2018年 4月 3日公開

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面積表、仕上表、建具表をBIMで作る(2)【深掘りBIM/第3回】

建築系CAD 講師:鈴木裕二

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この連載について

前回の建具表に続き、今回は図面としての面積表を取り上げよう。使うのはBIMアプリケーションRevitとARCHICADだ。面積表図面の作成に入る前に、BIMアプリケーションが面積や部屋名の情報をどの要素に持たせているかを解説する。

シリーズ記事

1.「部屋」と「ゾーン」

前回の建具表に続き、今回は図面としての面積表を取り上げよう。使うのはBIMアプリケーションRevitとARCHICADだ。

面積表図面の作成に入る前に、BIMアプリケーションが面積や部屋名の情報をどの要素に持たせているかを解説する。Revitでは「部屋」、ARCHICADでは「ゾーン」が面積表に使われている。いずれも目に見えない概念だけの要素だ。Revitの「部屋」は英語のRoomの翻訳だが、Roomの別の意味である「場所」「空間」の方がしっくりくる。

Revitの「部屋」、ARCHICADの「ゾーン」のどちらも単に平面的な領域を表すのでなく、高さを持つ要素だ。ただしRevitでは高さを持つ「部屋」であっても3Dビューでの表示はできない。平面図のみで以下のように表示される。

Revit平面図で「部屋」を表示

ARCHICADの「ゾーン」は3次元での表示が可能だ。この「ゾーン」の3次元表示を使って、図のようなボリューム検討モデルを作成することもできる。

ARCHICADの3Dビューで「ゾーン」を表示

2.Revitで面積表のためのデータを見る

Revitの「部屋」に割り当てられたプロパティを見てみよう。ここでは面積表作成を目的にして、階、室名、種類、面積、坪数を確認する。面積はユーザーが手入力したのではない。「部屋」を配置、あるいは境界を変更しただけで自動計算される動的なデータだ。

Revitではこの面積表のためのデータは「部屋」のプロパティとして図のように表示される。「面積」や「ペリメータ」(周囲の長さ)などの項目は自動計算されるためグレー表示され変更できないようになっている。一方、「名前」、「用途」は自由に変更できる項目だ。

Revitで「部屋」のプロパティを表示

3.Revit面積表に表示する「坪数」

「部屋」のプロパティを見てもどこにも「坪」という項目はない。だが面積表には表示したい。坪数は平方メートル表示の面積値から計算できる値だ。もし「部屋」プロパティに項目として「坪」を追加する場合は、「共有パラメータ」として追加する。ここでは面積表だけで坪数を表示させることにして、面積表だけで使う「坪」というフィールドを設定することにする。

Revitで「集計表」を作成し、「集計表プロパティ」ダイアログボックスを表示させる。図の[fx]ボタンをクリックし、図のように「名前」を「坪」と入力、「タイプ」で「面積」を選択、「計算式」で「面積 * 0.3025」と平方メートル→坪の換算式を入力する。これで面積表で使える「坪」フィールドができた。ただし共有パラメータではないので、「部屋」タグとして使い平面図の「部屋名」の下の「m2」表示の横に「坪」表示もというわけにはいかない。

集計表のプロパティ

Revit面積表で使う「坪」の計算式を設定

「レベル」(階)、「用途」、「名前」(「部屋」名)、「面積」(m2)、「坪」を用意できたので、これらを使った表を作成しよう。

次の図の「集計表プロパティ」ダイアログボックスの「並べ替え/グループ化」タブの設定で、「レベル」ごとにグループ分けして用途別に整列、各階の面積の合計を表示させる。

Revit面積表のプロパティ

ほかにも外観を整える設定などを行って、出来上がった面積表をシートに貼り付けたのが次の図だ。図面上で壁の位置や「部屋」名を変更すればこの面積表も直ちに変更される。図面と面積表の食い違いなどはあり得ないことになる。書式などにはまだ改善点があるがBIMらしい生きた面積表だ。

出来上がったRevitの面積表

4.ARCHICADで面積表のためのデータを見る

ARCHICADの「ゾーン」に割り当てられたパラメータを見てみよう。「選択したゾーンの設定」ツールで見ることができる。面積表で使うパラメータは「名前と位置」パネルに「名前」や「配置フロア」が表示され、「ゾーンスタンプ」パネルには「カテゴリ名称」や「面積値」、「坪」などが表示されている。この「ゾーンスタンプ」がARCHICADの面白いところだ。

ARCHICADで「ゾーン」のパラメータを表示