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2011年12月 1日公開
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最新JIS製図を用いた設計製図のセミナーを全国各地で開催していると、一つ困った現象が発生する。それは、少しでもJIS製図と違った表記をすると図面として失格であるという強迫観念を受講者が持つことである。
「うちの会社ではこんな表現をするんですが、これはJIS製図として正しいですか?」といった具合である。そこで私は、「JIS製図は、あくまでもガイドラインであり、すべてのパターンを網羅しているわけではありません。したがって、ルールにないものは読み手が間違った解釈をしないよう自分で考えればよいのです」と回答している。
いくつか、JIS製図の解釈を拡大解釈したり、設計意図を表現するために特殊な描き方をしたりするローカルルール的な指示事例があるので紹介する。
例えば図1のように、板金部品でコの字型に曲げられた部品において、表裏に開いた穴の個数を表現する際に次のような記入方法が考えられる。
一つの投影面で裏面にある穴の数まで含めて表記する場合をパターン1と呼ぶことにする。
投影面に表示されている穴の個数だけを表記し側面図に「面Aと同じ」などと表記することで裏面に同一の穴が開いていることを表記する場合をパターン2と呼ぶことにする。
私見であるが、実務設計においてパターン1と2のどちらも間違った解釈にはならず、問題ないと考えている。ただし、厳密にJISのルールに則るのであれば、パターン2の方がより正確にルールを守っているといえる。
その理由として、JISによると「一群の同一寸法のボルト穴などの表示において、穴の総数は同一箇所の一群の穴の総数(例えば、両側のフランジを持つ管継ぎ手ならば、片側のフランジについての総数)を記入する」とあるためである。
もうひとつ、穴の個数に関して質問の多い事例を紹介する。図2のように、同一面に複数の穴が開いている場合、三つの穴がセットで機能を果たし、それが3箇所に分散していることから「3-3×φ10」と表記する考え方がある。
設計者の意思を表現するという面でその気持ちは痛いほど理解できる。しかし、図1の事例でも解説したように、「穴の総数は同一箇所の一群の穴の総数で記入する」というルールに従うのであれば、単純に穴の総数として「9×φ10」と表記し、寸法線で設計意図(3個の穴がセットになって3箇所あるよ)と表現するほうがJIS製図のルールに則った図面であるといえる。
上記2例は、JIS製図のルールに則っているから図面として正しい、則っていないから図面として誤りであると決めつけるには短絡すぎると考える。
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