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2015年 9月 1日公開
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前回は、サイズとカタチの違いと、それらを別として考える「独立の原則」を理解した。第2回は、なぜカタチが崩れるのかを知ろう。幾何公差を使ううえで、カタチが崩れる原因を知らなければ効果的に幾何公差を図面に指示できない。
まず図面に描いた部品は、バーチャルな世界に存在するものである。つまり「絵に描いた餅」であるため、設計者が思い描いたとおりに、寸分たがわないサイズとカタチが描かれているのである。しかし、図面を基に材料を素材形状から加工することで現実の世界の部品に仕上がる。ところが、そこには図面とわずかに異なる寸法と崩れた形状が存在することになる(図1)。
図1
部品図と部品の違い
部品を加工する場合、次に示すようにさまざまな手段がある。
機械的除去加工
熱的除去加工
電気化学的除去加工
付加加工
変形(成形)加工
上記の手段の中でも、加工の基本といえるのが切削加工である。切削加工のメカニズムを示す(図2)。
図2
切削のメカニズム
加工によるカタチの崩れは、さまざまな場所やタイミングで発生する。それでは、代表的な切削加工である「旋盤加工」と「フライス盤加工」で、どのような悪さが潜んでいるのかを確認しよう。旋盤は円筒形状の部品を加工するもの、フライス盤はブロック形状の部品を加工するものである。
旋盤とフライス盤は、加工する素材形状の違いから構造や刃物に特徴がある。主な特徴を表1に示す。それぞれの名称や形状を知っておこう。
表1 旋盤とフライス盤の特徴
チャック
バイス
バイト
正面フライス(フェイスミル)
エンドミル
ドリル
それでは、カタチが崩れる可能性のある加工の代表例を確認しよう。ただし、これらの加工法でも、加工手順や治具を使うなど、加工者の"気遣い"があればカタチの崩れを最小限にして部品を製作することも可能であることは認識しておこう。
【旋盤の場合】
旋盤で円筒軸をチャックする際に、強い力で締め付けた状態で丸い穴を加工すると、チャックを外したあとの反動でチャック部分の面が広がり 真円度や円筒度が崩れやすくなる(図3)。
図3
旋盤でのチャック
【フライス盤の場合】
フライス盤でブロックを固定する際に、強い力で締め付けた状態で平面を加工すると、口金(くちがね)を外したあとの反動で中央部がへこみ 平面度や平行度、直角度が崩れやすくなる(図4)
図4
バイスでのチャック
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