2023年 9月20日公開

【連載終了】読んで役立つ記事・コラム

ポストコロナ時代の新入社員教育とは

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)を経て、ビジネスを取り巻く環境は大きく変化しています。そして、少子高齢化も伴い新入社員教育の重要性は一層高まっています。

1. 社会環境の変化と新入社員教育

世界を席巻した新型コロナウイルスは、感染症の分類で危険度が高いとされていた2類からインフルエンザと同じ5類へと2023年5月に移行し、感染症対策のためのさまざまな規制が緩和されました。その結果、社会環境はコロナ禍とされる2020年以前の状態に戻りつつあります。

しかし、コロナ禍といわれた約3年間で人々の価値観や生活様式は大幅に変化しています。内閣府の調査によると、コロナ禍前はなかなか浸透しなかったテレワークが、2023年3月の段階では全国で30%の実施率となっています。東京23区だけで見てみると51.6%と半数を超える人々がテレワークを行っています。

出典元:内閣府「第6回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(2023年4月)を参考に作成。
https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/covid/pdf/result6_covid.pdf

この結果と比例するようにワークライフバランスでは、新型コロナウイルス感染症の拡大前よりも仕事より生活を重視するように変化したと答えた人が全体の約3割を超えています。特に20~30歳代の人々の変化が大きいようです。

出典元:内閣府「第6回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(2023年4月)を参考に作成。
https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/covid/pdf/result6_covid.pdf

このようなコロナ禍への対応に加えて、デジタル化への動きや少子高齢化対策としての働き方改革などが相乗効果として加算され、社会全体の価値観が急速に変化しています。特に2021年4月以降の新入社員は、学生時代にリモート授業を経験し、クラブ活動や修学旅行などで集団活動の規制を体験している世代です。新入社員研修は、生活習慣や価値観がコロナ禍前までの新人と異なることを前提に研修方法や内容を検討してみてください。

また、新入社員を受け入れる既存社員の意識改革を推進することも急務となっています。新入社員と受け入れる先輩社員との間にギャップが生じると、新人の離脱につながるリスクとなります。お互いの立場や状況を理解して、コミュニケーションが取りあえる職場環境を創出しましょう

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2. ポストコロナ時代の新入社員教育

前述したような社会環境や価値観の変化は、今後も継続していくと思われます。また、これからは情報化社会が成熟してDX時代を迎えることとなります。そのため、企業資産=モノという考え方から持続的な企業成長を推進するのは「ヒト」であり、これからの企業資産=ヒトという人的資本の考え方が経営者・投資家を中心に広がっています。

内閣府の人的資本可視化指針では、可視化の前提としての経営戦略・人材戦略で以下のように示しています。

  • 人的資本の可視化の前提は、人的資本への投資に係る、経営者自らの明確な認識やビジョンが存在すること。ビジネスモデルや経営戦略の明確化、経営戦略に合致する人材像の特定、そうした人材を獲得・育成する方策の実施、指標・目標の設定などが必要となる
  • 「人材戦略に関する経営者の議論とコミットメント」「従業員との対話」「投資家からのフィードバックを通じた経営戦略・人材戦略の磨き上げ」の一連の循環的な取り組みの一環として可視化に取り組むことが必要

DX時代に対応した人材を育成するために新たな人材戦略を立案し、育成目標と研修プログラムを策定する必要があります。

  1. 経営トップのコミットメント
  2. 取締役会・経営レベルでの議論と周知・理解
  3. 従業員との対話と周知・理解
  4. 部門間の連携
  5. バリューチェーンにおける取引先との連携

これらを通して、人的投資と企業価値向上の実現を目指します。新入社員研修は、企業がどのように変化し、どのような人材を求めているのかを前提として、DX時代の中核となる人材を育成する最初のステップとなります。

参考

内閣官房「非財務情報可視化研究会『人的資本可視化計画』」(内閣官房のWebサイト<PDF>が開きます)

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3. 新入社員の人材育成ポイント

DX時代に活躍する人材を育成するためのポイントは以下の要素になります。

  • IT技術やAIを駆使して業務を推進するための知識・スキルの獲得
  • 仕事のやりがい、生活の安定・充実を促進する従業員エンゲージメント
  • 環境や市場の変化に対応する流動性
  • 多様な人材と業務を推進するダイバーシティの理解
  • 適切な健康管理とワークライフバランス
  • コンプライアンス・倫理の徹底

これらを踏まえて、企業人としての基本を周知しましょう。同時並行で、OJTなどで受け入れる現場従業員・管理職にも新人育成の目的と趣旨を徹底します。DX時代に移行することで、組織や業務が大きく変化する可能性があります。今話題となっているリスキリングで新しい業務に就業する従業員も増えてくると思われます。新入社員だけでなく、既存社員も継続的に新たなスキルを習得する機会が多くなるのではないでしょうか。

DX時代は変化が速く予測不能な時代とも言われています。急激な変化に流されない基本がきちんと身に付いた人材を育成していくことが、企業の持続的な発展に欠かせない要素となります。中長期の経営戦略とリンクした新入社員育成プログラムを作り、常に効果測定と改変を行い、実践していくことが人的資本の形成につながります。

参考

経済産業省「デジタルスキル標準」(経済産業省のWebサイトが開きます)

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「デジタル人材育成プラットフォーム『マナビDX』」(独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)のWebサイトが開きます)

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4. 人材育成を支援する映像を活用した動作分析ソフトウェア

OTRS - 作業分析・業務最適化ソフトウェア

映像による動作分析、時間分析などの機能により生産・製造現場の作業時間短縮、省力化、コスト低減ができるソフトウェア「OTRS」。教育訓練の材料や技能伝承のツールとしてさまざまなシーンで活用でき、人材育成や作業改善を支援します。また、多言語対応で国内だけでなく、グローバルでの標準化や改善を推進します。「OTRS」の詳細をまとめた製品カタログをはじめ、活用事例などの資料をご用意しています。無料でダウンロードできますので、お気軽にご利用ください。

  • * 本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容などは公開時点のものです。

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