2023年 5月24日公開

【連載終了】読んで役立つ記事・コラム

2023年版 使える助成金まとめ(後編)

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

使える助成金まとめの後編では、子育てパパを支援する出生時両立支援などの育児・介護の助成金と、非正規雇用者の正社員化などを促進するキャリアアップ助成金をご紹介します。

1. 両立支援等助成金とは

仕事と生活の両立支援や女性の活躍推進に取り組んでいる事業主のために設けられているのが「両立支援等助成金」です。これは育児や介護のための休暇を取得しやすくするための環境整備や、離職を防止するための取り組み、再就職の支援や不妊治療の支援、女性活躍加速化など目的別にコースが設定されています。2023年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による休暇取得を支援する特例の再開に加えて、子育てパパ支援助成金の支給要件の一部緩和や介護休暇中の業務災害支援助成金の加算などが施行されました。

また、生産性を向上させた場合に助成金が増額されていた「生産性要件」は2022年度(2023年3月31日まで)限りで廃止となっています(2022年度以前の制度内容が適用となる場合は生産性要件が適用されます)。支給額に変更が生じる場合がありますのでご注意ください。

目次へ戻る

2. 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性従業員が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい環境づくりへの取り組みを支援する制度です。育児休業や育児目的で休暇を取得した男性従業員を雇用している事業主に対して助成金が支給されます。

支給額と主な支給要件

第1種(男性労働者の出生時育児休業取得)

  • 育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っている。
  • 育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しに係る規定などを策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしている。
  • 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得する(所定労働日が4日以上含まれていることが必要です)。

代替要員加算

  • 男性労働者の育児休業期間中の代替要員を新たに確保した場合に支給額を加算されます。

育児休業等に関する情報公表加算

  • 自社の育児休業の取得状況(男性の育児休業など取得率、女性の育児休業取得率、男女別の育児休業取得日数)を「両立支援のひろば」サイト上で公表した場合に支給額を加算されます。

第2種(男性労働者の育児休業取得率の上昇)

第1種の助成金を受給している場合、男性労働者の育児休業取得率が上昇した場合に下記の要件を満たしていれば、上昇ポイントに応じて助成金が支給されます。

  • 第1種の助成金を受給している。
  • 育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っている。
  • 育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しに係る規定などを策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしている。
  • 第1種の申請をしてから3事業年度以内に、男性労働者の育児休業取得率(%)の数値が30ポイント以上上昇していること。または第1種の申請年度に子が出生した男性労働者が5人未満かつ育児休業取得率が70%以上の場合に、その後の3事業年度の中で2年連続70%以上となった場合。
  • 育児休業を取得した男性労働者が、第1種申請の対象となる労働者の他に2人以上いる。
 支給額
第1種20万円
代替要員加算:20万円(代替要員を3人以上確保した場合は45万円)
情報公表加算(注1):2万円
第2種
  1. 事業年度以内に30ポイント以上上昇した場合:60万円
  2. 事業年度以内に30ポイント以上上昇した(または連続70%以上)場合:40万円
  3. 事業年度以内に30ポイント以上上昇した(または連続70%以上)場合:20万円

1事業主に月1回会限りの支給となります。

  • (注1)情報公表は、男性・女性の育児休業取得率や平均育児休業取得日数を厚生労働省Webサイト「両立支援のひろば」(https://ryouritsu.mhlw.go.jp/)で公表した場合となります。

続きはPDF版(ダウンロード)をご覧ください。

目次へ戻る

3. キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金は、有期契約社員、派遣社員、パートタイムなどの「非正規雇用社員」形態で働く方に対して、正社員化や処遇改善を実施した企業に支給されるものです。「頑張った分だけ報われる」ことを非正規雇用社員にも適用して、企業の活力や生産性を向上させ、優秀な人材の育成・定着を図る際に役立つ助成金となっています。2023年4月より、少子高齢化に伴う労働力不足に対処するために、助成金の加算など制度の拡充が行われています。

目次へ戻る

4. キャリアアップ助成金のコース概要

キャリアアップ助成金は、以下のコースに分かれています。

  • 正社員化コース

    有期契約社員などを正規雇用労働者などに転換または直接雇用した場合に助成されます。

  • 障がい者正社員化コース

    障がいのある有期契約社員などを正規雇用労働者などに転換した場合に助成されます。障がい者の雇用促進と職場への定着を図るために、以下の1または2のいずれかの措置を講じた場合に助成されます。

  1. 有期雇用労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換すること
  2. 無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すること

処遇改善

  • 賃金規定等改定コース

    全てまたは一部の有期契約社員など、基本給の賃金規定などを増額改定・昇給した場合に助成されます。

  • 賃金規定等共通化コース

    有期契約社員などについて、正社員と共通の職務などに応じた賃金規定などを新たに作成・運用した場合に助成されます。

  • 賞与・退職金制度導入コース

    就業規則または労働協約の定めにより、全ての有期雇用労働者などに対して、賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積み立てを実施した場合に助成金が支給されます。

賞与の定義:一般的に労働者の勤務成績に応じて定期または臨時に支給される手当(いわゆるボーナス)。
退職金の定義:事業所を退職する労働者に対して、在職年数などに応じて支給される退職金(年金払いによるものを含む)を積み立てるための制度であって、積立金や掛け金など(以下「積立金など」という)の費用を全額事業主が負担することが就業規則または労働協約に規定されており、実際に積立金などの費用を全額事業主が負担するもの(事業主が拠出する掛け金に上乗せして、従業員が掛け金を拠出する場合を含む)。

  • 短時間労働者労働時間延長コース

    パートタイマーなどの短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに待遇の改善を図り、新たに社会保険を適用した場合に助成されます。非正規雇用関連の助成金活用に当たっては、事前に管轄する各都道府県の労働局・ハローワークに、労働組合などの社員代表の意見を聞いて作成した「キャリアアップ計画書」を提出し、相談・認定を受けることが必要です。また、不正受給を防止するために、受給の決定に際して事業所の実施調査が予告なく行われる場合があります。

続きはPDF版(ダウンロード)をご覧ください。

目次へ戻る

5. 補助金・助成金の活用を支援

補助金・助成金活用の可能性を無料診断

大塚商会では株式会社ライトアップと共同で、子育てパパを支援する出生時両立支援などの育児・介護に関するものや、非正規雇用者の正社員化などを促進するキャリアアップに関係するものなど、補助金・助成金活用の可能性を無料で診断します。無料診断は、補助金・助成金自動診断システムを活用し、約10項目の質問に回答するだけで、その場で自動診断が可能です。診断結果を基に補助金・助成金の申請作業支援をはじめ、申請作業代行や各種支援を有料にて行います。

補助金・助成金活用の可能性を無料診断

  • * 本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容などは公開時点のものです。

目次へ戻る

【お知らせ】がんばる企業応援マガジン最新記事のご紹介