この連載について
BIMの新しい使い方の提案と解説を目指して、今回のテーマを「BIMをこう使う」とした。BIMをこう使えば設計時間を短縮できるという実利を求める話ではなく、BIMをこう使えば面白い、という内容にしていきたい。
- * 大塚商会では本稿で紹介している全ての製品を取り扱いしているわけではありません。
お客様のご希望製品の取り扱いがない場合もありますのであらかじめご了承ください。
【お知らせ】がんばる企業応援マガジン最新記事のご紹介
1.なぜBIMアプリケーションをカスタマイズするのか?
ArchicadやRevitなどのBIMアプリケーションを使い込んでくると、この機能があればいいのに……と思うことがある。アプリケーションを開発した会社に要望するのもいいが、いつ実現するかは分からない。またBIMなのでモデルに組み込まれた情報をデータベースとしてもっとうまく活用できるのではないかという欲も出てくる。
そんなときは「カスタマイズ」だ。BIMアプリケーションを「カスタマイズ」することで、単にアプリケーションを使いやすくするだけでなく、BIMのデータを利用してほかのプログラムにつないだり、モデルをプログラムから変更したりできる。
昨年リリースされたArchicad 24で、Python(パイソン)というプログラミング言語を使ったカスタマイズが可能になった。今回はそのPythonによるArchicadカスタマイズに挑戦しよう。ArchicadはWindows版のArchicad 24を使う。
2.Pythonとは?
Pythonは1991年に登場した比較的新しいプログラミング言語だ。その特長はフリーのライブラリーがたくさんあって、かつ簡潔で読みやすいコードを書けるということにあるそうだ。
読みやすいコードかどうか、同じ内容を異なるプログラミング言語で書いてみよう。「もしAとBが同じなら、AとBの値は0とする」という意味のコードだ。C#やVisual BasicはAutoCADやRevitのカスタマイズで.Net(ドットネット)APIとして、よく使われるプログラミング言語だ。
確かにPythonは3行だけですっきりしている。「{}」も行末の「;」も「End If」の文字もない。字下げ(インデント)によって、どこがIf文の終わりかを示しているのが特徴だ。[Tab]のキーをぽんと打って字下げすればIf文の範囲に入ったことになる。こうして作ったコードは読みやすいコードになる。
筆者にとっては字下げによる読みやすさ以上に特別画期的な機能を持つプログラミング言語とは思えないのだが、流行の機械学習やAIのライブラリーなどがそろっていることや、BIMアプリケーションとの連携ができる点は魅力だ。使えるようになっておいて損はない。