2012年 1月 1日公開

【連載終了】実務者のためのCAD読本

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2010年に改正されたJIS製図のポイント【世界で戦えるGLOBALエンジニアになるための製図技術 ~図面は英語に勝る公用語~ 1st STEP/第5回】

機械系CAD 講師:山田学

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5.2010年に改正されたJIS製図のポイント

機械製図において、ISO規格とJIS規格を整合させるために、2000年前後にJIS製図が改正された。主な改正として、「ねじの表記」や「表面性状記号」、「幾何公差の表記」などである。そして2010年に、「寸法補助記号の追加」や「溶接の指示方法」などが改正された。最新規格である2010年改正JIS製図の中から主なものを抜粋し、以下に新旧の違いを比較し説明する。

2010年に改正された記号・表記(抜粋)

【えんこ】

円弧の長さを表現する寸法補助記号は以前から存在していたが、記号のレイアウトが変更された。従来は、寸法数値の上にかぶせるように円弧の記号を配置していたものが、他の寸法補助記号と同じように寸法数値の前に配置するように変更された(図1)。

【穴深さ】

従来、穴の深さは穴の直径の数値に続けて「×(深さの数値)」で指示していた。例えば、直径8mm、深さ15mmの場合、下記のように穴深さの記号を使うように変更された(図2)。

【座ぐり】

座ぐりには、下記の2種類がある。

  • 浅い座ぐり

    ボルト・ナットの接触する部分が、ざらついた鋳物の表面であったり、ダイカストのように金型の抜きテーパによる傾斜面であったりする場合、締め付け力を均一にするために締結面を平坦に加工するもの。

  • 深座ぐり

    ねじ頭部を取り付け面から飛び出さないように埋め込むために深さのある穴を同軸上に加工するもの。

まず、改正によって、文言が「座繰り」から「座ぐり」と変更された。

従来、座ぐりを指示する場合は寸法指示の中で言葉を用いて表現していたが、新しく座ぐり記号が追加された。これに伴い、従来は浅い座ぐりの座ぐり深さを省略していたが、深さを明記しなければいけないよう改正された。浅い座ぐりの図面と実形を図3に示す。

深座ぐりの場合は、設計機能に合わせた深さになるよう穴深さ記号の後ろの数値を変更すればよい。

【皿座ぐり】

皿座ぐりは、一般的に皿ねじを固定するために用いられ、穴の端部にテーパ形状を持つことが特徴である。設計者の中には、皿穴とか皿モミと呼ぶ人もいる。

皿座ぐりも寸法指示の中で言葉を用いて表現していたが、新しく皿座ぐり記号が追加された。