3 加工の基準もあわせて考える
設計意図を表す寸法記入について学ぶ3rd STEPの3回目。前回は軸を固定する治具(じぐ:作業を補助する器具の総称)の組立図から六自由度を意識しながら基準を見極め、Vブロックの寸法記入を行った。今回はVブロックに組み合わせるハウジングの寸法記入を考えてみよう。
あらためて、軸を固定する治具の組立図を確認しておく (画像1、2)。
画像1
画像2
1…Vブロック
2…ハウジング
3…締め付けボルト
4…ハンドル
画像3
ハウジングを斜め上から見たところ
画像4
ハウジングを斜め下から見たところ
六自由度を意識してハウジングの基準面を考えてみよう。
Vブロックにハウジングを組み合わせた段階で、X軸方向の併進運動XA、Z軸方向の回転運動ZBの動きが拘束される(画像5 黒矢印)。
従って、ハウジングのX軸方向の基準面は、ハウジング内側の垂直面(左右に2面あり)であることが分かる(画像6)。
画像5
画像6
ハウジングは左右対称形状であることから、締め付けボルトをX軸方向の中央に配置することを表現するために、縦の中心線を基準とした“中心振り分け寸法”とする。
- * 「70」という基準寸法は、Vブロックの基準寸法と同一であるため、設計意図として、組立時の隙間を保証するための寸法公差が両部品に必要である(画像7)。
画像7
ハウジングの内側を中心振り分け寸法として記入したが、これは設計機能上、内側の中央に締め付けボルトを配置したいという意思を表現したものである。
しかし、締め付けボルト用のねじ穴を内側の中央に加工するには加工の基準が必要となり、一般的に外郭形状を基準として穴位置を決定する(画像8)。
そのため、ハウジング外側の垂直面を加工基準として寸法指示しておく必要がある(画像9)。
画像8
画像9
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