1. ゼロゼロ融資とは
新型コロナウイルス感染拡大により、売り上げが減少した企業を支援するための特別融資が、利子ゼロ・担保ゼロで貸し付けされたことで通称「ゼロゼロ融資」と呼ばれるようになりました。この融資は、2020年から開始され2022年9月に受付が終了しています。
ゼロゼロ融資は、政府系の日本公庫では約97万件(約16兆円)、民間金融機関系の信用保証協会では約137万件(約23兆円)にまで積み上がりました。これは、リーマンショックや東日本大震災の特別貸し付けを上回る規模となっています。
ゼロゼロ融資問題
ゼロゼロ融資の返済については、5年以内の据え置き期間が設定されていますが、多くの企業が3年以内で返済開始としているようです。そのため、融資の申し込みが最も多かった2020年5月の約13万件において、実際の融資が翌月以降に実行されたとすると、2023年6月ごろから返済を開始する企業が増えると予想されています。
2023年に入ってから、新型コロナウイルス感染拡大防止のための措置は大幅に緩和され、景気もコロナ禍以前に戻りつつあります。しかし、物価の高騰や原材料などの生産・流通不足、労働力不足など、企業を取り巻く環境にはまだまだ厳しいものがあります。
このように企業の収益が十分に回復していない状況下でのゼロゼロ融資返済開始は、余力の少ない中小企業にとっては大きな負担となる懸念があります。
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2. ゼロゼロ融資の負担軽減となるコロナ借換保証制度
新型コロナウイルス感染の社会経済への影響が長期化し、厳しい経営環境下での債務返済負担を軽減し、事業再構築などの収益力を高める取り組みを支援するために「コロナ借換保証」が2023年1月から開始されています。
このコロナ借換保証は、ゼロゼロ融資からの借り換えだけでなく、他の保証付き融資からの借り換えや事業再構築などの資金需要にも対応した保証制度です。そのため、民間ゼロゼロ融資の上限額であった6,000万円を上回る1億円となっており、100%保証の融資は100%保証で借り換えが可能です。
コロナ借換保証制度
保証限度額 | 100,000,000円 |
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保証期間 | 10年以内 |
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据置期間 | 5年以内 |
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金利 | 金融機関により設定 |
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保証料(事業者負担) | 0.2%など(補助前は0.85%など) |
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要件 | 下記いずれかに該当すること - セーフティネット保証4号の認定(注1)
- セーフティネット保証5号の認定(注1)
- 売上高5%以上減少していること
(最近1カ月(実績)と前年同月比較) - 売上高総利益率/営業利益率が減少
(3と同様の比較に加え、直近2年分の決算書比較でも可能)
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取扱期間 | 2024年3月末日まで(予定) |
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- (注1)コロナ禍で経営に支障が生じた経営者に対して、一般保証とは別枠の保証の対象とする資金繰り支援制度
ウィズコロナ/アフターコロナの経営計画書作成
コロナ禍を経て、社会環境や人々の意識に大きな変化が起きています。このような変化が市場に及ぼす影響を認識し、それにどのように対応していくかが経営計画書の骨子となります。
- 自社の現状認識(社会環境の変化と経営課題の抽出)
- 財務分析(収益とコスト分析)
- 中長期の目標設定と具体的なアクションプラン(資金使途と目的を明確にする)
【記載項目例】
- 業態転換、新事業、新製品・サービスの構築
- DX・AIの導入などデジタル化の推進
- コスト軽減
- 環境保全の取り組み
など。
- 収支計画・返済計画(不測の事態を想定して余裕を持った計画立案)
コロナ借換保証に必要な経営行動計画書は1ページの用紙に記載する形式になっています。従業員や関係者などのステークホルダーに対しては、詳細な計画書を用意して情報共有を行い、黒字化などの目標達成に向けた協力体制を構築しましょう。
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3. 新型コロナウイルス感染症関連の支援策
長期間にわたって世界的に大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対しては、前述したコロナ借換保証以外にもさまざまな支援策が用意されています。事業再構築補助金は、厳しい環境下におかれている中小企業経営者の支援だけでなく、業容変革を目的とする取り組みに対してはインセンティブが加算されるなどの優遇措置もありますので、将来に向けて大幅な刷新を目指す場合は有効な支援となる補助金です。
事業再構築補助金
コロナ禍以降の社会変化に対応するために、中小企業の大胆な事業再構築を支援し、日本経済の産業構造転換を推進することを目的として創設された制度です。コロナ禍に苦しむ中小企業をはじめ、個人事業主や企業組合なども対象となっています。予算は2020年度に1兆1,485億円、直近の2022年度第2次補正予算でも5,800億円といった多額の資金が計上されています。
事業再構築補助金を受給するためには、下記の要件が必須となっています。
事業計画が認定経営革新などの支援機関の確認を受けている事業者
事業再構築指針に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けることが必要となります。また、補助金額が3,000万円を超える場合は金融機関の確認も必要です(金融機関が認定支援機関の場合は不要)。
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関など)です。
付加価値の向上
付加価値額とは、営業利益・人件費・減価償却費の合計金額のことです。補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加させることが必要です。
事業再構築補助金は、経営環境が厳しい事業者への補助と成長により賃金アップなどが達成された場合のインセンティブなど、幾つかの類型に分かれていて、それぞれ対象や補助の上限金額なども異なります。
事業の再生に当たって、業容変更などの大胆な改革を目標とする場合は、補助の受給を検討してみることをお勧めします。
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4. 今、利用できる補助金をピックアップしてご紹介
コロナ禍で注目される補助金や助成金。本当に活用できる補助金とは?
コロナ禍で経営に困窮する企業が増える中、持続化給付金などが一般にも広く知られたことで、補助金・助成金に注目が集まっています。もともと景気が上向きでなかったことに加え、新型コロナウイルスの流行が重なったことにより、企業活動が継続できなくなってしまった企業も少なくありません。補助金・助成金は、こうした異常事態に活用できるケースが多いため、注目されています。今、利用できる二つの補助金をピックアップしてご紹介。それぞれ目的や支給金額、求められる要件などが異なるため、特徴を整理したうえで検討してみましょう。
コロナ禍で注目される補助金や助成金。本当に活用できる補助金とは?
- * 本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容などは公開時点のものです。
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