2017年11月28日公開

【連載終了】仕事効率を上げるパソコン手帖

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ノートパソコンの盗難・紛失対策

テキスト/芝田隆広

  • ログイン情報
  • 盗難防止グッズ
  • セキュリティ
  • 個人情報

ノートパソコンを日々持ち歩いてビジネスに活用しているユーザーは多いだろう。ノートパソコンには仕事用の書類や、ネットワークのパスワードなど、さまざまな重要情報が入っており、盗難や紛失が起きると大変なことになる。そこで今回は、ノートパソコンの盗難・紛失の防止および、万が一なくしてしまったときの対策について考えてみた

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あなたのノートパソコンは大丈夫? 盗難・紛失に備えよう

ノートパソコンは高い携帯性が特長だが、自分にとって手軽ということは、他人にとっても手軽ということである。喫茶店などで使っていてちょっと席を外した隙(すき)に盗まれてしまったり、電車の網棚にノートパソコンの入ったカバンを置き忘れてしまったり……といったことが起きる危険性がある。

ノートパソコンの紛失は、単に「備品がなくなった」というだけでは済まされない。ノートパソコンのHDDやSSDには仕事上の重要なファイルが格納されていることが多く、それらが漏えいすると大変な被害となってしまう。またWebブラウザにはさまざまなWebサイトへのログイン情報が記録されていることも多いし、社内ネットワークへのログイン情報が格納されている端末もある。

 「自分は管理がしっかりしているから大丈夫」と思っている人も多いだろうが、盗難・紛失が起きる頻度は決して低くない。例えば「一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)」の発表によれば、平成28年度の「プライバシーマーク」の付与事業者843に対して、ノートパソコンなどの携帯端末の盗難・紛失は、盗難46、紛失409が報告されている。

このデータは付与事業者数843という数字から見ても分かるとおり、あくまで氷山の一角に過ぎないデータだが、それでも2事業者に対して1件程度のペースで盗難・紛失が起きている。盗難・紛失は、高い頻度で起きていることが分かる。つまりあなたの所属している会社、そしてあなたの使用しているノートパソコンでも起こる可能性は十分あり得るのだ。

JIPDEC:「個人情報の取扱いにおける事故報告にみる傾向と注意点」について

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これがあれば大丈夫! 盗難防止グッズ

パソコンの盗難・紛失を防ぐためには、「ノートパソコンを置きっぱなしにしない」などのこまめな注意が必要だ。とはいえ「ちょっとだけ席を外す」といったこまごまとした場合にまで、注意を行き渡らせるのは実際にはなかなか難しい。そこで活用したいのが盗難防止用グッズだ。

盗難防止用グッズはさまざまな製品が各メーカーより発売されている。例えば「たのめーる」の「パソコンセキュリティ」のコーナーなどを見ても、非常に多彩な製品があるのが分かるだろう。

このうち利用および持ち運びしやすいのがセキュリティワイヤータイプの製品だ。「セキュリティワイヤー」とは、ノートパソコンを机や柱などに結びつけることで持ち去りを防ぐためのワイヤーだ。丈夫なワイヤーなのでそう簡単には切断することはできないし、重量もさほどないので気軽に持ち運べる。

ノートパソコンにはセキュリティワイヤーを取り付けるための「セキュリティスロット」と呼ばれる小さな穴を装備した製品がある。特に業務用のノートパソコンの場合は搭載した製品が多い。セキュリティスロットがないノートパソコンの場合は、未使用のコネクタのネジを使って取り付けられる製品もある。

たのめーる:パソコンセキュリティ

写真はエレコム「ESL-10」。セキュリティスロットに取り付けるタイプのセキュリティワイヤー。

ロックはダイヤル式なので鍵を持ち運ぶ必要がない。ロック部分が南京(なんきん)錠などになっている製品もある。

たのめーる:エレコム ノートパソコン&マウス用セキュリティロック ESL-10 1パック

エレコム「ESL-12R」パソコンの未使用のシリアルポートに接続するタイプのセキュリティワイヤーでも、シリアルポートさえあれば利用できる。

たのめーる:エレコム コネクタ接続セキュリティワイヤーロック ESL-12R 1パック

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セキュリティ設定で情報漏えいに備える

パソコンの盗難・紛失は日ごろから気をつけていればある程度は防ぐことができる。とはいえうっかり注意を怠り、電車などに置き忘れるなどといった事故は起こり得る。そこで万が一の場合に備えて、自衛策を講じておこう。

もしノートパソコンを紛失して、第三者の手に渡ってしまったとしても、「パソコンの中身」を相手が見ることができなければ被害は最小限で済む。そのためには簡単にログインできないようにパスワードを設定しておくことが重要となる。パスワードは「BIOSパスワード」「HDDパスワード」「ログインパスワード」がある。

BIOSパスワード

「BIOS」とは、パソコンのハードウェアを管理するための最も基本的なソフトのことで、「Basic Input/Output System」の略だ。パソコンを起動するとWindowsなどのOSが起動する前にパソコンメーカーのロゴやメッセージが表示される。あの画面はBIOSによって表示されているものだ。

BIOSの設定画面を表示するには、パソコンの起動画面に一瞬「DEL to enter setup」などのメッセージが表示される。このメッセージが表示されている間に指定されたキーを押すことで表示できる。BIOS画面の表示方法は、パソコンによって異なるので製品マニュアルや、各メーカーのWebサイトなどで確認してほしい。

またBIOSの設定画面の構成も異なる。「セキュリティ」「Security」といった項目に用意されていることが多いので、こちらもマニュアルなどを使って確認する。設定画面でパスワードを設定すれば、パソコンの起動時に入力が求められる。パスワードを入力しないとWindowsなどのOSが起動しない。

BIOSパスワードの設定方法は使用しているパソコンによって異なる。付属のマニュアルやメーカーのホームページなどで設定方法を確認してほしい。

BIOSパスワードの設定画面。設定すると起動のたびにパスワードを求められる。起動時にいちいちパスワードを入力するのは面倒だが、パソコンの中身を覗かれる危険性はかなり軽減するはずだ。

HDDパスワード

BIOSパスワードを設定すると、起動時にパスワード入力画面が表示され、正しいパスワードを入力しないとその先へ進めない。ただしこれには弱点がある。パソコンからHDDを取り外して、別のパソコンに接続して中身の情報を盗むことが可能なのだ。

このような被害を防止するためにはHDDにパスワードを設定しておくといい。こちらもBIOS画面で設定が行えるようになっているので、詳しい設定方法は各パソコンのマニュアルなどを参照してほしい。

なおHDDパスワードは、忘れてしまうとパソコンメーカーでも解除できない丈夫なものだ。忘れてしまうとデータの復旧が行えなくなってしまうので、決して忘れないようにしよう。

HDDパスワードの設定画面。こちらもBIOS画面から設定を行う。

ログインパスワード

WindowsなどOSにログインするときのパスワードの設定もしっかり行っておこう。Windows10のログインについては、従来のパスワードのほかPINや、指紋などの生体認証もあるので、以下の記事も参考にしてほしい。

パスワードより安心? 暗証番号でサインインする「PIN」を知る

パスワード入力が不要になる? Windows 10の新機能「Windows Hello」

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暗号化ソフトで情報を守る

このほか、ソフトウェアを使ってパソコン内の情報を守ることもできる。大塚商会が提供している「秘文Data Encryption」を使えば、クライアントパソコンや外部メディア、ファイルを暗号化して、ユーザー以外がのぞき見ることを防ぐことができる。また「秘文AE Full Disk Encryption」では、HDD全体を暗号化して、OSが起動する前にユーザー認証を行うようにできる。

オフィス文書を安全に

このほか、セキュリティソフトの中には、盗難・紛失されたパソコンがインターネットに接続された際に、IPアドレスを使って位置を特定したり、Webカメラで撮影を行うなどの盗難対策が行えるものもある。ただしこれは当該のパソコンがネットに接続されていないと使用できない機能なので、効果は限定的となる点には注意しておこう。このほか大塚商会の「たよれーる デバイスマネジメントサービス」などのサービスの導入も検討してみるといいだろう。Windows パソコン向けに専用のリモートロック画面を表示することで、盗難・紛失時のリスクを軽減する機能なども用意されている。

ここまで紹介してきた盗難・紛失防止用の設定や機器を使えば、いざというときのリスクはかなり抑えられるはずだ。大事な情報の詰まったノートパソコンを危険にさらさないためにも、ぜひ導入を検討してほしい。

「たよれーる デバイスマネジメントサービス」

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