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世界で戦えるGLOBALエンジニアになるための製図技術  〜製図実践基本テクニック〜 2nd STEP 第3回:意外と知らないJISのルール /全5回世界で戦うための製図技術2nd【3】意外と知らないJISのルール

3.製図実践基本テクニック〜意外と知らないJISのルール3.製図実践基本テクニック〜意外と知らないJISのルール

寸法記入のウソ・ホント〜JISのルールと設計現場のデファクト・スタンダード(事実上の標準)

前回は、特殊な図示法を使って、第三者により理解しやすい投影図を描くテクニックを解説した。
普段何気なく記入している寸法にも、JISに決められたルールがある。
今回は、三つの寸法補助記号を例に、JISのルールと設計現場のルールの違いを見てみよう。

【直径の表し方】

軸や穴の直径を指示する場合、直径の寸法補助記号「φ(まる・ふぁいと呼ぶ*)」を寸法数値の前に付与して丸い形状であることを表す。

*言葉にしやすいため慣例的に「パイ」と呼ぶ設計者も多い。

直径寸法を指示する場合、JISには次のようなルールがある。

図1 直径の指示(1) ●対象とする部分の断面が円形であるとき、その形を図に表さないで、円形であることを示す場合には、直径の記号φを寸法数値の前に、寸法数値と同じ大きさで記入して示す。
⇒JISのルールや設計現場でも変わりなく、円形を側面から見た図には必ず「φ」を記入し円形であることを伝達する。

●円形の図に直径の寸法を記入する場合で、寸法線の両端に端末記号がつく場合には、寸法数値の前に直径の記号φはつけない。
⇒投影図から円形であり、寸法線が直径を示しているため、寸法補助記号で円形であることを示すと過剰情報になるためとの理由である。 円形を選択すると自動的に寸法数値の前に「φ」がつく機能をもったCADも多いため、設計現場では多くの企業で「φ」をつけており、JISのルール上は誤りであるが、誤った判断にはならないため、筆者は「φ」をつけても問題ないと考えている。
※製図の国家試験のようにJISのルールを守らなければいけない場合には従う必要がある。

図2 直径の指示(2)

図3 直径の指示(3) ●ただし、引き出し線を用いて寸法を記入する場合には、記号φを記入する。
⇒矢が1ヵ所だと直径なのか半径なのかの判断に迷う可能性があるため記号を付与する。

●円形の図および側面図で円形が表れない図のいずれの場合でも、直径の寸法数値の後に明らかに円形になる加工方法が併記されている場合には、寸法数値の前に直径の記号φは記入しない。
⇒「キリ」はドリルによる加工、「リーマ」はリーマによる加工を表し、これらのツールを使って加工されたものは必然的に円形になるため「φ」をつけてはいけない。設計現場では「φ」をつけた図面と「φ」をつけない図面が混ざって流通しており、社内で統一すべきと考える。また、側面から見た図では、ドリルの刃先を当てるという意思を表すため円の中心点から引き出し線を出すこともある。

図4 直径の指示(4)

穴の加工ツール
ドリルとは、先端に切れ刃をもち、また、ボデーに切りくずを排出するための溝をもつ、主として穴あけを行うのに用いる工具である。
リーマとは、あらかじめあけられた穴を正確に仕上げ、同時に滑らかな仕上げ面を得ようとする場合に用いる工具である。直径で0.1〜0.2mm程度小さな穴をドリルで開けた後、リーマを通すことで指定した寸法精度の範囲内で滑らかな表面をもつ穴を仕上げる。

穴の加工ツール ドリルとリーマ
【正方形の辺の表し方】

正方形の辺の長さを指示する場合、正方形の寸法補助記号「□(かくと呼ぶ)」を寸法数値の前に付与して正方形であることを表す。
正方形の辺の長さを指示する場合、JISには次のようなルールがある。

図5 正方形の指示(1) ●対象とする部分が正方形であるとき、その形を図に表さないで、正方形であることを示す場合には、その辺の長さを表す寸法数値の前に、寸法数値と同じ大きさで正方形の一辺であることを示す記号□を記入する。
⇒JISのルールや設計現場でも変わりなく、正方形を側面から見た図に寸法を記入する場合は、必ず寸法数値の前に「□」を記入する。

●正方形を正面から見た場合のように、正方形が図に表される場合には、正方形の一辺であることを示す記号□を記入せず、両辺の寸法を記入しなければならない。
⇒直径の指示と同じ考え方で、正方形が見える投影図に「□」はつけないが、設計現場では、寸法指示の簡便さから利用されることも多い。JISのルール上は誤りであるが、誤った判断にはならないため、筆者は「□」をつけても問題ないと考えている。
※製図の国家試験のようにJISのルールを守らなければいけない場合には従う必要がある。

図6 正方形の指示(2)
【面取りの表し方】

45°の面取りを指示する場合、45°面取りの寸法補助記号「C(しーと呼び、面取りするという意味の英語Chamferの頭文字である)」を寸法数値の前に付与して表す。
45°面取りを指示する場合、JISには次のようなルールがある。

●45°面取りの場合には、面取りの寸法数値×45°、または記号Cを寸法数値の前に寸法数値と同じ大きさで記入して表す。
⇒国際的には「面取りの寸法数値×45°」が用いられるが、国内では圧倒的に「C」が多い。
JISには明確に言葉で示されていないが、JISの図例や製図の国家試験から判断すると、面取りの総数を寸法に表すことはできない。設計時に面取りの大きさを統一することが一般的であるため、図が煩雑になることを嫌い省略するという考え方を採用しているのであろうか・・。
しかし、設計現場では、45°面取りやR面取りは、穴やねじと同じように個数を記入する場合が多い。JISのルール上は誤りであるが、誤った判断にはならないため、筆者は「4×C3」や「4×R3」のように個数をつけても問題ないと考えている。
※製図の国家試験のようにJISのルールを守らなければいけない場合には従う必要がある。

図7 45°面取りの指示ひえ〜っJISにこんなルールがある

JISのルールから少しでも外れると図面として誤りと萎縮する必要はない。 JISのルールを知った上で、設計者として第三者に判断の誤りがないよう、分かりやすい図面を描くという意識をもつことの方が重要である。 ルールに縛られ、図面として読みにくくなることは、決してあってはならない。

寸法記入時にJISのルールと設計現場のデファクト・スタンダードの違いをまとめてみよう。
・ 円形を丸く見える方向から見て、寸法線が直径を示す図には、「φ」をつけないのがJISのルール。
・ 「キリ」など加工方法が併記される場合には、「φ」をつけないのがJISのルール。
・ 正方形が見える方向から見た図には、「□」をつけず、縦横の寸法を記入するのがJISのルール。
・ 複数存在する45°面取りやR面取りは、個数表記せず省略するという考えがJISのルール。

参考文献:「図面って、どない描くねん!」(日刊工業新聞社 山田学著)   イラスト:Naoko Doi

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