2018年 2月22日公開

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押さえておきたい文書管理の知識

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

文書管理の徹底が会社・組織の守りにつながる。
業務で発生する文書は貴重な情報資産であり、公的な記録証書にもなります。文書を適切に管理していくために、文書管理の知識を押さえておきましょう。

1. 文書のライフサイクル(作成から廃棄まで)

文書管理では、文書を一生に見立てた「ライフスタイル」という考え方があり、全ての文書は、下の図のとおり、「発生(作成)」から「廃棄」までのプロセスをたどります。

1.発生(作成)
文書を作成します。
2.処理(活用)
承認、決裁、配布、回覧、掲示など文書の目的に合わせて活用します。
3.保管
文書を必要に応じて閲覧・参照できる状態にしておきます。
4.保存
保管を終えた文書を保存期間満了まで、長期保存します。
5.廃棄
保存期間が満了した文書を処分します。

「保管」と「保存」の違い

「保管」と「保存」は似たような表現ですが、明確に区別されています。

  • 「保管」は、参照頻度が比較的高く、必要に応じて即座に参照できるようファイリングし、事務所内のキャビネットなどに収納して管理している状態を指します。
  • 「保存」は、あまり使われなくなった文書や、法的に保存義務がある文書を倉庫などで集中管理している状態を指します。

廃棄の仕方

廃棄といってもゴミ箱に捨てればよいということではありません。廃棄とは復元できない状態にすることです。シュレッダーで粉砕するのが一般的な方法ですが、大量の場合は専門の処理会社が溶解処理する方法もあります。マイナンバーを扱った書類など、場合によっては適切に廃棄したことを証明しなければならないこともありますので、重要書類を廃棄する際はご注意ください。適切な廃棄をしなかったために個人情報が流出するなどの事故も起きているため、情報セキュリティ上もきちんとした廃棄処理を施すことが必要です。

処理された文書が整理されず、個人のデスクに山積みになっている、利用頻度が低くなった保存文書の管理が行き届かなくなり、所在が不明確になったり、キャビネット内では使わない文書(保存文書)が幅を利かせていたり……という状況では必要な書類が紛失するトラブルも発生しやすくなり、情報漏えいの要因にもなります。電子文書でも同様です。これが常態化しているようでは、業務を円滑に遂行することができません。「文書情報マネジメント」の考え方を取り入れ、効率的に文書管理を実践していく必要があります。

文書管理とは?社内文書を整理し業務効率化を図るポイントをご紹介

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2. 文書の保存期間

企業で扱う文書には、法的に保存年限が定められているものがあります。総務・人事・経理が扱う文書の保存年限は以下のとおりです。

総務部門が扱う文書

保存年限文書名根拠法
永久定款いずれも法令により永久保存を義務付けられたものではないが、
文書の性格上、永久保存が必要なもの
株主名簿、社債原簿、端株原簿、
新株予約原簿、株主喪失登録簿
登記・訴訟関係書類(権利証など)
官公署への提出文書、
官公署からの許認可書・通達などで重要な書類
知的所有権に関する書類(特許証・登録証など)
社規・社則およびこれに類する通達文書
永続的な効力を持つ契約に関する文書
重要な権利や財産の得喪・保全・解除
および変更に関する文書
社報、社内報、重要刊行物
製品の開発・設計に関する重要な文書
10年株主総会議事録(本店備え置き分、支店備え置き分はその謄本を5年保存)会社法
取締役会議事録、監査役会議事録、委員会議事録会社法
重要会議の記録 
満期・解約となった契約書 
製品の製造、加工、出荷、販売の記録 *民法では20年PL(製造物責任)法
5年事業報告(本店備え置き分、支店備え置き分はその謄本を3年保存)会社法
有価証券届出書・有価証券報告書および関連書類金融商品取引法
産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し廃棄物の処理および
清掃に関する法律施行規則
産業廃棄物処理の委託契約書
契約期限を伴う覚書、念書、協定書などの文書 
重要な受信・発信文書 
3年四半期報告書、半期報告書
およびその訂正報告書の写し
金融商品取引法
官公署関係の簡易な認可・出願などの文書 
一般の社内会議記録、業務日報、
簡易な契約関係書類、参照の必要性のある文書など
 
什器・備品台帳 
消火設備点検書類消防法
1年臨時報告書、自己株券買付状況報告書
およびそれらの訂正報告書の写し
金融商品取引法
当直日誌、往復文書、受信・発信文書、
通知書類などの軽易な社内文書
金融商品取引法
住所・氏名変更 

人事部門が扱う文書

保存年限文書名根拠法
永久重要な人事に関する文書いずれも法令により永久保存を義務付けられたものではないが、
文書の性格上、永久保存が必要なもの
労働組合との協定書
5年従業員の身元保証書、誓約書などの書類身元保証法
4年雇用保険の被保険者に関する書類(離職証明書など)雇用保険法施行規則
3年労働者名簿労働基準法
労働基準法施行規則
賃金台帳
*国税通則法では7年保存が義務
雇入れ・解雇・退職に関する書類
災害補償に関する書類
賃金その他労働関係の重要書類(タイムカードなど)
労災保険に関する書類労働者災害補償保険法施行規則
労働保険の徴収・納付等の関係書類
*雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿は4年
労働保険の保険料の徴収等に
関する法律施行規則
企画業務型裁量労働制についての
労使委員会の決議事項の記録
労働基準法施行規則
労使委員会議事録労働基準法施行規則
身体障害者であることを明らかにすることができる書類障害者の雇用の促進等に
関する法律施行規則
派遣元管理台帳、派遣先台帳労働者派遣事業法
労働者派遣法
2年雇用保険に関する書類(雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届など)
*被保険者に関する書類は4年
雇用保険法施行規則
健康保険・厚生年金保険に関する書類
(標準報酬決定通知書など)
健康保険法施行規則
厚生年金保険法施行規則

経理部門が扱う文書

保存年限文書名根拠法
10年計算書類および付属明細書
(賃借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)
会社法
会計帳簿および事業に関する重要書類(総勘定元帳、各種補助簿、株式申込簿、株式割当簿、株式台帳、株式名義書換簿、配当簿、印鑑簿など)会社法
7年取引に関する帳簿
(仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛簿、買掛帳など)
法人税施行規則
決算に関して作成された書類(棚卸表など)
*会社法で10年保存が義務付けられたものを除く
現金の収受・払い出し、預貯金の預け入れ・引き出しに際して作成された取引信憑書類(領収書、預金通帳、借用証、小切手、手形控、振込通知書など)
取引信憑書類(請求書、注文請書、契約書、見積書、仕入伝票など)
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存
(注文書、契約書、送り状、領収書、見積書など)
電子帳簿保存法施行規則
課税仕入れ等の税額控除に係る帳簿、請求書等
(5年経過後は、帳簿または請求書などのいずれかを保存)
消費税法、消費税法施行令、
消費税法施行規則
資産の譲渡等、課税仕入れ、
課税貨物の保税地域からの引き取りに関する帳簿
消費税法、消費税法施行令
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、
給与所得者の配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書
国税通則法
給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書国税通則法
源泉徴収簿(賃金台帳)国税通則法
5年監査報告書(本店備え置き分、支店備え置き分はその謄本を3年保存)会社法
金融機関が保存する、非課税貯蓄申込書・同申告書・同限度額変更申告書・同勤務先異動申告書・同廃止申告書などの写し所得税法施行令、消費税法施行規則、
租税特別措置法施行令、租税特別措置法施行規則
金融機関が保存する、海外転勤者の財産形成非課税住宅貯蓄継続適用申告書・海外転勤者の国内勤務申告書などの写し
金融機関が保存する、退職等に関する通知書

労働安全で扱う文書

保存年限文書名根拠法
40年石綿(アスベスト)除去作業等の記録石綿障害予防規則
石綿健康診断個人票
石綿等に係る作業場の石綿場の石綿濃度の定期測定記録
30年クロム酸等の空気中における濃度の定期測定記録特定化学物質障害予防規則
特別管理物質についての作業の記録
放射線業務従事者の線量の測定結果記録電離放射線障害防止規則
電離放射線健康診断個人票
特別管理物質を扱う業務に携わる労働者の特定化学健康診断個人票特定化学物質障害予防規則
7年粉じん濃度の測定記録、測定結果の評価記録粉じん障害防止規則
じん肺健康診断記録、じん肺健康診断に係るエックス線写真じん肺法
5年一般健康診断個人票労働安全衛生規則
有機溶剤等健康診断個人票有機溶剤中毒予防規則
鉛健康診断個人票鉛中毒予防規則
四アルキル鉛健康診断個人票四アルキル鉛中毒予防規則
特定化学物質健康診断個人票 *クロム酸等は30年特定化学物質障害予防規則
高気圧業務健康診断個人票高気圧作業安全規則
高気圧室内業務の減圧状況の記録
線量等量率の測定記録電離放射線障害防止規則
放射物質の濃度測定の記録
放射線事故に関する測定の記録
3年安全委員会議事録労働安全衛生規則
衛生委員会議事録
安全衛生委員会議事録
救護に関する訓練の記録
危険有害業務に従事するときの安全衛生のための特別教育の記録
事務所の作業環境測定の記録、換気設備の点検記録事務所衛生基準規則

以上は記録証書として法的に保管年限が定められている文書ですが、会社には業務で発生するさまざまな文書があります。それぞれの保管方法と活用(情報共有)については、ルールを定めてマニュアル化し管理していくことをおすすめします。

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3. 文書を安全に廃棄するには

大塚商会のおすすめは「溶解処理による処分の委託」

文書を安全かつ確実に廃棄するためには、溶解処理による処分の委託サービスである「メルティBOX」がおすすめです。

段ボール1箱あたり1,200円(税別)の低コストで機密書類を処分できます。シュレッダー処理とは異なり、溶解処理を行うため文書が復元される可能性がゼロです。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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