2023年 2月 7日公開

【連載終了】実務者のためのCAD読本

自動設計とはどういうことか?【考えるBIM/第2回】

監修:鈴木 裕二

  • CAD
  • BIM

新シリーズは「考えるBIM」と題して、実際に使えるか使えないか、まだ分からないBIMに関わる五つの題材を設定。それらをしっかり考察してゆく。第2回では「ジェネレーティブ デザイン」をテーマに「自動設計とはどういうことか」を考えたい。

本コーナー「実務者のためのCAD読本」にて隔月連載・監修をいただいておりました鈴木裕二先生が急逝されました。鈴木先生には2012年より、CAD設計にまつわる最新の話題を、時にユーモアも交えつつ、長くご発信いただきました。
現シリーズ「考えるBIM」は連載半ばではございますが、本記事にて更新を終了とさせていただきます。読者の皆様のこれまでのご愛顧に深く感謝を申し上げるとともに、謹んで鈴木先生のご冥福をお祈りします。

この連載について

BIMの可能性を図るべく、BIMにかかわる以下五つの題材をじっくりと考察する。

シリーズ記事

  • * 大塚商会では本稿で紹介している全ての製品を取り扱いしているわけではありません。お客様のご希望製品の取り扱いがない場合もありますのであらかじめご了承ください。

1. 自動設計は失敗か?

2022年9月に米国で開催されたイベントAutodesk Universityに筆者は参加した。そこで初めて知ったのだが、「Generative Design is Doomed to Fail」つまり「ジェネレーティブデザインは失敗する運命」と言われることがあるというのだ。確かに以前のイベントでは「ジェネレーティブデザインによる自動設計のほうが人間の行う設計より早く、いいものを作ることができる」というテーマがよく取り上げられていた。今年は「専門家が上手にジェネレーティブデザインを使えばうまくいく」というテーマが多かった。つまり、ジェネレーティブデザインが失敗したのではなく、夢の新技術の段階を終え、地に足を着けて使える段階に入ったのだと思う。

今回は「こういうのを自動設計と呼んではいけない」という例と、さらに「可能性はこちらにあるかも」という例を取り上げて、自動設計の可能性について考えたい。

2. 設計手法の用語

自動設計について考える前に、自動設計に関連する設計手法の進化と用語を整理しておこう。
設計手法は「伝統的設計手法」から始まり、「パラメトリック設計」、「ジェネレーティブ デザイン」、「機械学習」と進化してきた。

「伝統的設計手法」は今も行われている、紙、鉛筆、電卓(Excel)を使う方法だ。経験と知識が物を言う手法でもある。

次に「パラメトリック設計」という設計手法が登場する。「パラメトリック設計」には大きく三つ、「パラメトリックモデリング」「デザインオートメーション」「コンピュテーショナルモデリング」という段階がある。「パラメトリックモデリング」は、ルールに基づいて、例えばExcelを使って結果を検証する設計手法だ。「デザインオートメーション」は専用のプログラムによる自動設計、「コンピュテーショナルモデリング」は設計者がパラメータを変化させながらデザインに反映する設計手法だ。

さらに進んだ設計手法が「ジェネレーティブ デザイン」だ。この「ジェネレーティブ デザイン」も、無限のバリエーションが提示され、ユーザーが選択する「オプション生成」、望ましい特性を持つモデルが複数提案される「最適化設計」の二つの手法がある。さらにシステムが過去に蓄積されたデータからあるテーマに適合するモデルを返す「機械学習」などの設計手法もある。

もう一つ主に機械設計分野で使われる設計手法として「トポロジー最適化」がある。与えられたモデルに対して繰り返し計算をして最適モデルを生成する手法だ。これもコンピュテーショナルモデリングの一つだろう。

設計手法の進化

  • 伝統的設計手法

    紙、鉛筆、電卓(Excel)を使って

  • パラメトリック設計

    パラメトリック モデリング:窓は壁に拘束などのルール、Excel計算書
    デザイン オートメーション:自動化されたスクリプトでカスタマイズ
    コンピュテーショナル モデリング:ルールで入力を変化させてデザインに反映

  • ジェネレーティブ デザイン

    オプション生成:無限のバリエーションが提示され、ユーザーが選択
    最適化設計:望ましい特性を持つモデルを複数提案

  • 機械学習

    ユーザーが結果を入力、システムは過去データから適合するモデルを返す

今回は「ジェネレーティブ デザイン」をテーマに「自動設計とはどういうことか」を考えたい。筆者はこれまでもこの自動設計をこの連載で取り上げてきた。