2021年 8月

実務者のためのCAD読本

BIMをクラウドで使う【BIMをこう使う/第3回】

監修:鈴木 裕二

BIMアプリケーションにクラウドを組み合わせると無敵だ、というのは筆者があちらこちらで主張している持論だ。例えばBIMアプリケーションを持っていない関係者から、設計内容について指摘を受ける。その指摘について即座に対応して返す。この仕組みがクラウドアプリケーションとして用意されているからだ。今回はAutodesk DocsとRevit、Autodesk BIM Collaborateという製品を組み合わせて、この仕組みを実行してみる。さらに無償のクラウドアプリケーションであるAutodesk Viewerも紹介する。

この連載について

BIMの新しい使い方の提案と解説を目指して、今回のテーマを「BIMをこう使う」とした。BIMをこう使えば設計時間を短縮できるという実利を求める話ではなく、BIMをこう使えば面白い、という内容にしていきたい。

シリーズ記事

  • *大塚商会では本稿で紹介している全ての製品を取り扱いしているわけではありません。
    お客様のご希望製品の取り扱いがない場合もありますのであらかじめご了承ください。

1.BIMで使うクラウドを見直す

この連載では何度かクラウドを取り上げてきた。2年前に取り上げたのが以下の記事だ。共同で設計する設計者のためのツールとして、BIM 360というクラウドアプリケーションを解説した。

共同作業に必須のツールBIM 360【BIM最前線/第5回】

筆者の教えている大学や専門学校で学生に「クラウドって何でしょう?」と聞くと、「よく分からないけど……」という返事が返ってくることが多い。それでも「スマートフォンで写真を撮ってそれを友達に渡すときにどうする?」と聞くと「iCloudやGoogleフォトで」と返事が返ってきて、「インターネットを通じて、どこかにある強力なコンピューターを利用する」というクラウドの仕組みを理解してもらえる。

今回はBIMで使うクラウドアプリケーションを見直すことにする。上の記事では「設計者にとってのクラウド」をテーマにしたが、今回は建築に関わるクライアント、施工者、行政などあらゆる関係者が、ファイルの交換だけでなくもう一段上の利用ができるクラウドアプリケーションについて解説する。

2.Issueとクラウド

Issue(イシュー)という用語がビジネスシーンでよく使われる。問題点や課題という意味の英単語だ。IssueはBIMアプリケーションRevitでは「指摘事項」、Archicadでは「案件」と訳されている。プロジェクト関係者が、図面やモデルを見て気が付いたことをクラウド上で「指摘事項」や「案件」として書き込み、設計者に提起するというBIMならではの仕組みだ。

RevitではAutodesk Docsと組み合わせてこれを実現できるようになっている。Revitでその関係者からの「指摘事項」を表示しているのが下の図だ。

Revitの「指摘事項」タブと「指摘事項」パネル

Archicadでは「案件」として、BIMcloudというクラウドアプリケーションと組み合わせて使用される。Archicad内では下図のように「案件マネージャ」と「案件オーガナイザ」を使う。

Archicadで「案件マネージャ」と「案件オーガナイザ」を表示

今回はRevitを取り上げるが、Archicadも進化している。Archicad 24では「案件管理」が追加され、BIMcloudと組み合わせて高度なコラボレーションができるようになった。機会があれば環境を整えて、Archicadの「案件管理」もぜひ紹介したい。

3.BIM 360が変わった

昨年11月で、BIM 360 Designの名前がAutodesk BIM Collaborate Proと変わった。今年になってAutodesk Construction Cloudという製品が使えるようになった。名前の変更だけでなくクラウド関連の製品構成なども変わった。クラウドを使った「指摘事項」の解説に入る前に、ここで使用する製品とその機能を確認しておこう。

まずはクラウドに置いた一つの物件を、Revitを使って共同で設計するツールだ。Revit単体では共同設計はできないので、Revitユーザーは下記の製品を追加する必要がある。共同設計せずに一つのプロジェクトに一人で設計するならこのツールは不要だ。

Autodesk「BIM Collaborate Pro(旧名BIM 360 Design)」(AutodeskのWebサイトが開きます)

Autodesk BIM Collaborate Pro

Revitを持っていなくても、クラウドにあるプロジェクトを見て、コメントをやりとりしたりするのがAutodesk Docsだ。以前はBIM 360 Docsという製品が販売されていたが、2021年の7月よりBIM 360 Docsの名前が変わってAutodesk Docs の単体販売が開始された。Revitは使わないが、モデルや図面はクラウドでAutodesk Docsを使って見たい場合は、以下の製品を導入する必要がある。Revitは必要ない。

Autodesk「Autodesk Docs」(Autodeskのサイトが開きます)

もう一つArchitecture, Engineering & Construction Collection(AEC Collection)という、RevitだけでなくAutoCADやInfraWorks、Navisworksなどのデスクトップアプリケーションが含まれる製品がある。この製品にもAutodesk Docsは含まれている。

Autodesk「Architecture, Engineering & Construction Collection」(Autodeskのサイトが開きます)

Autodesk Architecture, Engineering & Construction Collection