2021年 1月

実務者のためのCAD読本

軸部品の詳細形状モデリング(2)【基本要素形状のモデリング/第4回】

監修:山田学 執筆:草野多恵

引き続き、軸の詳細形状の作成方法について解説していく。CAD製品によって操作手順等の差異はあるが、基本的な考え方はどの製品でも同様である。今回は詳細形状の中でも、先端部に球形がある形状、段差部に設ける隅の逃がし形状や隅の丸み、面取りの作り方について解説する。

この連載について

基本要素を用いながら、より具体的な設計使用方法を解説する。また、主要な3D CADでの手法も併せて解説する。

シリーズ記事

1.軸端部のねじ(めねじ、おねじ)

3D CADでは通常、「ねじ」という属性を付与して表現することができる。その際、通常はねじ山をモデリングしない。属性が付いているので必要な情報は保たれている。ねじ山をモデリングすると、非常に細かい形状であるためデータ容量が格段に増えるので、それを回避する目的もある。CAD製品によっては、ねじ山をモデリングするかどうかを選択できるオプションが付いているものもある。

1-1 めねじ

めねじは通常、穴作成専用の「穴」コマンドを使用する。「穴」コマンド内で、ねじ穴か否かの選択や、口元の処理(ざぐりや皿面取りの有無)を行い、穴のサイズを指定して作成する。実際に出来上がるねじ穴は、前述したようにねじ山は作成されないが見た目で分かる工夫がされていることが多い。(図-1)そして属性が埋め込まれているので、この部品を2D図面化した場合には、自動的にねじの情報を読み取ってねじ寸法を表示することができる。(図-2)

図-1 めねじをモデリングした例:穴自体の直径は谷の径、その外側に見える円は外径を表現している

図-2 ねじ穴をモデリングした部品の2D図面を作図した例

  • *JIS製図のルールでは、ねじを正面から見た投影図では、ねじの谷底の線の右上方の約1/4円を切り欠くのがルールであるが、3D CADシステムによっては忠実に投影図を表現できるまでには至っていない。よって、JIS製図のルールに従わずに、旧JISのように全円形状として作図することがある。企業ごとに対応方針が分かれるため、確認をおすすめする。

図-3では、穴のモデリングをする際のユーザーインターフェイスの例を示す。(Autodesk Inventorを使用)

操作としては基本的に、以下に示す三つを指定する。

(1)穴のタイプとして「ねじ」を指定する。

(2)ねじの種類を選択する。例として図の中では、ISOメートルねじ、サイズ 8、呼び径およびピッチ(「並目」「細目」という選択肢ではなく、ピッチの数値で選択するCADが多い)としてM8x1.25を選択している。なお、M8の並目ピッチは1.25である。

(3)深さの指定。貫通穴ではなく、深さを指定する場合はねじの深さと下穴の深さの両方を同時に指定できる。

図-3 めねじの穴を作成する際のユーザーインターフェイスの例(Autodesk Inventor)

1-2 おねじ

おねじの場合は、先にねじを切ることになる軸部分を円筒状で作成しておく。その表面に「ねじ」定義を付与する。

図-4の例は、円筒面にねじを設定しているところである。「ねじ」作成コマンドを実行して円筒面を選択すると、円筒の直径値を読み取ってサイズは同じものが適用される。図のように全ねじではない場合はオフセット量(ねじを切らない範囲)を指定することで調整が可能である。

図-4 おねじを作成する際のユーザーインターフェイスの例(Autodesk Inventor)

執筆者紹介

草野多恵

大手メーカーの宇宙航空事業部門にて、設計から納品までのプロセス管理を担当。
製造業での実務経験を生かし、CADベンダーで約20年間一貫して製造業向けに3D CADの営業技術などを担当。
現在はフリーランスとして、効果的なCAD導入を支援する活動を行っている。

監修・執筆

山田学

ラブノーツ代表取締役、技術士(機械部門)。設計製図の企業内教育を種に活動。著書に『図面って、どない描くねん!』『めっちゃメカメカ! リンク機構99→∞』(共に日刊工業新聞社刊)など。

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