1. 夏の省エネ対策の変化とは
企業の省エネルギー対策は、地球温暖化の原因とされているCO2排出削減を目的として行われています。CO2の多くは、火力発電やガソリンなどの化石燃料消費によって排出されます。そのため、企業が行う省エネルギー対策は、照明や空調設備を中心とした節電が主なものとなっています(工場設備や運送業務を除く)。
空調設備の省エネ対策
オフィスの空調設備に関しては、労働安全衛生法によって従業員が安心して快適に働くことができるように定められています。室温については、一般的に夏は28℃、冬は20℃が推奨されています。かつては、この温度を維持管理するために総務担当者が各部屋のエアコン設定温度をチェックするために奔走することもありました。現在では、空調管理は一括して行われる施設が多く、管理もネットワークを通して一元管理するところが増えたため、総務担当者の手を煩わせることは少なくなりました。
空調は室温の管理だけではありません。近年、特に注意が必要とされているのが「熱中症」です。室温と湿度が高く、体調不良、水分補給をしていない、長時間の作業などで発症するリスクが高まります。室温を28℃に設定していても、デスクの配置によっては風通しが悪かったり、大型の複合機に近い位置だったりすると、熱中症の危険があります。このような場合に備えて、扇風機などによって空気を循環させ、従業員の体調管理を綿密に行う必要があります。また、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からも、換気を定期的に行うなどの対策が必要です。
テレワーク時の注意点
テレワーク時に注意しなければならないのが、長時間室内で作業する場合です。以下の点にご注意ください。
- 定期的に窓を開けて空気の入れ替えを行う
- こまめに水分(塩分)の補給を行う
- 体操などの軽い運動や適度な休息をとる
- 睡眠や食事など、体調管理を施す
テレワークは、オフィスでの業務と異なり、上司や周囲の目が届かないことが多いので、体調管理の意識や注意力を啓発していくことも大切です。
<服装の自己管理>
オフィスワーク、テレワークで共通することは、服装の簡素化です。クールビスなどでノーネクタイなどが既に習慣化していますが、最近ではTシャツや短パン、サンダルもOKとする企業も増えています。もちろん接客やTPOが必要とされる場面ではきちんとした服装が求められますが、それ以外は自分の判断で服装を整えることを奨励してみてはいかがでしょうか。
例えば、夏は一般的に室温が28℃に推奨されていますが、暑さの感じ方は人それぞれ異なります。体調によっても変わります。自分自身で暑さを調整する場合は服装で行うのが一番簡単な方法です。熱い場合は体温がこもらないように薄着にし、寒い場合は重ね着などで調整することを奨励しましょう。また、オフィスワークの場合には、社内だけでなくオフィスを訪れる関係者や取引先にも従業員が自由に服装調整して省エネ対策を行う旨を告知し、協力と理解を要請します。
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2. 照明、PCの省エネ対策
照明の省エネ対策はLED化が基本となりますが、加えて下記の管理が必要です。
不在など不必要な照明の消灯
- テレワークなどで出社する従業員数が減少した場合、照明が不要なスペースについては消灯を推進しましょう。また、長時間の離席についても同様です。
- LED照明+除菌
新しいLED照明機器では、除菌機能がついているものもあります。これは、除菌に有効とされている可視光線域の405nm波長を発生するチップを組み込んだLED照明です。これにより、新型コロナウイルスはもとより、インフルエンザやノロなどのウイルスに効果を発揮します。
新型コロナウイルスは感染症法上の取り扱いが2類から5類に引き下げられましたが、ウイルス自体のリスクが減少したわけではありません。また、ウイルスの変異や新種のウイルスが発生する可能性もあります。社内での感染リスクを低下させ、従業員が安心して勤務できる環境にするために導入を検討してみてはいかがでしょうか。
参考
除菌ができるLED照明
省エネで次に注意したいのは長時間にわたって使用することの多いPCです。特にデスクトップPCはノートPCに比較すると多くの電源を消費します。電気の使用は電力消費だけでなく、発熱も伴うので室内温度の上昇にも注意が必要です。テレワークなどで自宅のデスクトップPCを使う場合は、電気代と室温管理に注意が必要です。積極的に省エネモードにするか、長時間使用しない場合は、コンセントからプラグを抜いておきます。
また、テレワークの状況によっては会社からノートPCやタブレットの貸与などを検討します。新型のPCは旧型より消費電力が少ない傾向がありますので、購入から数年経過したPCは買い替えの検討をお勧めします。
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3. 省エネ対策の今後について
冒頭でもお伝えしていますが、省エネルギーの意識はコロナ禍を経て大きく変化しています。
省エネ意識の高まり
地球温暖化により、大規模な自然災害が世界レベルで発生しています。多くの人々が温暖化のリスクを実感することで、SDGsなど地球環境を維持するための取り組みを行う企業が増加しています。これにより、省エネに対しての関心や意識が高まっています。
企業の省エネ対策も範囲がオフィス・工場・店舗などの企業設備だけでなく、テレワークの導入により従業員の自宅やコワーキングスペースなど、広範囲になっています。ネットを通してさまざまな管理が可能となっていますが、一番重要なのは従業員一人一人の省エネ意識の高揚です。従業員教育などを通して、省エネ対策の理解を促進することが重要な施策となります。
コスト削減
コロナ禍だけでなく戦争などの影響もあり、原油高騰=電気代の値上げが加速しています。省エネ対策による省電力化はコスト削減に大きな効果を及ぼします。照明や空調、PCなどは年間を通して長時間にわたり使用しますので、削減効果も大きくなります。しかし、電力消費は気付きにくいため、節電がおろそかになる場合もあります。省エネ担当者を配置して、電力使用状況の把握、削減目標の設定、削減施策の実施を一元的に行うことが、長期的な省エネの取り組みとして有効な手段となります。
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4. 省エネ対策補助金
省エネ対策を施す場合、空調設備や電力監視設備などの導入には多額の費用が掛かることがあります。そのような場合は、政府や自治体が行っている補助金を活用してみてはいかがでしょうか。
経済産業省(資源エネルギー庁)では、省エネに関する各種補助制度を用意しているほか、厚生労働省のテレワーク支援では、テレワークに必要な機器のなどの導入に対して補助が受給できる制度もあります。また、各自治体で支援する制度もあります。補助金の活用で省エネに取り組み、従業員が快適に業務を遂行できる環境を整備することが、従業員満足度の向上や生産効率の向上につながります。
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5. 電気代が高騰している今こそLED導入を
総務の方必見! LEDで経費削減 虎の巻
LEDは導入したその時点から削減効果が分かり、従業員に負担をかけることもありません。また、5年以上経過したLED照明の場合、最新のLED照明にすると電気代を大幅に削減することも可能です。電気代が高騰している今こそLEDです。初期費用を0円で導入できる譲渡権つきリースや、LED照明は補助金・助成金のほか、税制優遇を活用できる場合もあり、導入コストが抑えられます。すぐに実行できるLED照明による経費削減の方法をご紹介します。
総務の方必見! LEDで経費削減 虎の巻
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