2012年 2月

実務者のためのCAD読本

窓を考える【「おさまり」のいい図面 ~鍵はBIM×二次元CADの相互理解~/第1回:「窓」】

建築系CAD 講師:鈴木 裕二

シリーズ記事

1. BIM(ビム)って?

建築の設計にかかわる人なら耳にしたことがある流行りの言葉「BIM」、人によって「ビーアイエム」とも「ビム」とも発音するが、Building Information Modeling(ビルディングインフォメーションモデリング)の略だ。簡単に言えばコンピュータの中に建物を作るという設計、建設、維持管理に使う手法であり、思想のことだ。

BIMアプリケーション、つまりBIMで使うソフトウェアとしてはシェアの大きい順に(「BIM活用実態調査2011年版」日経BPコンサルティング/ケンプラッツによる)、ArchiCAD、Revit Architecture、SketchUp、Vectorworks、MicroStation (Bentley Architecture) 、GLOOBE、Allplanとなる。

一つぐらいはその名前を耳にしたことはあるだろう。

ではそのBIMとは何か、BIMで何ができるのか、ここで整理しておこう。

1) プレゼンテーションのツールとしてのBIM

「ウチは工場の設計ばかりで、デザインが売りじゃないのでパースもいらんからBIMは使いませんわ」という工務店の親父。

3分の1は正しい、BIMを使えば簡単にパースが作れるし、最近ではアニメーション・動画まですぐ作れる。筆者らがBuilding Live Kobe(http://blkobe2011.seesaa.net/)というコンペで作成した建物モデルのパースが下の図だ。数時間でこのパースは作ることができるし、建物内外をアニメーションで見せる動画も1日もあれば作ることができる。

Building Live Kobeで神戸市長賞を受賞した設計作品

2) シミュレーションのツールとしてのBIM

「南側の庭に木を植えたら夏は涼しくていいかな? 今はコンピュータでどれくらいの効果があるか計算できるでしょ?」という施主。

建物をコンピュータの中に建ててあらゆることを試してみる。シミュレーションの道具、これこそBIMだ。下の図は建物のまわりをどのように海から風が流れるかを計算して表示している。風や熱ばかりでなくエネルギー消費量や、都市景観への影響、環境負荷などさまざまなシミュレーションをBIMでおこなうことができる。実際に建物を建てなくても、コンピュータの中で建ててシミュレーションをして、問題があればすぐ設計を変更する。

国際交流センターの風のシミュレーション(小さな球が風に乗って流れていく様子をアニメーションで表現)

3) 正確な図面を作る道具としてのBIM

「図面の変更が面倒だな、一つ窓の位置が変わっただけでいったい何枚の図面を直さないといけないの!」といらだつCADオペレータ。

BIMを使えばこの悩みは解決できる。どのBIMアプリケーションでも3次元のモデルと、2次元の平面図、立面図、断面図は完全にリンクしている。何か一つを変更すると関連するすべての図面は自動的に修正される。

儲かるBIMとして注目されるBIMの利点だ。逆に言えばBIMを使わない図面には図面どうしの不整合や、建設して初めて分かる問題点が隠されており、それらがコストアップの要因になっていたということだ。

子育て支援センターの立面図・断面図

4) BIMの三つの側面

プレゼンテーションのツールとしてのBIM、シミュレーションのツールとしてのBIM、正確な図面を作る道具としてのBIM、と三つのBIMの側面を紹介した。

筆者が本講義で取り上げるテーマは3番目の「正確な図面を作る道具としてのBIM」としたい。前者二つのテーマは時流に乗り、よくセミナーや記事で取り上げられる。ここではBIMによって正確な図面を作るというBIMの3番目の側面を掘り下げて考える。