに自分に置き換えて行動ができます。

企業は自社の現状を見つめ、課題の整理を

あなたの会社や、あなたの会社が作る商品がもし無くなったら、困る人はいますか? また、世界や日本、地域社会にとって、どのような損失があるでしょうか。もし、無くなっても困る人がいないというなら、どうすれば必要とされる会社、商品になるのでしょうか。
SDGsの3層構造(ゴール/行動目標/指標)は、企業のビジョンや経営理念が、時代の変化に適合したものになっているか、社会課題の解決と結びついているかなどを見つめなおすきっかけとなったり、社内の課題を体系的に整理する手助けとなったりします。
SDGsが少し理解できたら、まずは、自社の現状を見つめなおして、社内の課題を整理してみてはいかがでしょうか。課題を解決するためには、新たな目標設定や目標ごとのKPI(重要業績評価指標)など、達成度を測定できる指標も必要です。また、早い段階から経営陣だけでなく従業員の方々にも参画してもらうことで、ビジョンや課題を社内全体で共有しやすくなります。経営陣としては、従業員の主体性を引き出したり、社内のチームワークやコミュニケーションを活性化したりすることをもう一つのテーマと捉えても良いかもしれません。

働きがいも経済成長も

SDGsの八つ目の分野は「働きがいも経済成長も」で、具体的なゴールは「包摂的かつ持続可能な経済成長、および全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」です。
社会課題の解決、地域社会への貢献などと聞くと気おくれしてしまったり、漠然としていて何から手を付けたらよいかわからないと感じたりする場合は、難しく考えず、まずはこの八つ目のゴール「働きがいも経済成長も」から取り組んでみてはいかがでしょうか。ある種「こんなこともできていない」と感じる課題が見つかったとしても慌てることはありません。

課題の一例

  • 業務が作業になり、やりがいを持ちづらい
  • 長時間労働が常態化しており、繁忙期は残業時間が100時間を超えることもある
  • 従業員同士の嫌がらせがあり、パワハラ、セクハラもある
  • 外国人労働者、技能実習生に生活に困らないだけの満足な賃金を支払えていない
  • 女性には責任ある仕事を任せない

目標設定の一例

  • 顧客からの「ありがとう」の声を従業員に届ける仕組みをつくる
  • 過去の退職者の退職理由を分析・改善し、離職率を年間●%以下に減少させる
  • 長時間労働の原因を分析・改善し、1人あたりの残業時間を1カ月あたり●時間減らす
  • 過去のクレームの件数と内容を検証し、クレーム0件を目指す
  • 1カ月に●回、定期に面談を行い、従業員をフォローしたり成長を支援したりする

小さな目標達成の積み重ねで、「働きがいも経済成長も」という大きなゴールを目指してみてはいかがでしょうか。

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