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機械系CAD 講師:山田学

世界で戦えるGLOBALエンジニアになるための製図技術

6th STEP 第3回:姿勢偏差の使い方/全5回

世界で戦うための製図技術 6th STEP【3】 姿勢偏差の使い方

3姿勢偏差の使い方

前回までに、形状偏差の6特性、「真直度」、「平面度」、「真円度」、「円筒度」、「線の輪郭度」、「面の輪郭度」について学んだ。
今回は、姿勢偏差に分類される「平行度」と「直角度」、「傾斜度」について説明する。

姿勢偏差

姿勢偏差とは、「対象となる形体が、データムに関連して角度、形状などが幾何学的に正しい姿勢を表す偏差の許容値内にあるかを規定する」と定義される。
形状偏差と異なり、必ずデータムを参照することが特徴である。

形状偏差には、次の五つの幾何特性がある。

  • ・平行度
  • ・直角度
  • ・傾斜度
  • ・線の輪郭度
  • ・面の輪郭度

今回、姿勢公差として利用される頻度の高い平行度、直角度、傾斜度の3特性を解説する。

1. 平行度

平行度とは、「データム直線またはデータム平面に対して、平行な幾何学的直線または幾何学的平面からの平行であるべき直線形体または平面形体のひらきの許容値」と定義される。
つまり、平行度の評価対象となる形体は、「データムに対して平行な1枚の平面、あるいは1本の直線」と認識すればよい。

平行度が適用する公差領域は、次の3種類である。

  • ・データムに対して平行な2枚の平面間の領域(3次元空間)
  • ・データムに対して平行な円柱の領域(3次元空間)
  • ・データムに対して平行な2本の直線間の領域(2次元平面)。ただし、公差記入枠の下に「LINE ELEMENT」を併記した場合、あるいは線の輪郭度で指示した場合

平面同士の平行度

平行に設計された平面に平行度を指示する場合、基準となるデータムを指示し、寸法線と指示線の矢を外し、幾何公差値にφは付けない(図1)。

図1

平行度の指示例(平面同士)

平行度の指示例(平面同士)

公差領域は、赤い領域になる(図2)。このとき、軸線方向の測定位置は任意である。

図2

平行度の公差領域

平行度の公差領域

3次元測定機を使った場合の平行度計測イメージを写真1に示す。
実用データムである定盤にデータム面を当て、定盤を触ることでデータムとして設定し、対象となる平行平面上の任意の多数点を測定し評価する。
※本例は一例であり、他の計測方法も存在する。

写真1

平行度の計測イメージ画像

平行度の計測イメージ

ここで、平行度の公差領域をもう一度確認してみよう。
データム面に平行な2面で挟まれた部分が公差領域であるが、前々回に説明した平面度との関係はどう考えればよいのだろう?(図3)
そう、平行度を満足するためには、自動的に平面度も満足しなければならない。
つまり、今回の姿勢偏差は、前回、前々回に説明した形状偏差を含むのである。
図3の事例は平面度を含むことになるが、穴や軸の場合は真直度を含むと考えればよい。

図3

平面度を含む平行度の公差領域

平面度を含む平行度の公差領域

2. 直角度

直角度とは、「データム直線またはデータム平面に対して、直角な幾何学的直線または幾何学的平面からの平行であるべき直線形体または平面形体のひらきの許容値」と定義される。
つまり、直角度の評価対象となる形体は、「データムに対して直角な1枚の平面、あるいは1本の直線」と認識すればよい。

直角度が適用する公差領域は、次の3種類である。

  • ・データムに対して直角な2枚の平面間の領域(3次元空間)
  • ・データムに対して直角な円柱の領域(3次元空間)
  • ・データムに対して直角な2本の直線間の領域(2次元平面)。ただし、公差記入枠の下に「LINE ELEMENT」を併記した場合、あるいは線の輪郭度で指示した場合

平面同士の直角度

直角に設計された平面に直角度を指示する場合、基準となるデータムを指示し、寸法線と指示線の矢を外し、幾何公差値にφは付けない(図4)。

図4

直角度の指示例(平面同士)

直角度の指示例(平面同士)

公差領域は、赤い領域になる(図5)。

図5

直角度の公差領域

直角度の公差領域

スコヤマスタを使った場合の直角度計測イメージを写真2に示す。
実用データムである定盤にデータム面を接し、対象となる直角平面上の任意の位置を連続的に測定し、ダイヤルゲージの振れ幅を読んで評価する。
※本例は一例であり、他の計測方法も存在する。

写真2

直角度の計測イメージ画像

直角度の計測イメージ

3. 傾斜度

傾斜度とは、「データム直線またはデータム平面に対して、理論的に正確な角度を持つ幾何学的直線または幾何学的平面からの理論的に正確な角度を持つべき直線形体または平面形体のひらきの許容値」と定義される。
つまり、傾斜度の評価対象となる形体は、「データムに対して理論的に正確な角度を持つ1枚の平面、あるいは1本の直線」と認識すればよい。

傾斜度が適用する公差領域は、次の3種類である。

  • ・データムに対して理論的に正確な角度を持つ2枚の平面間の領域(3次元空間)
  • ・データムに対して理論的に正確な角度を持つ円柱の領域(3次元空間)
  • ・データムに対して理論的に正確な角度を持つ2本の直線間の領域(2次元平面)。ただし、公差記入枠の下に「LINE ELEMENT」を併記した場合、あるいは線の輪郭度で指示した場合

平面同士の傾斜度

ある角度に設計された平面に傾斜度を指示する場合、基準となるデータム面と対象となる形体がなす角度を理論角度寸法として表し、寸法線と指示線の矢は外し、幾何公差値にφは付けない(図6)。

図6

傾斜度の指示例(平面同士)

傾斜度の指示例(平面同士)

公差領域は、赤い領域になる(図7)。

図7

傾斜度の公差領域

傾斜度の公差領域

3次元測定機を使った場合の傾斜度計測イメージを写真3に示す。
実用データムである定盤にデータム面を当て、定盤を触ることでデータムとして設定し、対象となる傾斜平面上の任意の多数点を測定し評価する。
※本例は一例であり、他の計測方法も存在する。

写真3

傾斜度の計測イメージ画像

傾斜度の計測イメージ

◆共通領域指示のススメ

姿勢公差も幾何公差値に続けて「CZ」を記入することで、下記のような解釈となる(図8)。
同様に、直角度や傾斜度にも使用できる。

図8

離れた形体への平行度指示例(共通領域指示)

離れた形体への平行度指示例(共通領域指示)

姿勢偏差は、比較対象となるデータムが必須である。
企業内の図面には、データムを指示せずに平行度や直角度を使った図例も散見されるので、図面作成時に留意しなければいけない。
姿勢偏差は形状偏差を含んでいることが分かった。姿勢偏差と形状偏差の違いは、公差領域に角度の規制が追加されることである。

次回は、位置公差の三つの特性(同軸度、対称度、位置度)を解説しよう。

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