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機械系CAD 講師:山田学

世界で戦えるGLOBALエンジニアになるための製図技術

6th STEP 第1回:形状偏差の使い方1/全5回

世界で戦うための製図技術 6th STEP【1】 形状偏差の使い方1

1形状偏差の使い方1

5th STEPでは、寸法と幾何特性の違いを知り、加工によって形が崩れる原因や計測の原理、データムの記入法と幾何特性の公差領域について学んだ。
6th STEPでは、具体的な幾何特性14種類について、その解釈と記入テクニックについて解説する。

第1回は、14種類の幾何特性のうち形状偏差に分類される「真直度」と「平面度」について説明する。

形状偏差

形状偏差とは、「対象となる形体が、平面や線など、幾何学的に正しい形状を表す偏差の許容値内にあるかを規定する」と定義される。
また、幾何公差の分類の中で、唯一、単独形体と呼ばれ、データムを参照しないことが特徴である。

形状偏差には、次の六つの幾何特性がある。

  • ・真直度
  • ・平面度
  • ・真円度
  • ・円筒度
  • ・線の輪郭度
  • ・面の輪郭度

今回は、上記のうち、真直度と平面度について説明する。

1.真直度

真直度とは、「直線形体の幾何学的に正しい直線からのひらきの許容値」と定義される。
つまり、真直度の評価対象となる形体は、「1本の直線」と認識すればよい。

真直度を適用する公差領域は、次の3種類である。

  • ・2本の直線間の領域(2次元平面)
  • ・円柱の領域(3次元空間)
  • ・角柱の領域(3次元空間)

真直度の図面指示例を見てみよう。

1) 円筒軸の真直度(母線指示)

円筒軸の母線に真直度を指示する場合、直径の寸法線と指示線の矢は外し、幾何公差値にφは付けない(図1)。

図1

円筒軸の真直度指示例(母線指示)の図

円筒軸の真直度指示例(母線指示)

公差領域は、赤い領域になる(図2)。このとき、軸の回転方向の位置は任意である。

図2

円筒軸の母線の真直度公差領域

円筒軸の母線の真直度公差領域

真円度測定機を使った場合の円筒軸の真直度(母線)計測イメージを写真1に示す。
円筒軸の任意の1本の母線を測定する。
※本例は一例であり、他の計測方法も存在する。

写真1

円筒軸の真直度(母線)の計測イメージ画像

円筒軸の真直度(母線)の計測イメージ

2)円筒軸の真直度(中心線指示)

円筒軸の中心線に真直度を指示する場合、直径の寸法線に指示線の矢を当て、幾何公差値にφを付ける(図3)。

図3

円筒軸の真直度指示例(中心線指示)

円筒軸の真直度指示例(中心線指示)

公差領域は、赤い領域になる(図4)。

図4

円筒軸の中心線の真直度公差領域

円筒軸の中心線の真直度公差領域公差記入枠の要素

真円度測定機を使った場合の円筒軸の真直度(中心線)計測イメージを写真2に示す。
円筒軸の180度対向する任意の2本の母線からその平均値となる中心線を計算によって求める。
※本例は一例であり、他の計測方法も存在する。

写真2

円筒軸の真直度(中心線)の計測イメージ画像

円筒軸の真直度(中心線)の計測イメージ

次に、レアなケースであるが、平らな面の表面に母線の真直度を指示した例を見てみよう。

平面上の真直度(母線指示)

平面上の母線に真直度を指示する場合、高さや幅の寸法線と指示線の矢は外し、幾何公差値にφは付けない(図5)。

図5

平面上の真直度指示例(母線指示)

平面上の真直度指示例(母線指示)

公差領域は、赤い領域になる(図6)。このとき、測定する位置は任意である。

図6

平面上の母線の真直度交差領域を示した図

平面上の母線の真直度交差領域

3次元測定機を使った場合の平面上の真直度(母線)計測イメージを写真3に示す。
1本の直線となるよう平面上の任意の多数点を測定する。
※本例は一例であり、他の計測方法も存在する。

写真3

平面上の真直度(母線)の計測イメージ画像

平面上の真直度(母線)の計測イメージ

2.平面度

平面度とは、「平面形体の幾何学的に正しい平面からのひらきの許容値」と定義される。
つまり、平面度の評価対象となる形体は、「1枚の平面」と認識すればよい。

平面度が適用される公差領域は、次の1種類のみである。

  • ・2枚の平面間の領域(3次元空間)

平面度の図面指示例を見てみよう。

平らな面への平面度(表面指示)

平らな面に平面度を指示する場合、高さや幅の寸法線と指示線の矢を外し、幾何公差値にφは付けない(図7)。

図7

平らな面への平面度指示例(表面指示)

平らな面への平面度指示例(表面指示)

公差領域は、赤い領域になる(図8)。

図8

平らな表面の平面度公差領域

平らな表面の平面度公差領域

3次元測定機を使った場合の平面度計測イメージを写真4に示す。
平面上の任意の多数点を測定する。
※本例は一例であり、他の計測方法も存在する。

写真4

平面度の計測イメージ画像

平面度の計測イメージ

ISOやJISの規格によると、平面度は表面形体にのみ適用でき、中心平面には適用できないため、下記のような図面指示をしてはいけない(図9)。
ただし、アメリカ機械学会(ASME)では、平面度を中心平面に指示することができる。

図9

中心平面への平面度指示例(表面指示)

中心平面への平面度指示例(表面指示)

共通領域指示のススメ

同一平面として設計しているが、その途中に溝や突起がありその形体が分断されている場合、その離れたそれぞれの形体に平面度を指示すると、別形体として解釈される(図10)。
つまり、同一平面として設計しているにもかかわらず、別々の形体として検査されるため、設計意図と相違が出てしまう。

図10

離れた形体への平面度指示例(個別指示)

離れた形体への平面度指示例(個別指示)

そこで、設計意図と同じように、離れた形体を同時に検査してもらうための記号が存在する。
幾何公差値に続けて「CZ」を記入することで、下記のような解釈となる(図11)。
ここで、CZはCommon Zone(共通領域)の省略語である。

図11

離れた形体への平面度指示例(共通領域指示)

離れた形体への平面度指示例(共通領域指示)

同様に、真直度にも共通領域を指示することができる(図12)。

図12

離れた形体への真直度指示例(共通領域指示)

離れた形体への真直度指示例(共通領域指示)

幾何特性の分類のうち、形状偏差から知識を得ていくことが理解への早道である。
データムを参照しない形状偏差のうち、真直度と平面度は、それぞれ1本の直線あるいは1枚の平面を規制する特性であることが分かったと思う。

次回は、形状偏差のうち、残りの4特性(真円度、円筒度、線の輪郭度、面の輪郭度)を解説しよう。

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