2018年 2月

実務者のためのCAD読本

深掘りBIM 2 面積表、仕上表、建具表をBIMで作る(1)/全5回

建築系CAD 講師:鈴木裕二

建築の図面の中でも表をどう作るか、BIMユーザーからの質問も多いし筆者自身も迷うところだ。図面に使われる表のうち今回は「建具表」をとりあげる。

1.表は悩ましい

建築の図面の中でも表をどう作るかは、BIMユーザーからの質問も多いし筆者自身も迷うところだ。図面に使われる表のうち今回は「建具表」をとりあげる。次図に建具表の一部を表示した。この図で分かるように建具表には文字の情報が多い。

ARCHICAD BIMガイドライン「実施設計編」の建具表(一部)

BIMでは、この表に表示される文字情報は建具に入力・設定されていて、そこから引っ張り出してくるという方法で表は作成される。ところが詳細に検討すると、そうでないこと、できないこともいくつか見えてくる。

ARCHICAD BIMガイドライン内の「実施設計編」の建具表(一部)

2.ARCHICADで建具表

まずARCHICADで建具表を作ってみよう。特別な設定をしないで標準のテンプレートを使って図のように壁に窓をいくつか配置した。

ARCHICADで壁に窓を配置

窓を配置しただけで、テンプレートにあらかじめ設定された仕組みによって「建具キープラン」と2種類の書式の「建具表」ができている。全く操作することなしに、この建具表ができあがる。

建具表に表示される窓の設定項目(フィールド)は「一覧表設定」で追加も削除もできる。

建具キープラン

建具表_横型

建具表

3.気づいたこと

ARCHICADの建具表で気づいたことをあげてみよう。念のために付け加えれば、あくまで「気づいたこと」で「欠点」ではない。運用によっては問題にはならない項目もある。

  1. サイズの違う窓に、同じ「AW5」の記号が付いている
  2. 姿図にFLの線、FLからの高さが欲しい
  3. 姿図の縮尺が一定でない(ただし設定すれば一定になる)

1は同じライブラリ部品「引違い」を使った窓なので、異なるサイズでも同じ記号が付くということだ。もちろん手動で違う記号、例えば「AW6」に変更するという一手間を加えれば問題は解消する。

ただしその一手間の作業をしていて気がついたのだが、例えば4個の「AW5」の窓の一つの「備考」に「要検討」と記入すると、建具表が1マス増えてしまう。たくさんの窓の設定の1項目でも異なれば異なる窓として建具表の1マスを使うことになる。

AW5、AW6の建具表

2の「姿図にFLの線、FLからの高さが欲しい」は、建具表の中で注釈として線や寸法を角窓について記入することで解決する。残念ながら実際のモデルと連動しない、つまりBIMでなくなることになる。

姿図にFL線と寸法を注釈として追記

3は自動的に各窓ごとに適当な大きさで表示してくれているのだが、これを一定の縮尺で表示させるには、「一覧表設定」で「スケール」を「固定(1:100)」などとするだけで解決する。全ての姿図が一定の縮尺で表示される。

4.Revitで建具表

ARCHICADと同じようにRevitで建具表を作ってみよう。標準の「建築テンプレート」を使ってRevitを起動して図のような窓を配置した。

Revitで壁に窓を配置

あらかじめ用意された窓の集計表をシートに貼り付け建具表として、開いてみると下図のように単純な表になっている。最低限の窓情報が記載された1個の窓あたり1行の構成の表だ。この表はあくまで窓のパラメータを確認するものと考えた方がいいだろう。

窓の集計表

次にテンプレート「RUG Template 2_0.rte」からスタートして、同じように建具表を作成してみる。次のように詳細な建具表が作成される。開いた時点では種類と番号は空白だったので筆者が入力した。その他の項目は未入力なので白紙になっている。

個数も表示されてこれぐらい詳細な表なら、建具表としては十分だ。あとは姿図だがこの表の下あたりに立面図などのビューとしておいて、姿図はまとめて配置するという方法になる。

詳細な建具表

5.「建具表」ツールを使う

建具表の中に姿図を入れたいという場合は、サブスクリプションユーザーがダウンロードできるJapan Standards Extensionの「建具表」を使うことになる。

Japan Standards Extensionの「建具表」ツール

この「建具表」ツールを使って作成されたのが次の建具表だ。実はこの「建具表」はRevitの集計表機能で作られたのではない。窓のタイプごとに「タグ」を使って配置して並べられたものだ。その仕組みからどうしても「個数」を表に含めることはできない。別に符号と個数だけの積算用の「表」を用意した方がいいだろう。またW、H寸法やFLからの高さ寸法も姿図に表示されない。

窓用のタグのカスタマイズ

この窓用のタグのカスタマイズは難しくないので、窓に必要なパラメータを用意し、タグの書式をファミリエディターで整えると次の図のような建具表の1マスができあがる。実用的な建具表だ。寸法は姿図のビューに追記してある。注釈ではないのでBIMモデルの変更に追随するが、ARCHICADと同じく、各窓に寸法を追記するという面倒な作業が必要になる。

寸法は姿図のビュー

6.これからの建具表は

「手書き時代からウチの建具表の形式は決まっていて変えてはいけないそうです」とある若手設計者がぼやいていた。ベテランの設計者が伝統ある書式にこだわるのも分かるが、BIMアプリケーションを使う以上、過去の手書きや2D CAD時代に作られた形式にこだわる必要はない。

建築基準法への適合、防耐火の性能、排煙のチェック、消防法への適合などが可能であれば、全く新しい建具表で全く問題ないだろう。姿図は図面でも、建具のパラメータ一覧表はExcelシートでいいはずだ。

公共工事で発注者側が「ウチではこの書式の建具表に決まっています」と強制することもあると聞く。完全に新しい書式のBIM建具表をそろそろ作って提案しないといけないと思う。

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