2020年 4月 7日公開

【連載終了】実務者のためのCAD読本

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設計者のためのリアルタイムレンダリング【BIMでつなぐ/第5回】

監修:鈴木 裕二

  • CAD
  • BIM

今回のテーマを「設計者のためのリアルタイムレンダリング」とする。宣伝広告のためや発注者へのプレゼンのためではない、設計者自身のためのリアルタイムレンダリングだ。デザインを進める設計者が自分で使うリアルタイムレンダリング、そのためのツールはどのようなものでなければならないのか、四つの必要条件を解説する。

この連載について

今回の連載「BIMでつなぐ/全5回」では、BIMとつなぐ、つなげることで得られる効果やその方法について、最新の情報をお届けします。(変化の激しいBIMテクノロジーに合わせて、テーマを変更させていただく場合もございます。)

シリーズ記事

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「設計者のための」とは?

この連載では、これまでもリアルタイムレンダリングを取り上げてきた。第一回ではTwinmotionというリアルタイムレンダリングアプリケーションを取り上げた。

また過去には、グラフィソフト社のBIMxアプリケーションとVR(バーチャルリアリティ)も取り上げた。

TwinmotionもBIMxも素晴らしいアプリケーションなのだが、設計者のためのツールとしては何か物足りない。Revit LiveというRevit専用のアプリケーションもあるが、2019版で開発が終わってしまっているようだ。

そこで今回は、最近、設計者の間で手軽なツールとして使われているEnscapeを「設計者のためのリアルタイムレンダリング」のツールとして取り上げる。詳しくその機能を紹介しながら、設計者のためのツールとしての必要条件を考えたい。

Enscapeとは

重要なお知らせ

2021年1月現在、大塚商会ではEnscapeのお取り扱いはございません。

Enscape(エンスケープ)はドイツEnscape社(https://enscape3d.com/)の製品だ。Enscape単体で使うのでなく、SketchUp、Rhinoceros、Revit、ARCHICADと一緒に使う。価格は1カ月単位の場合47米ドル/月だ。2週間無料で使える体験版もある。ここではBIMアプリケーションの代表格であるRevitとARCHICADを使ってEnscapeを紹介しよう。

Revitに表示されるEnscapeタブ

ARCHICADに表示されるEnscapeメニューとツールバー

Enscapeの基本機能

Enscapeという製品の全ての機能を紹介することが本稿の目的ではないので、ここでは機能の一覧を表にまとめることにする。ARCHICADから起動したEnscapeとRevitから起動したEnscapeの比較が次の表だ。ARCHICADではEnscapeのビューと全く同じようにビューが動くLive Updates(自動更新)ができたり、RevitではPlace Sound Source(音源を配置)機能があったりという違いがあるが、大きな違いはないようだ。
(表中の「解説」は筆者の翻訳によるもので、Enscape社による公式のものではない)

機能解説ARCHICADRevit
Start Enscape / Update SceneEnscapeを起動
Live Updates自動更新
Synchronize Viewsビューを同期
Active Document - ViewsRevitビューを切り替え
VR HeadsetVRヘッドセットを使用
Asset Libraryアセット(部品)ライブラリ
Enscape Materials EditorEnscapeで表示されるマテリアルを調整
Render Imageレンダリングしてファイルに保存
Export Exe Standalone単独で動作するEXEファイルに書き出し
Export Web StandaloneEnscape社Webサイトに書き出し表示
Video Editor (on / off)ビデオ エディターに切り替え
Create ViewEnscapeのビューをRevitにビュー登録
Load Pathカメラパスをファイルからロード
Save Pathカメラパスをファイルに保存
Render Video完成したビデオをMP4ファイルに保存
Render Panoramaパノラマ画像の作成
Render Panorama for CardboardCardboard用パノラマ画像の作成
Manage Uploads画像をアップロード・ファイル保存
Place Sound Source音源を配置
Enable Sound音源ON
General Settings一般設定
Visual Settings表示設定
Feedbackフィードバック
AboutEnscapeについて
Enscape StoreEnscapeストア
Enscape ToolbarEnscapeツールバーを表示

EnscapeがなくてもWebで

ARCHICAD、Revitに共通して、面白い機能を一つ取り上げる。Export Web Standalone(Enscape社Webサイトに書き出し表示)という機能だ。このExport Web Standaloneを使うと、Enscapeを持たないユーザーでも指定URLにアクセスすれば建物の内外を歩き回るようなレンダリング画像を表示させることができる。ただしOSはWindowsに限られ、グラフィックボードなどそれなりの機能は必要になる。

次の例はARCHICAD 22でARCHICADガイドラインのモデルを表示させ、Enscapeを起動、さらにEnscape社Webサイトに書き出したものをGoogle Chromeで表示したものだ。

ARCHICAD 22で表示

Enscapeアプリケーションで表示

Webで表示(Google Chromeを使用)

同じことをRevit 2020でもやってみよう。使うのはRevitに付属のサンプルモデルだ。

Revit 2020で表示

Enscapeアプリケーションで表示

Webで表示(Google Chromeを使用)