2012年 7月 1日公開

【連載終了】実務者のためのCAD読本

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意外と知らないJISのルール【世界で戦えるGLOBALエンジニアになるための製図技術 ~製図実践基本テクニック~ 2nd STEP/第3回】

機械系CAD 講師:山田学

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3.製図実践基本テクニック~意外と知らないJISのルール

寸法記入のウソ・ホント~JISのルールと設計現場のデファクト・スタンダード(事実上の標準)

前回は、特殊な図示法を使って、第三者により理解しやすい投影図を描くテクニックを解説した。
普段何気なく記入している寸法にも、JISに決められたルールがある。
今回は、三つの寸法補助記号を例に、JISのルールと設計現場のルールの違いを見てみよう。

【直径の表し方】

軸や穴の直径を指示する場合、直径の寸法補助記号「φ(まる・ふぁいと呼ぶ*)」を寸法数値の前に付与して丸い形状であることを表す。

  • * 言葉にしやすいため慣例的に「パイ」と呼ぶ設計者も多い。

直径寸法を指示する場合、JISには次のようなルールがある。

対象とする部分の断面が円形であるとき、その形を図に表さないで、円形であることを示す場合には、直径の記号φを寸法数値の前に、寸法数値と同じ大きさで記入して示す。

JISのルールや設計現場でも変わりなく、円形を側面から見た図には必ず「φ」を記入し円形であることを伝達する。

円形の図に直径の寸法を記入する場合で、寸法線の両端に端末記号がつく場合には、寸法数値の前に直径の記号φはつけない。

投影図から円形であり、寸法線が直径を示しているため、寸法補助記号で円形であることを示すと過剰情報になるためとの理由である。 円形を選択すると自動的に寸法数値の前に「φ」がつく機能をもったCADも多いため、設計現場では多くの企業で「φ」をつけており、JISのルール上は誤りであるが、誤った判断にはならないため、筆者は「φ」をつけても問題ないと考えている。

  • * 製図の国家試験のようにJISのルールを守らなければいけない場合には従う必要がある。

ただし、引き出し線を用いて寸法を記入する場合には、記号φを記入する。

矢が1カ所だと直径なのか半径なのかの判断に迷う可能性があるため記号を付与する。

円形の図および側面図で円形が表れない図のいずれの場合でも、直径の寸法数値の後に明らかに円形になる加工方法が併記されている場合には、寸法数値の前に直径の記号φは記入しない。

「キリ」はドリルによる加工、「リーマ」はリーマによる加工を表し、これらのツールを使って加工されたものは必然的に円形になるため「φ」をつけてはいけない。設計現場では「φ」をつけた図面と「φ」をつけない図面が混ざって流通しており、社内で統一すべきと考える。また、側面から見た図では、ドリルの刃先を当てるという意思を表すため円の中心点から引き出し線を出すこともある。

穴の加工ツール

ドリルとは、先端に切れ刃をもち、また、ボデーに切りくずを排出するための溝をもつ、主として穴あけを行うのに用いる工具である。

リーマとは、あらかじめあけられた穴を正確に仕上げ、同時に滑らかな仕上げ面を得ようとする場合に用いる工具である。直径で0.1~0.2mm程度小さな穴をドリルで開けた後、リーマを通すことで指定した寸法精度の範囲内で滑らかな表面をもつ穴を仕上げる。

(左)ドリル (右)リーマ