2018年 4月

実務者のためのCAD読本

深掘りBIM 3 面積表、仕上表、建具表をBIMで作る(2)/全5回

建築系CAD 講師:鈴木裕二

前回の建具表に続き、今回は図面としての面積表を取り上げよう。使うのはBIMアプリケーションRevitとARCHICADだ。面積表図面の作成に入る前に、BIMアプリケーションが面積や部屋名の情報をどの要素に持たせているかを解説する。

1.「部屋」と「ゾーン」

前回の建具表に続き、今回は図面としての面積表を取り上げよう。使うのはBIMアプリケーションRevitとARCHICADだ。

面積表図面の作成に入る前に、BIMアプリケーションが面積や部屋名の情報をどの要素に持たせているかを解説する。Revitでは「部屋」、ARCHICADでは「ゾーン」が面積表に使われている。いずれも目に見えない概念だけの要素だ。Revitの「部屋」は英語のRoomの翻訳だが、Roomの別の意味である「場所」「空間」の方がしっくりくる。

Revitの「部屋」、ARCHICADの「ゾーン」のどちらも単に平面的な領域を表すのでなく、高さを持つ要素だ。ただしRevitでは高さを持つ「部屋」であっても3Dビューでの表示はできない。平面図のみで以下のように表示される。

Revit平面図で「部屋」を表示

ARCHICADの「ゾーン」は3次元での表示が可能だ。この「ゾーン」の3次元表示を使って、図のようなボリューム検討モデルを作成することもできる。

ARCHICADの3Dビューで「ゾーン」を表示

2.Revitで面積表のためのデータを見る

Revitの「部屋」に割り当てられたプロパティを見てみよう。ここでは面積表作成を目的にして、階、室名、種類、面積、坪数を確認する。面積はユーザーが手入力したのではない。「部屋」を配置、あるいは境界を変更しただけで自動計算される動的なデータだ。

Revitではこの面積表のためのデータは「部屋」のプロパティとして図のように表示される。「面積」や「ペリメータ」(周囲の長さ)などの項目は自動計算されるためグレー表示され変更できないようになっている。一方、「名前」、「用途」は自由に変更できる項目だ。

Revitで「部屋」のプロパティを表示

3.Revit面積表に表示する「坪数」

「部屋」のプロパティを見てもどこにも「坪」という項目はない。だが面積表には表示したい。坪数は平方メートル表示の面積値から計算できる値だ。もし「部屋」プロパティに項目として「坪」を追加する場合は、「共有パラメータ」として追加する。ここでは面積表だけで坪数を表示させることにして、面積表だけで使う「坪」というフィールドを設定することにする。

Revitで「集計表」を作成し、「集計表プロパティ」ダイアログボックスを表示させる。図の[fx]ボタンをクリックし、図のように「名前」を「坪」と入力、「タイプ」で「面積」を選択、「計算式」で「面積 * 0.3025」と平方メートル→坪の換算式を入力する。これで面積表で使える「坪」フィールドができた。ただし共有パラメータではないので、「部屋」タグとして使い平面図の「部屋名」の下の「m2」表示の横に「坪」表示もというわけにはいかない。

集計表のプロパティ

Revit面積表で使う「坪」の計算式を設定

「レベル」(階)、「用途」、「名前」(「部屋」名)、「面積」(m2)、「坪」を用意できたので、これらを使った表を作成しよう。

次の図の「集計表プロパティ」ダイアログボックスの「並べ替え/グループ化」タブの設定で、「レベル」ごとにグループ分けして用途別に整列、各階の面積の合計を表示させる。

Revit面積表のプロパティ

ほかにも外観を整える設定などを行って、出来上がった面積表をシートに貼り付けたのが次の図だ。図面上で壁の位置や「部屋」名を変更すればこの面積表も直ちに変更される。図面と面積表の食い違いなどはあり得ないことになる。書式などにはまだ改善点があるがBIMらしい生きた面積表だ。

出来上がったRevitの面積表

4.ARCHICADで面積表のためのデータを見る

ARCHICADの「ゾーン」に割り当てられたパラメータを見てみよう。「選択したゾーンの設定」ツールで見ることができる。面積表で使うパラメータは「名前と位置」パネルに「名前」や「配置フロア」が表示され、「ゾーンスタンプ」パネルには「カテゴリ名称」や「面積値」、「坪」などが表示されている。この「ゾーンスタンプ」がARCHICADの面白いところだ。

ARCHICADで「ゾーン」のパラメータを表示

5.ARCHICADの「ゾーン」スタンプ

では「ゾーン」のパラメータで見ることのできる「ゾーンスタンプ」はどこで定義されているのだろうか?

例えば平面図で「ゾーン」を選択して、「ファイル」メニューの「ライブラリとオブジェクト」→「オブジェクトを開く」を実行する。この操作で表示されるのが「ゾーンスタンプ」の正体だ。GDLというプログラミング言語で記述され、図のように平方メートルの坪への換算式が定義されている。

このGDLのおかげでARCHICADが柔軟なアプリケーションになっている。ユーザーが何の操作もしなくても、ARCHICAD日本語版で「坪」や「帖」が使える秘密でもある。

ARCHICADのゾーンスタンプ(GDL)

6.ARCHICADで表作成

この原稿では『ARCHICAD BIMガイドライン企画設計編』を使っているが、このプロジェクトに用意された「面積表_事務所部分」をARCHICADで開いたのがこの図だ。階ごとに各部屋の面積小計もちゃんと表示されている。

ARCHICAD面積表

「一覧表設定」ボタンで図の「一覧表設定」ダイアログボックスが表示される。この表を作成するときの設定を見ることができる。難しい設定はされていない。

「面積値」と「坪」の右側に表示される「Σ」が合計値を計算することを意味する記号だ。「配置フロア」の右の「旗」の記号が階ごとの「小計」を使うことを意味している。

『ARCHICADガイドライン企画設計編』

ARCHICAD面積表の設定

出来上がったARCHICAD面積表(部分)

7.Excelのようにもっと自由な表を作りたい

使える面積表ができたが、実務ではよりきめ細かな集計や演算、かつ見やすい面積表が求められることがある。そういう意味ではExcelが最高のツールだ。タテ・ヨコたいていの計算をこなしてくれる。ExcelをRevitやARCHICADと組み合わせて使うといい。どちらのBIMアプリケーションもExcelに表を書き出すことができる。ただし「書き出し」だ。動的なリンクはできない。

Excelの表で部屋名を修正したからといってBIMモデルの部屋名が変わるわけではない。「BIMじゃない」ことになってしまう。でもExcelの表機能は素晴らしいので割り切ってExcelを図面作成ツールと考えてExcelで図面を作ってしまうのが正解だろう。

でもそうなるとたくさんの図面を一元的に管理するツールとしてのRevitやARCHICADの役割を果たせなくなるという声も聞こえてきそうだ。いつまでも紙の図面にこだわるからなのだが。

面積表に続いて仕上表を取り上げる予定だったが紙幅が尽きてしまった。予定を変更して仕上表は次回取り上げることにする。

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監修・執筆

鈴木 裕二

1954年 大阪生まれ。アド設計代表、2011年 BIM LABOを設立する。おもな著書に『徹底解説 AutoCAD LT』シリーズ、『AutoCAD 神テク 105』(いずれもエクスナレッジ)、『ARCHICAD でつくる BIM 施工図入門』(鹿島出版会)など。

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